17.精霊の瞳に光を
「レイさん1回笑うのやめてみてくださいよ!」
「え?」
突然のハルト君の要望に答えるべく、微笑みをストンと削ぎ落とした。
「いかがでしょうか?」
「「「「……………」」」」
「美人の真顔って怖いんすね」
「いえ、これはこれで魅力的よ?」
「あたしは笑ってるレイさんが好きです!」
(そんな君の笑顔が眩しいです!ていうか、もう戻していいの?どっち?)
「なんかますます精霊っぽくなったよね?」
「確かに。僕たちが森で見たときより精霊っぽい」
「なになに〜?森でなんかあったの〜?」
「はい。レイさんがスープをティーカップで飲んでたんですけど、それがすごく似合ってて…僕たちでレイさん精霊じゃないよね?って話してたんです」
「ぷっ、なにそれぇ?なんでティーカップ?ぷふっ」
「それには事情がありましてねぇ。当然の結果です」
(ね?ハルト君?)
「くくっ、そうですね。当然の結果だと思います」
「ふふふ」
「気になるっす」
「俺たちの鞄に入れてた器壊れちゃったんですよ。それでレイさんの手持ちのを貸してくれたんですけど、そうしたらレイさんがスープに使う分がなくなっちゃったんです。大きい器の予備は他にもあったんですか?」
「ええ。ございましたが、片手で食せる方を選択しました」
「なるほど。見た目を気にしてじゃなくて、それが理由だったんですね!」
「はい」
ふむふむとハルト君が納得している。
大きい器を使用した場合、コロッケパンを食べる際にスープをテーブルに置く必要がある。
それが面倒だったのだ。
「ハルトはいっぱい食べそうだもんね?」
「うん。ティーカップだと10回くらいおかわりする羽目になるね」
「そんな食わねぇよ!っていうか似合わないって言ったのお前らだろ?お前らに笑われながら食うなんて嫌すぎるだろ」
「嘘でも似合うって言ってみれば良かったね?」
「くくく、うん。そうだね」
「はははは!そっか!そうすればハルトのティーカップ姿見れたかもしれないね!」
「え?酷い。俺を笑い者にするつもりなの?」
「ふふふ」
(仲良しさんねぇ。確かに少し見てみたい気もするねぇ)
「こいつらは楽しそうだな。安心したぜ」
「そうねぇ。元気そうで安心したわねぇ」
「愛されているのですねぇ」
「まぁな?こいつら落ち込んでたらこっちまでへこむからな。街の温度も下がるぜ」
「くく、そっすね。街の笑顔減るっすね」
「あたいらもしょんぼりだね〜」
死人が出てもおかしくない激闘を繰り広げた彼らを心配していたようだ。
先輩冒険者としてなのか、純粋にこの子たちを慕ってのことなのかは分からないけれど、
「のほほんで格好良い救世主見てれば勝手に元気になります!」
「だよね?レイさんは癒しの魔法身体から放ってると思います!」
「コリンのその言葉が冗談なのか本気なのか私は判断できないよ。ふふ」
「うん。難しいとこだね」
「ふふふ」
元気いっぱいの2人を見ていればこちらも元気をもらえる。
そんな彼らの言葉を真剣に考えるリサちゃんとターセル君の姿は見ていて面白い。
「なんかできるって言われても驚かないっすけどね」
「あれだよね?癒しの魔法っていうより、レイさんの周りの空気だけ何か違うものに変えてそうだよね?身体から滲み出る何かでさ〜」
「くく、ありえるっすね」
(それをできる者が人であるはずないよね?冗談で言っている?どっち?)
