第34話 『西蓮寺 瑤』(ざまぁ回final)

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 ◆ ◆ ◆


「あがいばなお"のげたァあぁああああアアアアあ"あ"あ"あ"ア"ア"ア"アッッ!?!?」


 もう人語ですらないダミ声で、絶叫するジョルジュ。必死に背中を掻きむしるも、ナイフに手が届かなかった。


「あらあら、ごめん遊ばせ? うっかり・・・・手元が滑ってしまったわ」


 背後から刺しておいて、うっかりとか……でも、そんなことはどうでもよくて!


「アンタ……なんで…………?」


「どうしたのかしら、星見 結愛。私が生きていたのが、そんなに不思議? あの程度で死ぬようなら、光の巫女なんて務まらないわ」


 奈落に墜ちて、あの程度……そうですか。


「それに、いずれ『借りは返す』とも言ったハズよ?」


 へ……? あー確かに町の歪みが発生した時、そんなこと言ってたねぇ。ただの負け惜しみかと思ってたけど。


「ぶわぁかヤロウぅうぅううううッ! ハルカぁあぁああああッッ、誰を刺してるうぅううううッ!? フザケルなぁあぁああああアアアアッッ!!」


 ジョルジュは瑤を指差して、不思議な躍りを踊ってた。瑤は髪をかき上げて、ゴミを見るような視線を送る。


「新世界の神ともあろう御方が、その程度で取り乱すなんて(笑)私は『裏切り者』は許さないって、言ったハズだけど? まったく誰彼も、健忘症が著しいわね」


 毎回、余計な一言が多いね(-_-;) まぁ助けられたのも事実だし、ここは黙ってよ。


「まぁ『加護がある』状態では、私も手も足も出なかったけどね。自力じゃ解除も出来ないし、星見 結愛が上手く動いてくれたわ」


「要するに『漁夫の利』狙いだったってわけね。実にアンタらしいよ」

「そう言われるのもしゃくだわ。もう貴女に貸しを作りたくないもの」


 瑤がパチンと指を鳴らすと……


「……っ! 傷が……何をしたんだ?」


「見ての通り『治癒』したのよ。私が光の巫女だって忘れたの? 回復系は得手してるわ。もっとも貴女たちに塩を送るのは、これで『最初で最後』だけど」


 そのきっつい性格で、回復系が得意なんてドヤられても説得力ないでしょ(^_^;)


「そうですか……で、結局何しに来たの?」

「ちょっとした『後始末』よ」


 後始末……あーアレ・・のことね。


「ハルカァあぁアア!? ナニやってンだお前ェえぇええッ!? 今日マデ、余計なマネはするなと指示シテただろオォがぁアアッ!? ピくショー、これは罠だッ! 神を陥れる卑劣な罠ナリッ」


 泣きべそを掻きながら、ズボンを濡らして(汚いなぁ><)這いつくばるジョルジュ。こんなのに裏切られたら、そりゃやり返したくもなるか。

 瑤の指パッチンで光の矢が急所を避けて、ジョルジュの全身を貫いた!


「はひゃあぁああアアッ!? たしゅけて……ワイはどーすればええんやッ!? オヤヂはどこイッた!? 大臣ハッ!? ダレカ、こいつらヲ56せぇエェええええええええッッ!!」


 ジタバタするジョルジュ。新世界の神って、なんだったんだろう……(´・ω・`)?


「情けない姿ねぇ、ジョルジュ。あなたに世界を救えるわけないでしょ? たった『一人の女』すら扱えなかったのに」


 『正論』で、ジョルジュを追い詰める瑤。ジョルジュは目を血走らせて、瑤に這い寄ってきた。


「ハ・ル・カぁあぁアァ! オデはセカイの金庫ヲ守るンだァ……もっぺん、キサマの魔力を寄越せェえぇええ……! コンナ世の中でええのかァ? クサった世界ハ、俺たちデ浄化スルんだァ……!」


「……………………」


 瑤は腕組みをしながら、ジョルジュを見下ろした。やがてジョルジュの手を取り、二人の全身が淡く光り出した。まさか……!?


「……っ!? やめろ光の巫女っ! 散々騙されて、まだ分からないのか!? そいつは約束など、何一つ守らない正真正銘のド外道だっ! また同じ過ちを繰り返す気か!?」


 慌てて瑤を止めようとしたけど、不可視の障壁に阻まれた!


「お生憎さま。消耗した貴女たちには、止められないわ」


「キハハハハッ、ざまぁみろッ! 最後に『正義』はカツんだよッ!?  ソコで指くわえながら、消えるセカイを見届けるンだなッ!?」



「いいえジョルジュ、消えるのは『あなた』よ」


「…………………………………………ア?」


 瑤のりげない一言で、ジョルジュは硬直した。


光の巫女わたしの『封印』を持ってすれば、あなたは二度と世界に『干渉』できない」


「ハァアァアアアアッ!? 聞いてねーゾッ!? ンな『チート技』があんなら、なんでさっさと使わなかった!?」


「聞いてないハズないでしょ? 私は確かに言ったわ。『切り札』は、最後・・まで見せないものだって」


 ジョルジュの顔から血の気が引き、今さらジタバタし始めた。


「なっ……ワイは○ぬのかッ!? この恩知らずがッ! ドコまで面の皮がアツいんだッ!? オマエを召還シタのが間違いだったッ!」


「何を今さら。私が浄化を渋っていたのは、別にヤル気がなかったわけじゃないわ。『こうなるのを』見越して、魔力を溜め込んでたのよ。いざとなれば、自力・・で還れるようにね」


……瑤はジョルジュを、信用してなかったのだろう。それこそ『最初』から。


「要するに、あなたは『詰んでた』のよ。私を『召還』した時点でね。短い間だったけど、まぁ『それなり』に楽しめたわ」


「……ちょっと待ってよ!?」


 私は慌てて、瑤を呼び止めた。瑤は横顔だけ、こちらに向ける。


「アンタ、元の世界に還るんじゃないの!? 両親とか心配するでしょ!」


「ご心配なく。私の『封印』は完璧よ。誰にも解除できないし、封印された者の記憶は完全に『消去』される」


……なんで、そんなにあっさり言えるのよ。まるで、世間話でもするみたいに!


「星見 結愛。貴女に『勝った』という事実は残るわ。貴女は『永遠』に、私を超えることなど出来ない。今、どんな気持ちかしら?」


 要するに『勝ち逃げ』ってこと? もうそれでいいよ。本当に執念深いね(呆)


「さて、そろそろ時間ね。最期に言い遺すことはないかしら? 神サマになり損ねたおバカさん(笑)」


「シンセカイ、ゲッ○だぜッ!? 嗚呼ァああああッ、憧れのッ! シ・ン・セ・カ・イの神ィイィ! なれるカナ? ナラなきゃ?? ゼッタイなってや……オロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロッッ!?!?」


 これ以上ない『変顔』を晒しながら、昇天するジョルジュ。まさか『浄化』を目的に、召還した巫女に召されるとか思わなかったでしょ(´~`;)


 消え行く瑤に私は、どうしても訊きたいことを叫んだ。


「瑤……! アンタは『それで』よかったの!? アンタほどの『頭脳』の持ち主なら、他にいくらでも『やり方』はあったでしょ!? アンタは一体、なんの為に……」


 そんな私を瑤は『勝ち誇った』笑みを浮かべながら、一言だけ呟いた。



「どうぞ『お気遣い』なく」



 それが私と『同時』に召還された光の巫女、西蓮寺 瑤の最後の姿だった……。  

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