【女の事件】黒いバッジ
佐伯達男
第1話
時は、2023年8月30日の夕方5時過ぎであった。
場所は、
家の中で深刻なもめ事が発生した。
家の四男・
こうすけは、東芝ダイナブック(ノートパソコン)を開いたあとクロームをクリックした。
パソコンの画面を見たこうすけは、ものすごく怒った声で『これは一体なんなのだ!?』とさけんだ。
この時、台所にいた久枝マヤ(32歳・専業主婦)がこうすけのもとにやって来た。
マヤは、こうすけに対して一体なにがあったのかとたずねた。
こうすけは、ものすごく怒った声でマヤに言うた。
「なんでアニメの壁紙がパソコンに保管されているのだよ!?」
家のパソコンに人気アニメーション作品の壁紙が大量にダウンロードされていた。
こうすけからことの次第を聞いたマヤは『ああ、思い出したわ。』と言うたあとやさしい声で言うた。
「この壁紙は、しゅんちゃんがダウンロードしたのよ。」
「(こうすけ、怒った声で言う)しゅんすけがダウンロードした壁紙がなんでここに保管されているのだよ!?」
「(マヤ、やさしい声で言う)ごめんなさい…もうすぐしゅんちゃんが帰って来るから…しゅんちゃんが帰って来たらスマホにアップロードするように言うから…」
この時、玄関から『ただいま〜』と言う子どもの声が聞こえた。
マヤは、やさしい声で『しゅんちゃんが帰って来たわね…』と言うたあと玄関に行った。
玄関にて…
玄関には、長男・てつし(52歳・管理職)と妻・むつみ(58歳)のひとり息子・しゅんすけ(小学校4年生)がいた。
エプロン姿のマヤが玄関にやって来た。
マヤは、しゅんすけに対してやさしい声で言うた。
「しゅんちゃんおかえりなさい…しゅんちゃん、ちょっとの間いい?」
「なあに?」
「しゅんちゃんがダウンロードした(人気アニメーション)の壁紙全部をスマホにアップロードしてね。」
マヤからやさしい声で言われたしゅんすけが『ウェーン〜』と泣き出した。
「ウェーン!!」
「しゅんちゃんどうしたのよ?」
「ウェーン〜…スマホを置いてしまった〜」
「友だちの家にスマホを置いて帰ったの!?」
「ごめんなさい…ごめんなさい…ビービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービー…」
しゅんすけは、友だちの家にスマホを置いてしまったと言うたあとビービービービービービービービービービーと泣き叫んだ。
マヤは、どうしていいのかわからずにコンワクした。
困ったわね…
またしゅんちゃんが忘れ物をした…
どうしたらいいのよ…
しゅんすけが友だちの家にスマホを置いたトラブルが原因による悲劇の幕があがった。
この家で暮らしている家族は、
マヤは、
しかし、夫がタンシンフニンでムンバイー(インド)にいるのでマヤはこの家でお世話になっていた。
この最近であるが、家族たちが多忙になっていた。
その関係で、しゅんすけは孤独を抱えていた。
しゅんすけは、満たされない気持ちを埋めるために人気アニメーション作品の壁紙を大量にダウンロードするようになった。
その結果、2万枚の壁紙がパソコンにダウンロードされた。
しゅんすけは、マヤから自分のスマホにアップロードするようにと言われていた…
しかし、しゅんすけは『見たい番組がもうすぐ始まる…』とか『宿題がたくさんある…』などと言うてアップロードしなかった。
そのせいで、しゅんすけは家族たちから反感を受けるようになった。
いつになったらしゅんすけは壁紙を自分のスマホに移すのか?
しゅんすけの言うことは口先だけなので信用できない…
家族たち…とくに武昭夫婦や
マヤさんがしゅんすけに対して過度に甘やかしていたから、しゅんすけがダメになったのよ…
てつしとむつみさんは、子どもを産んだから親になれたと言うて思い上がっている…
友美も友美で、だめね…
武昭夫婦は、てつし夫婦と友美を口々に攻撃した。
武昭夫婦はてつしむつみ夫婦が自分たちの家を持たずにこの家で暮らしていることに対してよりし烈な怒りを抱えていた。
いつになったら土地を買うのか?
土地を買うおカネは貯金しているの?
