第14話 迷宮災害に巻き込まれたようです。
前回の投稿から一ヶ月近く経ってるってマジですか……?(震え声)
投稿遅れて本当に申し訳ないです……
次はなるべく早く投稿出来るようにします!
そんな感じで本編どうぞ!
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周囲を見渡せば、何処までも闇が広がっていて、光源となるものはカメラドローンぐらい。
落下し続ける浮遊感と共に、更に深層へと落ちていく。
……何分だろう。【
未だに僕は落下し続けている。
周囲を見回しても、壁ばかり。どこかへと繋がっていそうな穴一つ見つからない。
……不味いね。このままだと、このダンジョンの底まで落とされる可能性がある。
……そう思ってしまうくらい長い間、僕は落下し続けている。少なくとも二十分は経過していると思う。
かといって、上層へと戻るために壁を破壊しようものなら、ただでさえ『
そうなってしまうと、更に深層へと落とされてしまう可能性も上がってしまう。迂闊に行動することは
「まさか『
:呑気すぎん?
:あなた今
:ていうかいつまで落ちるんだこれ……
:もうかれこれ十五分くらい経ってない?
:一体今何階層なんや……?
:久遠は分かったりする?
落下中とはいえ、僕自身の身体能力はかなり人外じみてる為、ドローンが映し出す皆のコメントも普通に見える。
さっき「なんかすごく暗い」的な事言ったけど、普通に魔力で眼を強化すれば暗視も可能なので、そこまで暗い訳でも無い。
そんな訳で、今の「久遠はなんか分かったりする?」っていうコメントも見えてた訳だけど、果たして言っていい物なのかな……?
うーん……まぁ階層を言うくらいなら良いかな?今も『
あまり問題にはならない……と思う。
そもそもとして、構造変動中のダンジョンはあまりにも不安定。
さっきまで下層にいたのに次の瞬間には上層に居た、なんてざらにある。
落ちて来た速度と時間で考えればかなり深いけど、さっきから何回か転移魔法の残滓も感じるので僕自身も今どの階層なのかよく分かっていない。
「うーん……推測にはなるけど、多分135階層位かな?けど、
:は?
:……!?
:ひゃく……さんじゅうご……?
:なんだ聞き間違いか……
:流石に深すぎない?
:いやいやいやいや………嘘だろ?そうなんだろ!?
:え?だとしたら第一階層でAランクオーバーのモンスター出てきたのに135階層なんてどんな化け物が……
:流石の久遠でも危ないだろ……
:てかそもそも、ワープしたりすんのかよ
:じゃあ135階層よりも深いかもしれないってことか……
「あー……、それは大丈夫だよ。ダンジョンの『
基本的に『
今回の『
異常発生した魔力を使って、一時的にダンジョンが進化したりする事もある。今回の場合はきっと"それ"だろう。
そうして進化するダンジョンは、現在のように
「という訳で、安心……は皆からしたら出来ないかもだけど、安心してくれていいよ」
:2行で矛盾するのやめて貰えます?
:言ってること真逆なんですが?
:その話聞いて安心できるかぁっ!!!
:流石に心配が勝つぞ!?
:のほほんとしすぎだろ……
:俺達のことよりも、まずは自分の身の安全の事考えてもらっていい?
うーん……。酷い言われよう。
別におかしな事言ってるつもりは無いんだけどなぁ……。
ん……?この感じ……、そろそろ地面が近いかな?
どうやら『
……うん。どうやら
さてと。そろそろ着地の準備をしないといけない。
視聴者のみんなにもそれを伝えて、その上で僕が今どこの階層なのか早く把握しなきゃいけない。
「みんなー、そろそろ地面が近いみたい。着地の準備するからカメラ揺れるかもしれないし、画面酔いとかには気をつけてね」
:やっとかぁ……
:何分くらい落ちてたのよ?
:少なくとも25分は落ちてたな
:一体何階層なんだここは……
:久遠気をつけてなー
:地上に戻るのが最優先だぞ、俺ら視聴者は気にしなくていい
おお、意外にも暖かいコメントをくれる人が多くいる。さっきまでの言われようから考えると雲泥の差だよ。
それはそうと、恐らくはこの配信を見てるであろう真白にも心配を掛けているはずなので、なるべく早く地上に戻るつもりだ。
とは言っても、運が悪かったら普通にこのダンジョンで一日を過ごす事にもなりかねない。気を引き締めていこう。
─────────
──────
───
ヒュオオオオオ…………。
空を切る落下音を聞いていれば、すぐそこに地面が見える。
よっ……と、ふぅ。無事に着地は出来たみたい。
……深層とかだと、地形やその階層の環境すらもこちらに牙を向いてくるから、地面に足をつけた瞬間怪我しててもおかしくなかった。
まぁ、そうならないように足にはかなりの量の魔力を纏わせているけれど。
「……着いたみたいだね。ここが何階層か調べる為にも、しばらくは歩くことになるから視聴者さんの中で疲れた人はすぐに休んでね」
:当然のように無傷と
:まぁあんだけ強いしな……。落下ぐらいじゃ怪我すらしないか……。
:それもそうだな。……にしても、ここは一体何階層なんだ?
