僕はヘブン・セント・チャイルド〜愛してくれたのは神様?それとも‥〜幼少期編

@irdorintuka08

第1話母『蘭子』という存在

| 僕の母さんは、わがままで自分勝手な人。

自分を中心に世界が動いてるって普通に思ってる。

名前は、鏑木坂かぶらぎざか蘭子らんこ。いかにもって感じの名前だよね。


「人生は、たった一度よ。モブキャラになるなんてごめんだわ。

私は、私を生きるの。結婚なんて絶対にしない。

結婚なんてして、旦那の為、子供の為なんて生き方、モブのすることよ。

人生の主役はこの私。

誰にも遠慮なんてしたくない。誰の指図も受けないわ。」



そんな母さんが通った学校は、幼稚園から大学までストレートで、いわゆるセレブって呼ばれる人たちがこぞって通う、清雅英明せいがえいめい学院。

母蘭子が通って、そして今僕が通わされているんだ。


 茶道や華道、武道などの代々家元の子や、大会社の社長、重役クラスの子が通う学校で、挨拶はどんな時でもは「ごきげんよう」たったこれだけ。楽だね。

ただすごく狭き門だけど学費全額免除制度があってメチャメチャIQが高い成績優秀者や、運動神経抜群でスポーツ特待の子達もいるけど。


 清雅英明学院には密かに生徒たちを分ける呼び名がある。

それは、源氏と平家。

学校創立の時に平安英明へいあんえいめい学院だった名残りもあり、こうした呼び名で生徒を分けているんだ。

家元の子や社長の子供達は、出生の源がわかるってことで源氏と呼ばれて。

学費全額免除制度を利用する、優秀だけどごく一般的な家庭で育った子達は、一般的な家庭、つまり平民になぞって平家と呼んでいる。

なんて時代錯誤。歪んだ人たち。


 源氏の家柄や経済的に豊な子達は、学校の品格や経営には大切な要素だけど、それだけでは学校の名誉は保たれない。

学費が全額免除になるような優秀な頭脳や、スポーツの世界で名を馳せるほどの生徒は学校の名誉のために重要らしい。


 平家の存在意義はそれだけじゃない。

甘やかして育てた我が子に家を継がせ、全てを任せるのは不安である源氏の親たちは、抜きん出て優秀な子供が揃っている平家から、婿や嫁を取り自分たちの家の繁栄を保ってきたそうだ。

平家の生徒にしても将来、会社の社長や名のある家元の一員になるのは悪い話ではないから、ウィンウィンの関係ってわけ。

 僕の母さんはのんびり学校生活楽しめちゃう源氏組なんだけど、世界トップクラスのわががままお嬢様だからとにかく自分が下に見られるなんて許されないんだ。

だから源氏でありながら、成績トップの平家の中に常に食い込み、一位を取ることさえあった。自分の存在を全ての教師、全ての生徒に認めさせていたんだ。


「源氏?平家?くだらないわ。私は、私!鏑木坂蘭子よ!」


現在、同じ学校に通っている僕にとっては、学生時代のこうした母さんの態度はとてつもなく迷惑な存在。


 ーなんで同じ学校に入学しちゃったんだろう。

  僕は、そっと生きていたいんだ。ー


この歪んだ世界の人たちに僕は振り回されて行くんだけど

それは、もう少し先のお話。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る