武昭夫婦は、てつしむつみ夫婦に対して早く家を買えと言うて急かしていた。
てつしむつみ夫婦は『パートナー選びがどーのこーの…』と言うて先延ばしにしていた。
武昭夫婦は、てつしむつみ夫婦の家族たちに自立してほしいと強要した…
しかし、てつしむつみ夫婦がいいわけばかりを言うて動かない…
それが原因で、家族間の対立を生んだ。
そんないびつな対立を見たマヤは、ものすごくつらい気持ちにさいなまされた。
なんでおだやかに話し合いができないのよ…
なんで、伯父さま夫婦はてつしさん夫婦に要求ばかりを押しつけるのよ…
伯父さま夫婦が過度に要求を押し付けたら、てつしさん夫婦がイシュクしてしまうわよ…
友美さんとしゅんちゃんの気持ちを考えてよ…
おだやかに話し合いをしてよ…
家族間の対立に巻き込まれたマヤは、ものすごくつらい立場に置かれた。
時は、夜7時頃であった。
ところ変わって、家の大広間にて…
家の大広間のテーブルに武昭夫婦とむつみとしゅんすけとこうすけとマヤの6人がいた。
てつしと友美とてつろうと圭佑は、まだ帰宅していなかった。
テーブルの上には、マヤが作った晩ごはんが並んでいた。
この時、マヤは自分のスマホを使ってしゅんすけの友だちの家に電話をしていた。
マヤは、ものすごくつらい表情で受話器ごしにいる友だちの
「もしもし…(しゅんすけのお友だち)くんのお母さまでございますか?…
(ピッ…)
マヤは、通話アプリをとじたあと大きくため息をついた。
この時、
「マヤさん!!」
「おばさま〜」
「いつになったらごはんとみそ汁をつぐのよ!?」
「すみません、今お注ぎします〜」
マヤは、ごはんとみそ汁をつごうとしたがみそ汁が冷めていた。
マヤは、
ものすごくつらい表情を浮かべているマヤは、みそ汁が入っているお鍋を持って台所へ行った。
その後、
「むつみさん!!」
「(むつみ、ものすごくつらい表情で言う)
「あなたはそれでも母親なの!?」
「
「むつみさん!!」
「
「それはよくわかってるわよ!!それよりも、うちはしゅんすけがパソコンにダウンロードした壁紙をそのままにしていることを怒っているねよ!!」
「だからどうしなさいと言いたいのよ〜」
「うちは壁紙全部をアップロードしてと言うてるのよ!!…それなのにしゅんすけが友だちの家にスマホを置いて帰って来たから怒っているねよ!!母親だったら怒りなさいよ!!」
「怒りなさいよと言われても…」
「ンマー、なさけないわね!!」
「
この時、マヤが再び大広間にやって来た。
マヤは、ものすごく困った表情で言うた。
「おばさま!!お願いですから落ち着いてください!!」
「分かってるわよ!!だけど、むつみさんがなまけていたから注意していたのよ!!」
「
「やかましい!!だまれ!!」
「マヤさん、早くごはんをついでよ!!」
「今すぐにつぎます〜」
マヤは、大急ぎで
その後、テーブルの近くに置かれているスクウェア型の日立炊飯器のフタをあけてお茶わんにごはんをついだ。
マヤは、ごはんが盛られているお茶わんを
この時、
「オラオドレ!!」
「えっ?」
「オドレといよんのが聞こえんのか!?」
「おじさま〜」
「みそ汁!!」
「えっ?」
「みそ汁はないのか!?」
「みそ汁はあります…今、温め直しています…」
「ふざけるな!!」
(バーン!!)
思い切りブチ切れた
「あなた。」
「外へのみに行く!!みそ汁がない食卓でごはんを食べるのはものすごくウザいわ!!」
思い切りブチ切れた
困ったわねもう…
この時、こうすけが『オレ、ダチんとこへのみに行く〜』と言うて席から離れたあとそのまま家から出て行った。
それから2分後であった。
しゅんすけがとつぜんビービービービービービービービービービービービー…と泣き出した。
「ビービービービービービービービービービービービー…」
ビービービービーと泣き出したしゅんすけに対して、むつみが怒った声で言うた。
「しゅんすけ!!」
「ビービービービービービービービービービービービービービー…」
「男の子がビービービービービービービービー泣いてどうするのよ!?」
「ビービービービービービービービービービービービー…」
「しゅんすけ!!あなたは小学4年生でしょ!!4年生の男の子がビービービービー泣いてどうするのよ!!」
「むつみさん、やめてください!!」
マヤは、ひどくいらついているむつみに対して『やめて!!』と言うた。
マヤから『やめて!!』と言われたむつみは、ものすごく怒った声で『やかましい!!』と言うたあと席を離れようとした。
マヤは、ものすごく困った表情でむつみに言うた。
「むつみさん!!」
「なによ!!」
「ごはんはどうするのですか!?」
「食べないわよ!!こんなギスギスした食卓でごはん食べるのはものすごくイヤよ!!」
「むつみさん!!」
むつみは、プンとした表情で大広間から出たあとそのまま家から出て行った。
