慕われる人

04号 専用機

ポインセチア

「でね、そこで私はキスされて! 彼と情熱的な夜を過ごすわけよ!」

「ありもしない空想を2時間も語るな。こっちの身にもなってくれ」

「折角聞かせてやってんのに! もっといい反応しろよ!」

「早く現実にしに行けよ……」

 クリスマスもうすこしあとの計画を語ると、幼馴染は心底嫌そうに答えた。

「私の心は燃えている! 彼の心を射止めるぞ!」

「はいはい。燃えすぎ注意な」

 他人の部屋で身支度を整え、買ってきた赤いポインセチアを見る。赤い花は生き生きしていて、その隣には……

「あれ? あんたも買ったんだ」

「そうだよ。好きだからな。ピンクのポインセチアは思いやりの木だ」

「ふーん」

「ちなみに綺麗なのは葉の方だ。花はそこに着いてる小さいやつ」

「えっ」

「派手なところに騙されるなよ。意外と小さい男かもしれないぞ」

 幼馴染は、ポインセチアを羨むように見て、呆れた口調だ。私に忠告する時はいつもこう。

 昔から、いつも隣の腐れ縁。赤髪の私と白髪のこいつ。不思議とずっと一緒にいたな。

 そういえば、ポインセチアには白いのもあった。

「あのさ、白のポインセチアはどんな花言葉なの?」

 気になって聞いてみる。

 幼馴染はバツが悪そうに答えた。

「貴方の幸運を祈る」

「バッカみたい」

 

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