「レイさんは精霊さんですか!?」
「人です」
「ですよね!?」
「きゃはははは!ハルトなんで聞いたの〜?ぷふっ」
聞いた本人も笑っている。
きっと私が何を返してもみんな笑い出したことだろう。
「聞きたくなる気持ちは分かるけど、あまりにも馬鹿みたいな質問だから僕は聞けなかったよ」
「え?そう?レイさんになら許される質問じゃない?」
「まぁ、それもそうかもしれない」
「もし本当に精霊さんだったら大変だしね!」
(え?どいうこと?ここは聞きに徹しよう)
「え?レイさんが精霊さんだったとしたら、私たちはどうすればいいの?」
「え?んー、え?どうすればいいんだろう?ターセル分かる?」
「僕に聞くの?えー、何もしなくていいんじゃない?あ、ディグルさん、領主様に知らせた方がいいですか?」
「いや、それだと精霊であるレイさんが自由に街を歩けなくなりそうだ。いや、今もか。ふむ」
「無駄な議論です」
「きゃはははは!バッサリ切っちゃったよ」
(それよりも精霊の情報が欲しいのだ)
「精霊さんだと言われてもおかしくない見た目だものねぇ。それに不思議な空気を纏っているもの。つい精霊さん寄りの方だと思ってしまうのは理解できるけれどねぇ」
「すみません。どうして私の姿が精霊に繋がるのか分かりません。どういうことでしょうか?見たことがあるのでしょうか?」
「いいえ、見たことはないわ。けれど、姿や纏う空気が他と違うのよ」
「なるほど」
(つまるところ、人らしくないということなのだろう。え?どうすれば人らしくなるの?まぁ、後で考えようか)
「そっすねぇ。レイさんは嫌っすか?そういう風に言われるのは」
ヴィンスさんは純粋にこちらを案じてくれているようだが、なんと答えるのが正解なのか分からない。
精霊の立ち位置が分からないのだ。軽はずみに光栄なことですと言っていいものなのか…
(いや、考えすぎか。この人達は割と軽はずみに精霊という言葉を使用しているから、物語なんかにはよく登場するのかも知れないな…っていうか、そういう風ってどういう風?)
「精霊さん寄りだと思われることがでしょうか?」
「そっすね」
「思うのは自由ですから気になりません。ただ、それを真実だと流されるのは困りますねぇ」
「なるほど。面白おかしく本当の話のように流されるのは嫌ってことっすね?」
「はい」
「うんうん。まぁ、そうだよね〜。自分のことを勝手に決められて外に流されたらむかつくよね〜」
「今こうして俺たちだけで話すのか嫌な気持ちにならないですか!?」
「ふふ、全く嫌ではありませんよ?どうぞお話にお花を咲かせてくださいませ。私は見ていて癒されます」
「すまん。なんか精霊だわ」
「え?何故?今は人でしたよね?」
「ふふふ、言葉に優しさが滲み出ているのは精霊さんは関係ないわ」
「いや、なんか雰囲気だな」
「へぇ、まぁ、他視点で見れないので私だけ理解できない部分ですねぇ」
「あ、それもそっか!レイさんは自分が見えないもんね〜」
(このままでは精霊の情報は得られそうにないなぁ)
「それともうひとつ精霊さんのお友達なのかしらと思う要素はあるわよねぇ?」
「うんうん。やっぱりそうだよね?」
「そうですよね!僕自身がなかったけど、街に入ってからそれ思いました!」
何か確信を得たのであろうターセル君が途端に瞳を煌かせ始めた。
いや、午後の風の子たち全員がそうだ。
喜びと興奮を全身から撒き散らしている。
「あれ?本人は分かってないっすか?」
「私は何を理解できていないのでしょうか?」
「あら?レイさんの瞳には私たちには見えない存在が映っていると思っていたのだけれど違ったかしら?」
(なんだって!?落ち着け!微笑め!)
「どうしてそう思うのでしょうか?」
「ふふふ、精霊が見える人は少ないけれど、それでも独特な視線の動き方をするから大抵分かるわよ?それにそういう方の周りでは不思議なことがよく起こると聞くわねぇ」
そう語りながらカレンさんが視線を向けたのは空っぽになった私のジョッキ。
(やばい…どうする?既に街中を歩いてしまった)
その際に何度か見えない何かへ顔を向けてしまった。
あれでは自ら精霊が見えていると言っているようなもの…
いや、まだ一度しか街を歩いていない。
しかもハルト君たちと歩いていたから、私への注目は少なかったはず。
私の様子を見ていた人がいたとしても視線の先に何もないのであれば確信は得られないだろう。
(どうするのが最善だ?)