:見た所、下層のかなり下ぐらいに見えるけど……。
:これワンチャン深層か?
:↑有り得るかもな。どちらにせよモンスターとかである程度の判断はつくだろ。
コメントにもある通り、一体何階層なのかと思って僕も辺りを見回している訳だけど……
どこか既視感がある。なんだろう、かなり前に一度見たような景色と空気感?というものを感じる。気のせい……では無い、と思うし。
いや、いちいち考えてても仕方ない。とにかく探索する方が何かと分かる事が多いし、取り敢えずはこの辺りを探索してみよう。
そう考えて、僕が足を進めた瞬間。
『グルォォォォォォッッッ!!!!』
淡い青の鱗に覆われた、10メートルは優に超えるであろう体長の生物が現れた。
雪と氷の旋律を奏で、見た者全て震え上がらせる生物界の頂点に位置するような怪物。
それは、つい先日も僕が遭遇した『討伐難易度:ランクSSS』モンスター『
「へぇ……。そっか、ここはどうやら───
少なくとも超深層レベルの階層みたいだね。そっか、だから既視感があったんだ。通りで。」
『討伐難易度:ランクSSS』である『
うーん……、どうやら今回の『
不幸中の幸いと言うべきか、僕以外の探索者はこの【
:……は?
:え?……いや、え?
:超深層ってなんだよ……!
:人類の最高記録『深層の117階層』なんだぞ……?
:嘘だろ……?
:確かに深層より下はあるらしいけど……あくまで理論上の筈だったのに……。
:久遠ヤバいって!!逃げろ!!
:流石にアイスドラゴン十数体は勝てない!!
:その言い方だとお前超深層に潜ったことあんのかよ!?
案の定、コメント欄の皆は混乱に陥っているみたい。
というか、深層よりも下の階層がある事がこの配信で証明されてしまった。それはつまり、これからかなりの面倒事になるという事。
ただでさえ今の人類は深層の浅瀬で停滞しているのに、いきなり深層よりも数十倍は凶悪な『超深層』を見せたら、コメント欄の皆よろしく世間の人達も混乱は
きっと帰ったら
その上、SNSやマスメディアでも騒がれるんだろうなぁ……。
はぁ……。なんで
はぁ、これからの事を考えると憂鬱になるよ。これも運が悪かったと諦めるしか無いんだけどね。やっぱり僕も人間だから、そう簡単に割り切れるものでも無い。
『グルォォォォォォッッッ!!!!』
そんな事を僕が考えていたら、周囲の
でも、まぁ、うん。
「悪いけど、妹や親友が心配してるだろうから早く帰らないといけないんだ。君たちに構う暇は無いんだよね。」
そう呟くのと同時に、僕の体内を巡る魔力全てを高速で廻す。これから使う
生憎、
「そういう訳で、さっさと道を開けて貰おうか。───咲き誇れ、炎華。『
そう呟きながら、腰に
そのまま腰を落とし、居合の要領で鞘から一気に刀を引き抜き一閃。
「───碧落 弌刀『月白』」
抜き放たれたその一閃は、周囲の
そのあまりの熱量に周囲の空気に含まれる水分や氷冰竜達の体に含まれる水分すらも蒸発させて、辺りには白い蒸気が勢い良く溢れ出す。
更には蒸気と反応し、小さな爆発が連続して起こり続ける。
『月白』の名の通り、辺りには刀身から立ち上る蒼炎で蒼く照らされた白い蒸気だけが漂っていた。
:………??????
:………??????
:………??????
:上三人同じ事しか言わなくなっちゃった……
:はぇ???( ᐙ )
:なんだ俺の見間違いか……
:アイスドラゴンが居た気がするけど何も無いから気のせいだなヨシ!
:いやいやいや………えぇ??嘘でしょ???嘘だと言ってくれ???
:数十体居たアイスドラゴンが一瞬で消滅したんやが……?
:久遠……お前何したァ!!!
:ウソダドンドコドーン!!!!
