第183話浩一郎の強さ
「えーと、会場マットはここで良いのかな」
俊哉達4人は浩一郎のブラジリアン柔術の大会の応援に来ている。賑やかな会場は男ばかりだ。俊哉は会場のスタッフに尋ねながら浩一郎の出場するマットまで辿り着いた。
「オウ俊哉、会場まで迷わずに来たな」
「浩一郎さん、頑張ってくださいね」
俊哉がそう言うと浩一郎は笑顔で答えた。
「まあ見ていろ。久し振りの大会だがな」
「さすが高坂さん、自信ありありですね」
望月が声を掛けてきた。俊哉は驚いた。
「望月、なんでここに居るの」
「高坂さんが出場すると聞いて応援に来ました。私、格闘技が大好きなんです」
それはそれだと俊哉は思ったが望月は何故浩一郎が大会に出場するのを知ったんだろう。
「主任、こんな近くで柔術の大会が開催されるなら観戦しない理由はありませんよ」
そう言うと望月は加奈子達に挨拶をした。
「貴女の噂は聞いているわ。今日は高坂さんの応援。頑張りましょう」
「よろしくお願いします」
浩一郎は黒帯マスタークラス無差別級の出場だ。
「しかし男だらけな会場よね」
「女子のクラスもあるみたいだよ」
観覧席と言うものはなく、マットの側で試合を観れる。しかし俊哉達は柔術について知識が無い。
「望月。試合の解説をしてよ」
「わかりました」
第1試合、浩一郎の出場である。対戦相手も屈強そうな選手だ。
「黒帯の試合時間は10分間です。足関節技も可能です」
「なるほど、わからん」
加奈子が言った。浩一郎はリラックスしているようだ。観戦者はあまり居ない。
「高坂さん、頑張って」
5人が声援を送る。他のジムの選手たちは
「何だよ、女の応援団かよ。羨ましいぜ」
「野郎ばかりだからな」
浩一郎の試合は圧倒的な浩一郎のペースで進んだ。アームロックで勝利した。
「高坂さん、さすが黒帯、お強いですね」
「望月さん、高坂さんの強さってどこが強いの?」
「柔術ではパスガードとスイープ、関節技と多彩な技術が要求されます。それらが組み合わさって技術を競うのですが派手な戦いでは無いので実況しずらいですね」
浩一郎は順調に勝ち進んで決勝になった。黒帯無差別級の決勝である。観戦する人が増えている。
「主任、いよいよ決勝戦です。高坂さんは圧倒的な技術力で勝ち進んできましたが決勝では日本屈指の黒帯ランカーです。さすがの高坂さんでも苦労するかと」
試合が始まった。お互い警戒しあっての序盤だった。先に仕掛けたのは浩一郎である。
「高坂さんはオープンガードで試合を進めるのでしょう。凄いです」
「望月、わからないよ」
その時、浩一郎の技が炸裂した。下になっていた浩一郎が相手の上に乗った。
「やった!スイープ成功です」
会場がどよめいた。俊哉にもよくわからないがとにかく凄い事が起きたようだ。
「凄い、そのままアームロックです」
望月の解説と共に会場が沸いた。
「高坂さんの勝利です」
浩一郎は落ち着いた様子で柔術着の乱れを治している。審判が浩一郎の右腕を持ち上げた。勝利の瞬間である。
「俊哉、勝ったよ」
浩一郎は俊哉達の前に来た。
「応援の声が聞こえたよ。みんなありがとう」
「高坂さん、素晴らしい試合内容でした」
「望月、なんで居るんだ」
望月は説明をしてしきりに浩一郎の勝利を喜んだ。メダルを貰って浩一郎は俊哉達の前に戻ってきて説明した。
「みんな、すまない。ジムの選手がまだ戦っている。応援するからここでお別れだ。応援ありがとう」
浩一郎は大会の喧噪に戻って行った。
「黒帯の試合を観れるなんて眼福です」
「望月が居てくれなければ試合もわからなかったよ」
「いえいえ、ムービーを取りましたから後で送りますね」
俊哉達は帰りにカフェに寄った。
「とりあえず、浩一郎さんが勝ってよかったわね」
「うん、柔術って面白いね」
「私には無理だわ」
皆思い思いに感想を言った。俊哉は普段優しい浩一郎の顔が戦う男の顔になっているのを気付いていた。惚れ直したのである。
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