覚醒

「なっ!」

レラジェは驚愕した

「む、無傷?!」

毒煙を食らったアピスが無傷の状態で立っていたからだ

「基本的に水と自然と地の精霊はこういう毒攻撃の耐性が高いんでな」

驚愕するレラジェにアピスはそう告げた

「っ!」

(そのことは知っていたけどここまでとは)

レラジェは自身の認識の甘さを呪う

「、、、」

(でも想像以上に他司教の攻勢が激しくて2人の回復が進んでいない、、、私の目的はこの子達を倒すことじゃない、、、バランの街での魂回収が終わるまでアリアを逃がさないこと。戦況は刻一刻と私が有利になっていくわ。魔解は10分しか使えないけどそれだけ時間があれば)

しかしレラジェにとってそれはそこまでの問題では無かった

「そうそう。お前時間が経てば経つほど有利になると思っているだろうけど逆だぞ?」

その一言がアピスから発せられるまでは

「え?」

「あのバランの大司教がなんか偶然お前の術式を解除する術式を持っててなお且つそれをバランの司教全員習得していて集まった冒険者とかが子供達を大教会内で足止めして順々に解除していってる。完璧な布陣だったから死者は出ないだろうし滞りなく解除されるだろうな」

「は?!あのクソ大司教なんでドンピシャでそんなもの持ってるのよ!」

あまりに不運にレラジェはそう叫ぶ

「神の思し召しってやつだな!グラウンド・ロア!!!」

アピスが魔法砲を放つ

「私の前で神を称えるな!!マザー・アンリミテッド・ハートバースト!!!」

そしてレラジェも魔法砲を再び放つ

ドカン!!!

2人のとんでもない威力の砲撃がぶつかり辺りが消し飛ぶ

そして先ほど以上の衝撃よって出来た大量の煙が晴れるとそこには

レラジェと

「え?」

セリア・アリア・カエデが居た

(あの精霊は?!)

アピスが居ないのである

「どこに?」

風香が周囲を見渡す

そして

ガラガラガラ

「ぇ?」

突如レラジェの足元が崩れ落ちた

(しまった!地の精霊なんだし地面に!)

そう考えながら自ら開けた穴に落下するレラジェを

「グラウンド・ブレイク」

ドカン!!

アピスが上ってこれないように叩き落とす

「セリア!後は頼んだ!!」

そしてアピスもレラジェの後を追うのであった





「あの上位精霊自爆する気?!」

建物の陰に隠れながら一部始終を見ていた吸血鬼はそう呟く

(あの心が折れちゃった女の子命を差し出せるほど信頼されていたのね、、、にしてもレラジェだっけ?あの女は一切の悪意無しでこの惨状を生み出してると考えると本当に悪魔信仰者は怖いわね。私とベルフェも第三者から見たらそんな感じなのかしら、、、バティンにでも聞いてみるか)

「それにしてもあのレラジェとかいう司教、、、随分と舐めたマネしてくれたわね?」

吸血鬼は憤怒に顔を染めてそう呟く




「ん?」

(ここは?)

「っ!アリア!」

カエデは勢いよく起き上がる

「がぁ!!」

しかし激しい痛みが襲う

「最低限しか治せていませんから無理しないでください」

そんなカエデに魔教司教と戦いながらセリアがそう言う

「、、、セリアさんが私のことを治してくれたうえ守ってくれているようだな」

そしてカエデは即座に状況を判断する

「はい、、、アリア様も目覚めれるぐらいには回復させたのですが、精神が目覚めることを拒絶しているみたいで」

魔法を行使しながらセリアはそう答える

「母親が妹弟を皆殺しにしたなんて現実を拒絶したくなるだろう、、、そうだ!街の子供たちは?」

「大司教様がドンピシャで対抗策を持っていて完封しています、、、助かるでしょう」

「よかった、、、もう一人の精霊は?」

カエデがそう聞くと

「っ!!」

魔法が大きくブレるほど動揺する

「あの子は、、、レラジェを倒すために自爆する気です。恐らく助かりません」

そしてそう答えたと同時に

ドカン!!!!!

「っ?!!」

とんでもない衝撃が孤児院跡地の穴から発生した

「スピリット・シールド」

セリアは全力で2人を守る

「、、、勇敢な精霊に最大限の感謝を」

カエデはアピスに最大限の感謝を伝える

「アピス、、、アリア様は私が必ず守るから。いつか転生したらまた会えることを祈っているわ」

セリアもそう言うのであった

そして

「「っ?!!!!」」

カエデとセリアは驚愕する

ものすごい魔力を穴から感じる

「何この魔力?!」

「アピスの魔力じゃない!!」

2人は焦る

ビュン!!

「「っ!」」

そして穴から何かが出てきた その正体は

「う、嘘でしょ?」

ボロボロとなったアピス

「な、なんておぞましいんだ」

の首根っこを掴む所々が黒く変色したうえ翼や尻尾、角が生えレラジェの姿であった

「はー、はー、本当はアリアのために呼び出すための術式を使ってしまうことになるなんて、、、」

「っ!!まさか疑似的な悪魔召喚を自身の肉体を媒体にやったの?!そんなの魔教司教がほぼ不老だとしても命を削るような行為よ?!」

セリアはレラジェのやった行為を理解して絶望する レラジェ本人の危険というのももちろんあるが

(もはや侯爵悪魔そのものの領域に片足突っ込んでるわよ?!死ぬまで時間稼ぎしよにもあまりにも力の差がありすぎる)

今のレラジェは君主司教と同格のレベルである中位精霊のアピスでは到底太刀打ちできる物ではない

「アリア、、、アリア!!!」

「、、、」

(もはや意識が持っていかれてる、、、アリア様!!)

覚醒レラジェVSセリア

疑似君主司教VS中位精霊

という絶望的な戦いが始まる

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