すでにこの人たちは確信しているようだが、口止めすれば守ってくれそうだ。
問題はそれ以外の人々。
行き交う街の人々の声を拾うに皆は精霊の存在を信じているようだったが、まさか確信しているとは思わなかった。
あくまで架空の存在へ対する信仰心とでも言えばいいか…
(そういえば先程カレンさんは不思議なことがよく起こると言っていたな)
だから本当にいるかもしれないと思えるんだ。
不思議な現象の話が募れば募る程、見えない何かが確かに存在すると思えるはずだ。
つまり、精霊の存在自体を隠す必要はない。
(となると不安要素は…精霊を見れる者が利用され精霊が捕らわれる可能性があるということか)
私は誰かに脅されようとも精霊を傷つけることはしないと言い切れる。
けれど、何か無理矢理そうさせる方法があるかもしれない…
人の世では禁忌となっているが、精神に影響を及ぼす魔法は存在するし、アンデット系の魔物はそれが得意だ。
自分はそちらの耐性があるので問題ないが、未知なる魔法や魔道具があるかもしれない。
もし耐性をかいくぐって自分が操られたとして…即座に自分を殺せるだろうか?その隙はあるだろうか…
どうする?街を出るか?国を出るか?島へ閉じ籠るか?パテルさんに相談してみるか…
(くっそ!なんて考えが甘いんだ自分は!もっとちゃんと考えるべきだったのに…)
「………」
「…レイさん大丈夫っすか?」
「レイさん。見えるからと言って心配する必要はないわよ?昔は精霊を悪用しようとする人が多かったみたいだけど、徐々に精霊を守ろうとする人たちが増え今ではそれが当たり前になったと聞くわ」
「そうなのですか?」
「ええ。精霊は大地を育み豊かにする存在だもの。大切にしなければいけないわ」
「だから精霊が見える人もすごく大切にされるんですよ!俺レイさんがそうならいいなってなんとなく思いました!」
「うん、僕もそう思った。レイさんなら精霊に好かれそうだし、精霊を守ってくれそうだし!それに優しいレイさんがみんなに大切にしてもらえたらなって」
「だからそんな顔しなくて大丈夫だ。レイさんのことは皆が大切にするさ」
「いえ、私はいいのです。どうなっても。ただ、私が何か魔法や魔道具などで操られる可能性があるのではないかと心配しておりました」
「レイさんを利用して精霊を捕まえる奴がいるかもしれねぇってことか?」
「はい。精霊たちが物のように扱われ傷つくのが怖いです。それをできるのが人間だと思っております」
「そうねぇ…アンデット系の魔物がよく使用するような魔法は浄化で払えるけれど、レイさんは使えるかしら?」
「はい。使えます」
「それなら大丈夫ではないかしら?そういった魔法に人を操るものはなかったはずよ?精神を狂わせる魔法ではあるけれど、それは浄化で払えるもの」
「魔道具に関しても問題ないぜ?マジックアイテムもそうだが、そういうのは見つけ次第ギルドや国が責任持って壊すのが普通だ。仮に誰かが隠し持ってたとしても浄化でなんとかなるんじゃねぇか?」
「レイさん、精霊って悪いものを嫌うんすよね?」
「はい。悪しきものを嫌い離れますね」
「それじゃあ、精霊たちの動き見てればそこに悪いもんがあるって分かるんじゃないっすか?」
「そうだね〜。もし隠し持ってても大丈夫じゃない?」
「…そう…ですね…」
「それに!レイさんが今日俺たちに使ってくれた魔法って浄化ですよね?」
「はい、そうです」
「やっぱり!俺あんなにすごい浄化知らないです!だからもし何かあってもその魔法でレイさんも精霊たちも守れると思います!」
「そんなに凄かったのか?」
「はい。僕たち一瞬で服も装備も身体も綺麗になりました。なんか体内の悪いもの?も全部なくなった感じがしました」
「あ!分かる!あたしもそんな感じたよ!外側もだけど、内側もぽかぽか〜って!」
(えっと…そうなの?自分では分からないな…)
「他の方の浄化がどのようなものなのかを知りませんのでそこに関しては自信がありませんね」
「ふむ…レイさん今魔力に余裕はあるか?」
「はい」
「それなら俺たちの誰かに浄化を使ってみてくれないか?」
「分かりました。魔力は問題ないので皆さんに使用しますね」
そうして全ての汚れを払い綺麗にするべく魔法を放つと、
「いかがでしょうか?」
「「「「……………」」」」
(え?いいの?悪いの?)
