第28話
ツルギの人気は全国に渡っている
関東でも、ツルギの人気は高い。
しかし、嫌う人種も多かった。
中には、ツルギのような勢力の台頭を危険視する一団が多数いるのである。
利権を脅かすものに賛同するはずもない。
関東は地方より豊(ゆたか)であり改革を望まないものも多い。
このままでいいと思っているのだ。
国の行政も地方の行政も掛け声ばかりで相変わらずの状態であった。
ひとつの改革が仕上がると、ひとつの悪弊(あくへい)が登場した。
それを知っていながら改革をするものだから、世の中が良くなるわけが無かった。
「貧しい精神が国を治めている」と言ってよい。
ツルギは冷静にそれを眺めていた。
世の変革の動きは、「きっかけ」があれば早いとツルギは感じている。
ツルギのやろうとしているのは、掛け声だけの変革とは違うのだ。
環境問題だけを考えても、すべては待った無しの状態である。
大人は利権にしがみつき、子孫を絶望のふちへ引きずり込もうとしている。
若者はそれを感じ始めたのだ。
ツルギの話す言葉の一つ一つに反応するように様々な意見と行動が、山火事が火の手を広げるように燃え広がっていった。
大人たちはそれを鈍感に感じ取っている。
北海道はレイが率いる「緑の風」、東北では高木しのぶ(忍)率いる「青の立風」(あおのたちかぜ)、
近畿地方からは「未来」の飯塚亮太、など日本全国で幾つもの高校生のグループが結成された。
このながれは、インターネット社会を通じて大きな広がりを見せた。
確かに高校生の考えや、行動には多くの未熟な面もある。
しかし、大人から「負の遺産」を引き継ぐ者から見れば、「大人のだらしなさ」にこぶしを振り上げるしかないのである。
大人にはそのこぶしの存在に気が付いてもいなければ、それが何処に振り下ろされるかも知らない。
今座っている椅子の居心地がいいのだ。
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