俺を育ててくれた義姉にもう遅いになる話

激 辛

第1話

「ごめんなさい。本当にごめんなさい」


一度も会ったことがないお姉ちゃんに俺は何故か謝りながら抱き疲れて居た。


「えっと、どうしたんですか」


「私は、あなたの、あなたの大切な、大切な」


俺の大切な?なんのことだろう。


「お父さんとお母さんを奪ってしまったの」


ーーーーー


「優君、おはよう。朝だよ」


「あ、おはよう。お姉ちゃん」


俺は朝七時から目が覚める。


いつも通りの朝早い目覚めだ。


「優君、寝癖酷いね」


「え、あ本当だ」


「お姉ちゃんが治してあげるよ」


「いやいや、それは流石にいいよ」


「いいから」


俺のお姉ちゃんは俺の面倒を何でも見てくれる。


・・・


ありがたいし、嬉しいけど、少し不満というか何と言うか、


お姉ちゃんはずっと引き摺っているのだ。


ーーー


【私を守って、お父さんもお母さんも、本当にごめんなさい】


俺のお父さんとお母さんはお姉ちゃんを庇って亡くなってしまった。


そして、実はこのお姉ちゃんは遠い親戚で、ちょうどその歳が20歳だった。


すでに小学6年生だった俺は、


【私が、私が引き取ります。お願いします。やらせてください】


お姉ちゃんは土下座して、親戚に引き取らせて貰うようにお願いしたらしい。


ーーー


そして、あれから4年。高一になった。


お姉ちゃんは24だし、そろそろ結婚も考えても良いし、俺はお姉ちゃんがいいなら結婚してもついて行きたいと言ったんだけど、


【結婚なんて!!もう優君の馬鹿!!】


そう、初めてお姉ちゃんに馬鹿と言われてしまったのである。


うーん、俺は本気なんだけどな。


お姉ちゃんのことは俺も大好きだし、本気で幸せになって欲しい


このことも言ったんだけど、


【優君って、普段優しいし、頭も良いけど、馬鹿!!】


と2度目の馬鹿と言われてしまったのである。


ーーー


「お姉ちゃん、今日もご飯美味しかったよ」


「ありがとう、優君。」


俺はお姉ちゃん特性の愛情弁当を持って、家を出ようとする。


「優くん、約束を言うの忘れてるよ」


そう、何故か俺はお姉ちゃんと約束していることがある。


「女の子に手を出さない」


「うん、よろしい、いってらっしゃい」


そう、何故かいつも約束させられる。


ーーー


そして、その約束は今日破ることになってしまう。


「痴漢です!!」


いや、破ってはないんだけど、破ったことになってしまうのだった。

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