……『
僕が配信で使った初めての
勿論そのまま行使しても普通にSSランクと渡り合えるくらいには強いけど、
その状態で使う技を僕は『碧落』と読んでいたりする。何番目の技を使うかで○刀の部分は変化するけどね。
今回使った『月白』は、その『碧落』の内の一番目の技。
勿論、祝詞を紡ぐ前では使う事は出来ない。
祝詞を紡ぐのは威力上昇の為でもあるけど、間違って発動させないようにする為でもある。
碧落 の技は総じて威力が高い。間違って使おうものなら何百人という人が消し飛ぶ事になる。そうした事態を防ぐ為にも祝詞を紡ぐ事はとても重要なのだ。
それに、超深層レベルのモンスターなら僕の足元にも及ばない。だからこそこうして技の一つでも使えば一蹴出来る。
「……さて、進もうか。」
既に消滅した
ついさっき倒した
というのも、深層に行けば行く程一階層に存在するモンスターの数は少なくなったりする。
その分質が上がるし、モンスターの数が少なくなるのもこの超深層までだったりするけどね。
それはさておき。
ダンジョンというのは、深層よりも下の階層になると100階層毎に上層まで戻る事が出来る転移魔法陣が存在する。
そんなの無くても僕は普通に転移魔法が使えるので問題無いけど、その時の魔力を感知して超深層レベルのモンスターが上層まで来たら洒落にならない。
しかし転移魔法陣からの帰還だと魔力の質がダンジョンの物である為、モンスターに感知される事が無い。
僕以外の探索者のためにも、ここは転移魔法陣から帰った方が世のためになる。
そういう訳で仕方無く、僕はどの階層かも分からない超深層で転移魔法陣を探すために歩き続ける。
──────────
───────
────
先程の階層から一、ニ階は下へと降りた位置に僕は居た。
「うーん……、中々来ないなぁ……。ここが何処かも分からないし、一体いつになるのやら……」
:久遠曰く転移魔法陣があるらしいが……、中々見つからないな
:とは言っても一、ニ階しか降りてないしそうそう簡単に見つかるもんでも無いだろ。
:100階層毎何だろ?結構骨が折れないか?
:まぁどちらにせよ俺らには見守る事しか出来ないんだけどな!ガハハ!
:ちなみに今地上では大騒ぎになってたりするゾ☆
:久遠の配信がテレビ中継されてて草なんだ
:【高校生探索者が
さっきからずっと転移魔法陣を探しては居るけど、見つからないということは僕は超深層の浅瀬に落とされた可能性が高い。
まぁこの調子だったら今日中には帰れるだろうし、そこまで焦るものでも無いけれど。
でもまあ、もし100階層の区切りまで後90階層近くあるのなら少し攻略スピードを上げる必要があるなぁ……。真白や海斗も心配してるだろうし……。
そんな事を考えながら歩いていると、何やら開けた広場のような所へと辿り着いた。
「うん……?なんだろう、ここ……」
:なんやここ
:なんか開けてるな……
:さっきまでと雰囲気違うな
:ボス部屋だったら扉ついてるだろうし
:分からんな……
:とにかく気を付けろよ久遠
:何かが起こりそうな雰囲気ではあるな
とりあえず入ってみたけど、見た感じ半径300メートル程はありそうな大きな広場だ。それに加えて、出入口は僕が今立っている広場のような南側と北側にしか無い。
コメント欄でも言われている様に、この広場は何となく"何か"が起こりそうな予感がする。
それが何かは分からないけど、良くない事であるのは確かだ。
うーん……ボス部屋とも違うし……、一体ここは何の部屋なんだろう……?
コメントの皆と色々考察しながら広場の中央まで進んだ時、前方と背後から魔法が発動される気配がした。
なんだと思って振り向くと、僕が入ってきた入口が魔力障壁の様な物で閉じられていた。
「……トラップ部屋だったかぁ。滅多に無いはずなんだけどな……」
どうやらここはトラップ部屋だったらしい。
という事は出入口が閉じられた今、何かしらの仕掛けが発動、もしくは僕に牙を剥いてくるはず。
そうして僕が入口付近まで戻って警戒していると、部屋の中央に魔力が集まり出した。
『……Ni……ン毛、ん?』
「なんで君がここに……!?」
それは、強烈な腐敗臭を漂わせ、恐らくは人間の血肉がぐちゃぐちゃに混ざりあったような姿をしていた。
それは、身体中のあらゆる所に目、口、手、足、内蔵、筋肉、血管……人の体を構成するパーツ全てが剥き出しの状態で、蠢きながらこちらを見つめていた。
それは、何の感情も感じられなくて、魔力の質が異常だった。まるで、何人もの魔力が混ざりあったように、絵の具を混ぜ続ければ黒色になるように、どす黒く濁った魔力をしていた。
それは、未だ久遠以外が会敵した事の無い生命体。
推定討伐難易度:ランクEX、
名を『
現在の人類では到底見る事も叶わない、化け物がそこには存在していた。
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