第24話 みんなも好き

「久しぶりにその名前を聞いたね、斎藤です」

「ちーこよ。」


なんと2人で斎藤ちーこ先生でした。


車いすが移動しやすそうな応接室で向かい合ってお話。

なんでもあの作品、もうすでに8年以上前の作品で最後の話も5年前のものだそう。


「私が絵を描いていたんだけど、途中で病気になっちゃって手と足に麻痺がのこっちゃったのよ。」

「僕が話を考えて彼女が絵を描いていたんだよ。」

「絵は誰でもかけるから他の作家にまかせたら?って言うんだけどね」

「あの作品は彼女の絵でないと完成しないからね」

「うふふ、そういう訳で未完になってしまったのごめんね。」


最高でした。


「ありがとう、連載だったから原作のストックはあるんだけどね、彼女の絵以外では原作を任せる気になれなくてね」


治ったらまた描けます?


「僕も彼女ももう歳だからね、治ってもあの時みたいに生産量は無理かな」

「そうねぇ、また描けるとうれしいけど、ブランクも長いからゆっくりしたいかも」


残念です、では記念に握手とサインだけでも。


「ええ、反対の手でも文字はかけるようになっているからいいわよ。」


斎藤先生と握手して色紙とペンを渡します

そしてちーこ先生と握手


「じゃぁ僕から」

サラサラ


「じゃぁ私ね」

サラサラ


ニコリ

ありがとうございます、ボクは大事にサインを抱えて失礼します

斎藤先生がぽかーんとしている横を通り過ぎるときに一言


”これは魂に換算してもいいくらいの宝物だ!アバヨ!!”


あきにゃーばーのボクのヤサに転移して早速サイン色紙を飾る場所を作りますよ~~~!!

埃よけ!品質保存、劣化防止、不壊の付与魔法です!

二礼二拍手一礼!!フヒヒフヒヒ!!





「チイ子ちゃん・・・その手」


「え??あ、あら????動く・・・動くわ・・・

手も足もしびれがない、自力で立てる・・・」


諦めた、諦めたくなかった、でも現実が許さなかった。

諦めたふりをした、自分の感情を押さえつけてた。

夫にも介護で創作活動を諦めさせてしまった。


涙があふれる、自分の手で涙を拭うと夫も泣いていた。


「あのファンの子の最後の言葉」

「ええ、私達の作品の悪魔のセリフ・・・」

「お礼はしないとね」




しばらくしてから電子書籍で5年ぶりの新刊が出ました!!

ネットニュースでバズってます!


読者からも「なんかホッとする」、「今の時代癒やされる」と大人気です。


なんかその中の一つの剣士と鍛冶師の話がボクと先生たちのエピソードに似てます!


鍛冶師が作った剣を魂の代わりに受け取った悪魔が消えた後に先生たちが思われた気持ち、そして作品を通して感謝されていました


これは・・・顔がニヤける~~~~~


ボクが好きな作品からみんなも好きな作品になってボクも嬉しいですよ!

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