第2話 スキル

アラタは少女に言われるまま、建物から出る事にした。

神殿のようなこの建物の、松明が灯された長い廊下の奥に出口らしき光が見える


「しかし驚いたのう、あの織田信長がこの世界にいるとは。さらに戦ってる相手がアレキサンダー大王、アレクサンドロス3世とはのう。すごい世界に来たもんじゃ。」


「だいたいの日本人はびっくりするよね、私もはじめて聞いた時はびっくりしたよ。元々信長様が転生されて来た時は、何とかって元総理大臣が国をまとめてたんだけどアレキサンダーの軍勢見たら逃げたしちゃって。他の国から英雄が攻めて来るのは、はじめてだから仕方ないけど。」


「ふむ、わしが日本に居た時も情けない政治家が多かったが、もしかしたらその中の誰かかもしれんな。」


「それで信長様が、そのまま侵略されるのを良しとしない人達をまとめてアレキサンダー軍を退けたんだよ。凄かったらしいよ、古い火縄銃が空に何千丁も浮かんで一斉にバババって。この世界に来た時に、たまにスキルが発現する人がいるんだけど、すごいスキルだよね。

今は北の方までアレキサンダー軍を押し返してるよ」


「ほう…」


スキルが発現するとはのぅ。考えればワシのような一般人が転生して第2の人生を歩み、様々なスキルを得たという事は、まさに英雄とも言うべき織田信長も何か特別な事が起こっていても不思議ではない。


先程見た、ステータスにあった覚えの無いスキル【異界召喚いかいしょうかん】はこの世界に来た事により発現したのか。

新しいスキルは気になるが、人前でステータスの確認はしたくない。それに今更新しいスキルが増えた所で特に変わる事もないじゃろう。


後からゆっくり確認するか。


頭の中で情報を整理していると、いつの間にか出口に近付いていた。


「ここを出るとすぐに街があるよ、英雄が出てくるこの場所は、大事な場所だからここを囲むように街があるんだ。

まずは役所に行って人別帳の登録だね。戸籍登録しないと捕まっちゃうからね。

この世界は何故か電子機器とかは使えないから大変そうだよ、役所の人も。」


「良く出来ておるのう。

電子機器が使えないのは残念じゃが…。やっとゲームできると思ったのにのう。」


「あはは!残念だよね。結構みんなそれ言うんだよね。」


色々な説明を受け、ぼんやりと大昔の記憶にある、途中だったゲームを思い出しながら

出口をくぐり明るい外へと足を踏み出す。


ここから先は新しい世界なのだ。




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