奇譚3 ワンニャンアイランド

@skullbehringer

奇譚3 ワンニャンアイランド

最近、うちの6歳が犬が欲しいとか言うのよ。いや、うちに1歳と2歳の赤ちゃんいるじゃん、犬と猫みたいなもんだよ〜って適当に誤魔化してその度に嫌われてるんだけど(自嘲的な笑い)イオンに行くと必ずペットショップの前で10分は張り付いて離れないんだよね〜いやちょっと盛ったな(唇だけ歪めた笑い)2、3分かな、ちっちゃい、あれ何犬つーの?クソ高いやつ、あいつらがしっこやうんこの上でのたうち回ってるを見てるんだよね(ややあきれた笑い)こっちとしたらなんか臭いしめんどいし腹減ったし買い物めんどいしゲーセン行ってフードコート行ってまたゲーセン行ってその途中でガチャガチャやって金使わねーっつってんのに泣いて離れねぇしほっといて置いてくふりしても全然こっち見ねぇからマジむかつくしでほんとイクメンしんどい(自嘲的な笑い)まぁまじでかわいいから結局はゆるせちゃうんだけどね、子どもって(自嘲的な笑い)お前も早く結婚しろよ、いつまであきちょん待たせてんのよ、まじでみんなもうお前の結婚あきらめてるよ(やや呆れた笑い)こないだゆうのすけに会ったときもお前の話しでてたぞ、まじありえねーって、うちの部で高校からつきあってんのお前らだけじゃん、絶対1番先に結婚するとかみんな言ってたのに、結局1番最後になってんの(ややあきれた笑い)まじで祝う準備できてっから、そろそろ男みせろよ、な(やや呆れた笑い)てかさ、なんか人妻ってエロくない?なんか俺最近、癖かわってきたかも(唇だけ歪めた笑い)なんかギャルには無いエロさっつーか、背徳感っつーか、甘えさせてくれる感じっつーか、うちのパートの人妻がマジいいケツしてるんだよねー、この前そいつとLINE交換してさ‥てかお前、俺が人妻エロいとか絶対言うなよ、まじで(真顔)つうかさー、まじタイチ達おせーよな、来る来るとか言って、くるくるサギじゃん、ちょっとお前からもLINEしてみて、なんか俺が送るより普段連絡しねーお前のほうが価値重いだろ?(真顔)あ、てか、あれタイチじゃね?おーい、こっち、おせーよ、おめーら。








(暗転)




(どこからともなく音楽が聴こえる)




ワンとニャンがあふれる〜

ワンとニャンでいっぱい〜

ワンとニャンが出会った〜

ワンワンニャンニャン

ワンニャンアイランド〜







‥いってーな、なんだよちくしょう、あ?誰だよ、おれの頭の上にいんの、重ぇよどけろよ‥てか俺何してたんだっけ?


男「やまだたいちくん?」


あ?だれだよおっさん、俺はタイチじゃねーよ、俺は‥俺は、‥えーと誰だっけ?


男「やまだたいちくんですよね?」


だからタイチじゃねーつってんだろ、俺は、アレだよ‥えーっと、うん?てかなんか声出てなくね?


男「たいちくん、驚かせてすみません。よく聞いて下さい、君は今どこにいるかわかりますか?」


‥あん?


男「そういうことです。わかったかな、そう、今、君はワンニャンアイランドにいます。」


ワンニャンアイランド。


男「君は全国6千万人の日本国民の中から見事選ばれたわけです。パンパカパーン。ひゅーひゅー。おめでとうございます、今日はいつもより多く回っております〜、って言っても最近の若い子には伝わらないか」


‥回っております。


男「君たちには今から殺し合いをしてもらいます。‥ウソウソ、冗談、たけしのモノマネ、一回してみたかったんだよね、この状況で。これも伝わらないか」


ころしあい。


男「ご存じの通り、我が日本国の亜空間的少子化対策では現在の日本を大変危機的な状況と捉えており‥って、知ってるよね?今、国会とかで話し合われてる新しい少子化対策の話。ニュースとか見てる?まぁ見ないか、そうだよね、おじさんもそうでした、若い人は別にそんなもんだよ、気を悪くしないでくださいね」


‥少子化対策。


男「それでは改めまして、こほん、説明しよう!‥これも伝わらないよね〜、はいはい、さっそく本題に入ります。君は犬と猫、どちらが一回の交配で多く子どもを産むか知ってるかな?」


‥犬?


男「ぶーっ、正解は猫でしたー。犬が一回の交配で5から10頭産むのに対して、猫は1年で20頭は産む事が可能で、しかも猫は生まれた翌年には確実に繁殖できる体に性成熟し、年に何回も出産できるなど、 繁殖効率がとても高い動物なのです。」


性成熟。


男「なので21世紀の日本では猫のブリーダーの中には管理もろくにできないのに、めちゃくちゃな交配させて部屋は糞尿だらけ、餌もろくにあたえず、病気や奇形続出、みたいな悪質な個人売買業者がたくさんいたんだよね。ただ、猫の繁殖力の強さを人間にも応用できないか、っつて考えた頭のおかしいエリートがいたんだよ。頭のいいやつの考える事はバカなのか天才なのかわかんないよね」



男「ハイ、そこで登場したのがここ、人工受精効率適正試験場、通称ワンニャンアイランドでーす。まぁその名前で呼んでんの裏だけどね、表向きにそんなん言えるわけないじゃんなー。ちなみにテーマソングもあるよ、つくばのバカな学生が面白がってつくったやつ、さっき流れてたっしょ?うけるよねー、まぁお前らなんて犬猫畜生みたいなもんだからお似合いだよね」



男「ごめーん、本音出ちゃったワラワラ。大丈夫、もうすぐ全部忘れるから、だいぶ意識薄れてきたっしょ?ったくめんどくせえな、こんなやつらただのタネうまなんだからさっさとワンニャンにぶちこんどきゃいいんだよ、てか人口増やせ増やせとか言うけど肝心なのは質だよな、俺みたいな純血の日本人をもっと大切にしろよなクソ政府」


部下「‥主任、主任、こいつやまだたいちとちゃいますよ、別人です」


男「うっそまじ?ヤバないそれ。だれだよー間違えて捕まえてきたやつ。‥まぁいっか、なんでも。どうせこいつらなんて似たようなもんだろ、とりあえずもう送っちゃってー」


部下「はーい」


ぶぉん(亜空間が開く音)


男、部下「ワンニャンアイランドへ、いってらっしゃいませ〜」


ワンとニャンがあふれる〜

ワンとニャンでいっぱい〜

ワンとニャンが出会った〜

ワンワンニャンニャン

ワンニャンアイランド〜

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