第14話 ルイズの想い

 ルイズはベッドの中で、夢うつつの中で思う。


《まさか、先生に再会できるなんて思いもよりませんでした》


 数日前の出来事が脳裏をよぎる。 


 森で鷲頭獅子グリフォン赤大蛇レッド・スネークに襲われて、絶体絶命だった。


 その時、物語の騎士のように現れて、私たちを助けてくれた……。 

 思い出すだけで胸がキュンとうずく。


 2年前も、ダンジョンで魔物に襲われた時に先生は命を助けて下さった。


 あれ以来、私もフローラもエルフリーデも先生のように強くなりたいと思い頑張ってきた。


 先生は私達の憧れであり、目標だった。

 その先生とパーティーを組んで仲間になれるなんて、夢のようだ。


 私は思わず微笑した。

 こんな事が起こるなんて人の縁や運命とは、なんて数奇なのでしょうか。

 再会した先生は、相変わらず強くて素敵だった。


 だが、私が本当に先生を尊敬しているのは強さではなく、優しさだ。 

 2年前、私達が冒険者になりたてだった時、命を助けてくれただけでなく、指導までしてくれた。


 冒険者のイロハを優しく教えて下さった。

 その時、謝礼を渡そうとしたら、先生は、


「要らないよ。後輩の指導をするのも冒険者の義務さ」


 と、笑って謝絶した。

 そして、今も至らない私達を丁寧に指導して下さっている。


 なんていう善い御方なのだろう……。


 失礼ながら、善良さゆえに他人に騙されたり、利用されないか心配になってしまうほどだ。


 先生が前に所属していた勇者パーティーでも、その善良さを悪用されていたりしなかっただろうか?


 ……。


 なんだか、段々腹が立ってきた。

 勇者ハーゲンとその一行に怒りが渦巻いてくる。


 あんな立派な先生を侮辱して追放するなんて、最低の人間だ。

 もし、会ったら文句を言ってやりたい。

 


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