クソ野郎ビリアン

「さて、、、取り繕った方が良いですか?」

部屋に入ったベリアルはペトラにそう聞く

「結構です」

「それはよかった、、、中央が2人のことをここまで早く知るとは思ってなかったんだがどんなカラクリだ?少なくとも内部の裏切りじゃないことは分かってる、、、ドンピシャでそっちの人間が現場で知ったというのが一番あり得そうだがそんな運よく行くものか?」

ビリアンがそう聞くと

「中央が情報を掴めたのはこっちの人間が現場で知ったんですよ、、、そしてそんな幸運が起こったのは神の御導き、、、というわけではなくカエデさんですよ」

ペトラはそう返した

「カエデさん?どういうことだ?」

「カエデさんの姓はサンモンジなんですよ」

「っ!カグラの娘か?!」

ビリアンは驚愕する

(あのカグラの娘、、、なるほど)

「元々予言による勇者の仲間として当たりを付けていたのか」

「そういうことです、、、さて、ということで中央はアリアさんとカエデさんをセラフまでお連れしたいのですよ」

「まー、そうだろうな。俺としてもアリアには一流の教育を受けてもらいたいな」

「ええ、、、ただ」

「ああ、アリアは孤児たちの姉だ。そうすぐにセラフに向かうのは無理だ、、、最低でも3か月は無理だ」

「なるほど、、、私は至急2人をお連れしろと言われていますが、、、そう言う理由なら私としても口利きして安心した状態でアリアさんをお連れすることやぶさかではありません」

ビリアンの言葉にペトラはそう返した

「その間にアリアさんがどこかに消えなければね?」

しかし次の瞬間殺気をビリアンに向けてそう言う

「はは、流石にバレるか、、、悪いが俺達はアリアの人生を縛るようなことは絶対に認めない」

「、、、それは教皇陛下のご命令に逆らうということですか?」

「ああ。そう受け取ってもらって構わない」

「、、、正気ですか?」

ペトラはビリアンの発言に恐怖を感じた

「子供を守るために動いたら正気なんて消えてるよ、、、ただ、その上で言わせてもらうが、今の状況を考えてみろ、、、ヤマトとの関係は悪化してるし、サフランの反乱もこことの関係が悪いのは厄介だろ」

「、、、」

「それに、、、アリアの白い眼。勇者の刻印とあれは下手打つととんでもないことになるんじゃないか?」

「っ!!」

(最年少で大司教就任したという才覚、、、想定以上でしたね)

ペインはビリアンの言葉に何も言えない

「アリアは渡せない。そしてカエデさんも渡す気は無い、、、まー、カエデさんに至っては自分の意思に任せるが、アリアはダメだ。あいつは世間を知らなすぎる。俺みたいに金にしか興味のない上層部のクズ共に任せられるか!」

そしてビリアンはそう答えを告げた

「っ!この一件は上に報告させていただきますから!」

そう言うとペトラは部屋を出ようとして

ガチャン

ドン!

「きゃ!」

勢いよく空いたドアに激突した

「あ!すいません!」

「ん?どうしたんだそんな慌てて?」

「そ、それが、、、」

入ってきた修道女は少しペトラを見るが

「いや、私達も分からない話だし言うべきよね」

そう覚悟を決め

「アリアちゃん達が居ないんです!」

そう告げた





ガチャン

「「あ!ビリアン様!」」

自室に戻ってきたビリアンに他の司教が一斉に安堵の声を上げる

「どういうことだ?!逃げれないように警戒はしたよな?」

「それどころか私が中に入っていました」

女性の司教がそう言う

「、、、どういうことだ?」

「一瞬で姿が消えました、、、まるで時が止まったように」

「、、、なるほど」

(最悪すぎる!!)

ビリアンは想定しうる中で最悪の状態に顔を青くする

「、、、聞くまでも無いと思いますがそちらの下が暴走したとかは?」

ペトラがそう聞くと

「なわけあるか。今の状態のアリアを外に連れ出すなんて爵位持ち悪魔を受肉させるようなものだぞ、、、というかどういうことだ?カエデさんだって眼のこととか全部抜きにしても今のアリアを連れ出せば問題になると分かってるはずだろ?」

「アリアさん本人の意思というのは?」

「それも考えずらい。下手に動けば妹弟に危害が加えられる可能性にもアリアなら気が付けるはずだ」

(一体どうなってるんだ?)

ビリアンは頭を悩ませる

「、、、よし。お互いにいい関係で居たいのは居たいんだ。アリアを連れ戻してくれたら俺と一緒にすぐにセラフに行くっていう条件でひとまず話でどうだ?」

「ここで、その話を断るのは地と知の利が無い私じゃ大変ですし、裏切った場合は取返しがつかない傷を生みそうですしそれでいいですよ。その代わり積極的にセラフとアリアさんのお互いの友好関係構築をお願いしますよ」

「ああ!」

こうして両陣営が一切想定していなかったアリアとカエデだけの意思による逃走にお互い手を組むのであった





「ふふ」

(ばーか!誰がお前らなんかと組むかよ!)

1人になったビリアンは嗤う

(どうせ中央から今日ぐらいに来ることは分かってたんだよ。カエデさんがサンモンジ家の人間だって言うのは想定外だったがどうせ何かしらで今日ぐらいだと当たりを付けておいたんだよ!)

「他のみんなには悪いが敵をだますにはまず味方からだ」

自分のウソに騙されアリアのことを心配しているであろう司教に申し訳なさそうに顔を顰める

だが

「あの女(最年少で大司教就任したという才覚、、、想定以上でしたね)とか思ってたけどお前程度で俺のクソみたいな思考を理解できるわけないだろ?」

すぐにペトラのことを思い出して嗤う

「さて、、、あの2人にはヘルメス家に行くようにメモを書いておいた」

(頼んだぞクソ悪魔)

ビリアンの脳裏には青髪青眼の少女が思い浮かぶのであった

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