浄化の光に包まれた4人は返事を返すどころか動きすら見られない。
「いや、これはすげぇな」
「オレこんな肌すべすべになったの初めてっす」
「なにこれ〜?カレンあたいの肌どう?」
「すごいわねぇ。エマの肌も髪も綺麗よ?だからレイさんはどこを見ても艶があるのねぇ」
「艶があるかは分かりませんが、常に綺麗にしておきたいとは思っておりますね」
(いや、肌の話はいいよ。まぁ、彼女たちにとっては重要か…)
「レイさんすまねぇ。簡単に使ってくれなんて言っちまって」
「え?特に問題ありませんので気になさらないでください」
「けどこれ普通の浄化より断然すごいっすよ。魔力けっこう使ったんじゃないっすか?どっか横になって休んだ方がいいっすよ」
「いえ、魔力はほとんど減っておりません。お気遣いありがとうございます」
「「「「は?」」」」
(は?今度はなんだというのだ…話が進まない…いや、自分のせいなんだろうけど…)
「ほとんど減ってないってなんすか?こんだけ凄い魔法なのに?」
「そう言われましてもそれが事実なのでなんとも…」
「レイさん本当に大丈夫?無理してない?」
「いえ、全く。本当にご安心ください」
(もう減った分は回復してるしね)
「そういえば俺たち魔力のこと考えてなかったです。すみません。本当に大丈夫ですか?」
「ふふ、嘘ではありません。あの後すぐに森を走れたでしょう?どこか不調に見えましたか?」
「確かに…めちゃくちゃ速くて一瞬で見えなくなりましたもんね…戻ってきたときも元気に見えました」
「ええ、だから大丈夫ですよ?ね?皆さんもご安心ください」
(そういえば、魔力量って人によって違うんだったか…ま、どうでもいいや)
「「「「………」」」」
(いや、その沈黙は何?あぁ、罪悪感かな?私が気を遣っていると思われてる?ふむ…)
「正確には分かりませんが、自然治癒が無くともあと1万回は使えます。それでも不安が残るようでしたら、今からフラムバードを狩ってきましょうか?ふふ」
「「「「いやいやいやいや」」」」
(みんな仲良しだね。異口同音とはこのことか)
「はぁ…レイさんが凄いのは分かった。嘘を言ってるようにも見えねぇしな」
「レイさんどんだけ凄いの?」
「ふふ、ほんとに良かったわ。レイさん、綺麗にしてくれてありがとう。この浄化なら払えないものは無いと思うわよ?」
それなら安心かな?
