第3話
「くぅーん……」
心配そうに見つめてくる子犬の頭を撫でる。
「…………お墓、作ってあげないとな」
地面に落ちていた手頃な石を手に取ると穴を掘り始めた。
「ワンワン!」
「お、手伝ってくれるのか? ありがとな」
子犬はものすごい勢いで穴を掘り進めていく。二人で黙々と作業しお墓が出来上がると手を合わせる。
どうか……安らかに――。
「…………よし、そろそろ休むとするか」
「ワン」
場所を移し寝転ぶと子犬が寄り添ってくる。
「お前、これからどうするんだ?」
「ワフッ?」
「行く当てがないなら一緒にくるか?」
「ワン!」
理解してるのかわからないが尻尾を見る限りどうやら賛成のようだ。
「よろしくな、俺はリッツだ」
もふもふな真っ白な毛を撫で回す。
そういえばこいつの名前、どうしよっかな……。
考えてみたが疲れた頭は働いてくれず、気がつけば俺は子犬を抱きながら眠りに落ちた。
◆
「ワン! ワン!」
「うぅ……ん……」
元気な声に起こされ目を開けるとすっかり日が昇っていた。体を起こし背を伸ばすと、俺に気づいた子犬が寄ってくる。
「ふぁ~おはよう……あれ? 汚れかこれ?」
子犬の顔を撫でていると左目から耳にかけて毛が真っ黒に染まっていた。
元からあったかな? ……まぁいいか。
一通り撫で終えると腹の虫が空腹を知らせる。
「どれ、まずは飯にしよう。といっても――こんなものしかないが我慢してくれよ」
食べやすそうな木の実を取り出し子犬の前に置くと、俺も手頃な木の実を口に放り込む。
味は悪くないんだが……そろそろ肉や魚が恋しいな。
「お前、口の周りがすごいことになってるぞ」
「ワフーッ?」
「綺麗にしてやるからちょっと待ってろ」
あ、水なんて入れてなかったわ……仕方ない、あとで川を探すか。
休憩を挟み、俺はある草を目印に山の中を進む。徐々に水の流れる音が近くなり川がみえる。
よし、これでひとまずは安心だな。
「ワォーーーン!」
「ん? どうした――」
何かを知らせようとしきりに吠える子犬をみると近くで女の子が倒れていた。
「おい、しっかりしろ!」
なんでこんなところに……傷はないみたいだが……。
何度か声をかけるとゆっくりと口が動く。
「……お、お腹……」
女の子はさするようにお腹に手を当てた。
「腹がどうかしたのか!? 痛いのか!?」
なんともなさそうだが……もしや内臓をやったか……!?
「すまないが腹をみるぞ」
手を退かし、整えられた服を捲ろうとしたそのとき、グゥ~~~と小さな音が響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます