男女の友情

堕なの。

男女の友情

「今日のお題はー。散々擦られてきた、男女の友情は成立するか、でーす」

 出会いの春、俺と結菜は二人でいつも通りを過ごしていた。彼氏を作ると言っているこいつにしばらく彼氏は出来ないだろう。

「新入生に絡まなくていいのか。お前、後輩とか好きだっただろ」

 それとなくぼかした所でコイツには伝わらないので直接伝える。だが動くことはない。よほどこの話題がやりたかったようだ。

「する、じゃなきゃこの関係は存在しない。以上」

「え〜」

 面白くなさそうなコイツの声を右から左に流す。不貞腐れた顔をしているコイツに、何か嫌な予感。

「こんなことされても何も感じないのか〜。枯れてるな〜」

 体をくっつけてくる。ぶっちゃけウザい。こういう所が彼氏が出来ない要因の一つなのだと思う。

「悪かったな。枯れてる男は放っておいて、お前は適当に彼氏を探せ」

 文句を垂れながら教室を出ていく。その後ろ姿をどうしたって追ってしまう。好き、なのだろう。あんな奴が。

「友情は成立する。俺たちの間にも友情は存在する。ただ、それを監視する第三者が必要なだけだ」

 スマホのバイブ音で通知に気づく。結菜の親友からの煽りのメッセージだった。アイツは俺と結菜がさっきまで一緒にいたことを知っている。監視する第三者だ。

 うるせー、と一言。それ以上は何もする気が起きなくて机に突っ伏した。

「好きだ」

 一生伝えられない言葉を零した。本当は伝わって、少しでも俺のことで困れば良いと思って。

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男女の友情 堕なの。 @danano

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