何か悪いものが近寄ってきたら精霊たちは逃げるだろうし、浄化を纏った結界の中に入ってもらうという手もある。
そのときは自分に浄化をかけ続ければ精神を蝕まれることもないだろう。
うん、大丈夫そうだ。
「安心しました。本当に良かったです。教えてくださってありがとうございました。自分が迂闊でした…」
「ふふ、さっきは今にも死にそうな顔をしていたわよ?あの一瞬でそこまで精霊たちのことを考えられるのは凄いわ。そんなレイさんだからこそ精霊さんたちは姿を現すのねぇ」
「ほんとっすよ。オレちょっとびびったっす。つぅか自分の心配もして?マジで」
「そうだよ〜。精霊たちも大切だけど、レイさん自身も大事にしてよね!大丈夫だよ!みんなが精霊もレイさんも守るからね!」
「精霊が見えることを無理に隠す必要はないのよ?むしろ隠さない方がレイさんは守り慈しむ存在だと皆が理解するわ」
(隠さない方がいい…か……)
「仮に悪用しようと考える奴が出てきたら国が人が皆がそいつを許さねぇ。それぐらい精霊は大切な存在なんだ」
「…そう…でしたか…」
(そうだったのか…今はもう悪用しようとする者は少ないんだね…みんなが精霊を守ろうとしてくれるんだね…パテルさんに知らせたいな)
まただ…我慢したいのに…泣きたくないのに…それなのに涙が
「…っ…良かったです…本当に…」
「あら?レイさん!?」
「どうしたの!?あたいたち何かした!?」
「…っ…いえ、違います…すみません突然。…ある方に聞いたんです…」
「何をっすか!?レイさん泣かないで!」
「昔、精霊を捕らえようと作られた魔道具のことを…」
そうして私はパテルさんから聞いたあの親子の話を皆に聞かせた。
「……んなことがあったのね…」
「…っ…ひどいです!俺たちだって精霊がいるから森が、大地が豊かになるって知ってるのに!」
「あたしだって暮らしてればそこに何か居るって分かるよ!感じなくても、見えなくても大切な存在がそこに居るって知ってます!」
「街で暮らしてればな、突然リンゴが転げ落ちたり、勝手に物が移動してたりなんてよくあることだ。誰の仕業なのかみんな知ってるぜ?」
「そうなのですね…」
「いたずらはするけどね。悪いことはしないってあたい知ってるよ」
「前にね、優しい子をいじめている人に突然突風が吹いたことがあるのよ。精霊さんは好いた子が傷つけば助けるのよ?」
「そうするとみんながあいつは悪い奴だって分かるから、そのいじめっ子には誰も近寄らなくなるんだよ」
「精霊さんは緑を育むだけではなく、そうして人々を見守ってくれる存在でもあるわ」
「大丈夫だ。今はもう皆がその存在を尊び大切にする。安心してくれ」
「…そうでしたか…本当に良かったです。私その話を聞いたとき悔しくて悔しくて…でもね、お話を聞かせてくれた方はなんでもないように話すのです。誰よりも悔しかったはずなのに…それが余計に悲しくて…何も言葉を伝えられませんでした」
「大丈夫よ。きっとレイさんの気持ちは伝わっているわ。そのときレイさんに向けられた瞳はどうだったかしら?」
「…とても…とても優しかったです。困った顔して泣くなって涙を拭ってくれました」
「ふふ、愛されているのね」
「そう…なのでしょうか?」
「ええ。そうでなければ涙を拭いたいと思わないわ」
「…そうだといいなと思います」
「ふふ、ええ。間違いないわ」
(そうなのかな?そうだといいな。パテルさんがこの話を聞いたらどんな顔をするのだろう…)
目を閉じると瞼の裏に映るのは澄まし顔をしたパテルさんの姿。
けれど、彼の感情を現すのは金色の瞳だと知っている。
あの優しい瞳を曇らせたくない。影ることのないように私ができることはないだろうか…
(…私ができること…私がやりたいこと…)
私の瞳には精霊が映ると多くの人々に知られた方があの子たちやパテルさんの為になるだろうか…
強く優しい白い花に勝手に水やりをしたら嫌がるかな?
(そもそも水やりになるかどうか…私が勝手にやったことが毒となることもあるかもしれない…)
──────────
『レイもおれたちのことまもってくれもんな?』
「任せてください。笑顔の花を咲かせましょう」
『それならおれらは、れいのえがおのはなさかせればいいな!』
精霊と共に在り続けます。生涯ずっと。
守り支え合い、平穏を与えると誓います。
何があってもこの誓いは
──────────
ふと今日森で誓ったことを思い出した。
(そうだった。私の心の声を聞くのが先決だと心の内で吐き捨てた奴がいたねぇ)
やりたいことができた。今やると決めた。
笑顔を咲かせ、そして散ることのないよう、ずっと精霊と共に。
自分にできることをやろう。
左胸に在る友に手を伸ばすのは本日2度目だ。
けれどやっぱり瞼の裏に映るのは白い花。
さて、生きようか。
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