【完結】虐げられた私が幸せになるまで ~優しい皇子に愛されて、毎日が幸せです。私を虐げてきた王国は崩壊しましたが、どうぞ私たちにはお気遣いなく~

たくミン☆

第1話 普通の女子高校生、異世界へ

 よろしくお願いします(^-^ゞ


 ◆ ◆ ◆


       【プロローグ】



「お腹空いたぁ……それにすっごく寒い」


 私はボロボロの毛布を頭から被り、ボヤいた。灰色の空を見上げると、小雪まで降ってきた。どうりで冷えるわけだ(切実)


「……どうして、こんな事になっちゃったんだろう?」


 私は寒さを紛らわせる為、自分の身に起きたことを振り返った。



 ◇ ◇ ◇


 私は星見 結愛ほしみ ゆうな、どこにでもいる平凡な女子高校生だった・・・。『いつも通り』の学校帰り……交差点のど真ん中に差し掛かった時、足元が輝いた。


 一瞬、何が起こったのか分からなかったけど、気がついたらお城(?)みたいな所にいた。私の他にもう一人、見知らぬ娘がいた。

 制服を着ている事から、私と同じ高校生なんだろう。あの制服って、どっかで見覚えが……あっ、思い出したよ。


 私の地元で、有名なお嬢様校だ。家がお金持ちじゃないと、入学できないみたい。私とは無縁の世界だね (ノД`) 

 紫色のロングヘアーに落ち着いた雰囲気で、いかにも『お嬢様』って感じだ。


 当然、この娘とはなんの接点もない。唯一あるとすれば、交差点ですれ違った程度。そんな私たちが、なんで知らない場所にいるの('_'?)


「やりましたっ! 『召還』は成功しましたぞ、殿下っ!」


 へ……? 『召還』って、なんのこと……!?


「ウム、どうやら上手くいったようだな」


 一人の若い男性が、満足そうに頷いた。高身長に黒い長髪が印象的で、モデルをやってそうな整った顔立ち。着ている服も、やたら高そうだし(^_^;)


「えっと……? ここは一体……それにあなた達は……?」

「よくぞ召還に応じてくれた! 『異邦人』よ」


 はい……? あの、私は異邦人じゃなくて、普通の高校生なんですが??


 その時、もう一人の娘が「ん……」と目を覚ました。私と同じく、辺りをキョロキョロしている。


「え……? ここはどこ?」


 私と同じ反応だ。そりゃいきなり知らない場所にいたら、びっくりするでしょ(*_*)


「丁度よい。まとめて私から説明しよう」


 高身長のイケメンが、話し始めた。


「まずここは『アーグル』……君たちが住んでいたのとは、異なる世界だ」


 え…………? 私ともう一人の娘は、思わず顔を見合わせた。なんか開始早々、話についていけないんですけど……。


「そして、我が名はジョルジュ・クロード・アーグル。ここアーグル王国の『第一』皇太子だ」


 確かにさっき、隣の大臣らしい人が『殿下』って呼んでたもんね。


「諸君らは、我が王国に伝わる『秘術』により召還されたのだ。名を訊いてもいいか?」


「星見 結愛です」

「……西蓮寺 瑤さいれんじ はるか


 私たちは戸惑ったけど、正直に名乗ることにした。今のところ友好的な彼らと、敵対しちゃダメという判断からね。


「ユウナにハルカか。其方そなたらを召還したのは……」


「……いい加減にして」


 瑤さん(とりあえず、こう呼ぶことにした)は、怒気をはらんだ目でジョルジュ皇子を睨んだ。


「ん? ハルカよ、何か申したか?」


「召還とか異邦人とか、そんなの私にとってはどうでもいいの! 時間のムダだから、可及的速やかに元の場所へ返して頂戴っ」


 わわわ……クールそうな娘だと思ってたけど、私の勘違いだったみたい。ていうか、いきなり啖呵たんかを切っちゃっていいの……?

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