困ったわねもう…
マヤは、ものすごく困った表情でつぶやいたあとしゅんすけに対してやさしい声で言うた。
「しゅんちゃん。」
「…………」
「イヤな思いさせてごめんなさい…ごはんを食べようね。」
ぐすんぐすんと泣いているしゅんすけは、首をはげしく横に振った。
マヤは、ものすごく困った表情でしゅんすけに言うた。
「どうして食べないのよ…ねえしゅんちゃん…」
しゅんすけは、首を横にはげしく振った。
マヤは、ものすごく困った表情でしゅんすけに言うた。
「忘れ物をしたスマホは、空いている時間に取りに行けばいいのよ…次からは気をつけたらいいだけよ…」
マヤはしゅんすけに対してごはんを食べようと言うたが、しゅんすけは心をかたく閉した。
困ったわね…
どうしたらいいのよ…
困った表情を浮かべているマヤは、しゅんすけに対して『明日はバッジテストを受けるのでしょ〜』と言うた。
「しゅんちゃん、明日はスイミングスクールでバッジテストを受けるよね…こんなギスギスした気持ちではテストを受けることができないわよ…しゅんちゃんは、スイミングスクールに入った時になんて言うたのか忘れたの?…いろんな色のバッジを集めるためにがんばると言うたよね…今、しゅんちゃんは3級の銅のバッジまで取ったよね…あと2個で金になるのよ…しゅんちゃん聞いてるの?」
かたく心を閉ざしているしゅんすけの耳に、マヤの声は届いていなかった。
それでもマヤは、しゅんすけに対してごはんを食べようと言うた。
「しゅんちゃん、明日のテストに合格したらもうすぐ金よ…明日がんばって泳ぐのでしょ…だったらごはんを食べようね…きょうは、しゅんちゃんの大好きな春巻きよ…がんばって泳ぐためには、ごはんをたくさん食べなきゃ…上手に泳ぐことができるための成分がごはんにたくさん入っているのよ…ごはん食べよう…」
「やかましい!!」
思い切りブチ切れたしゅんすけは、マヤに対してお茶わんを投げつけた。
「しゅんちゃん!!」
思い切り怒ったマヤは、しゅんすけに対して『甘えるな!!』と言うた。
この時であった。
ものすごく疲れた表情で帰宅したてつろうが大広間に入った。
てつろうは、大広間に入るなり『はぐいたらしいんだよクソバカ!!』と怒鳴りつけた。
マヤは、ものすごく怒った声でてつろうに言うた。
「てつろうさん!!」
「なんやクソアホンダラ!!」
「こんな遅い時間までなにをしていたのですか!?」
「やかましいだまれ!!」
「てつろうさん!!」
「だまれよそ者!!」
「てつろう!!」
「てつろう、座りなさい…」
「なんだよぅ〜」
「座りなさいと言うたら座りなさい!!」
「分かったよすわりゃいいんだろ!!はいといいんだろ!!」
思い切りブチ切れたてつろうは、反抗的な声で
カチンとした表情でてつろうをにらみつけた
「てつろう!!」
「なんだよぅ〜」
「おまえはなにを考えて生きているのよ!!」
「なんだよ!!」
「てつろうはなんで京都の大学に行ったのよ!?」
「研究したいからだよ〜」
「だからなにを研究するために京都の大学に行ったのよ!!」
「
「ますますはぐいたらしいわね!!研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究…お前は、京都の大学でどんな研究をしていたのよ…研究の成果が世に認められて表彰された…その後、お前はえらそうな態度を取るようになった!!」
「かあさんはなにが不満なのだよ!!ぼくが京都の大学に進学したことがそんなに不満なのかよ!!」
「お前はだれのおかげで京都の大学へ進学できたと思っているのよ!!」
「またその話かよ!!」
「てつろうが京都の大学に行けたのは、
「なんで
「
「だからなんだと言うのだよ!!」
「おかーさんは、大学を卒業したら土居田の
「だからその時に研究のテーマが見つかったのだよ!!…ぼくは研究の成果が認められて表彰されたらお墓参りに行くと言うたのだよ!!」
「てつろうはそう言うて何年の間お墓参りに行かなかったのよ!!」
「はぐいたらしいんだよ!!土居田土居田土居田土居田土居田土居田土居田土居田土居田土居田土居田土居田…ふたことみことめには土居田土居田と言うからいらっくのだよ!!あんたは土居田とどう言う関係があるのだよ!!」
「てつろう!!」
思い切りブチ切れたてつろうは、立ち上がったあと大広間から出ようとした。
マヤは、てつろうに対して『どこに行くのよ!?』と言うた。
「てつろうさん!!どこへ行くのよ!?」
「外へのみに行く…うちにいたらむしゃくしゃするのだよ!!」
マヤを怒鳴りつけたてつろうは、大広間から出たあと外へのみに行った。
しゅんすけは、怒った声で『ふざけるな!!』と言うたあと大広間から出て行った。
大広間に残されたマヤと
さて、その頃であった。
長男・てつしは、職場の上司と取り引き先の会社の社長連中と一緒に広島市中心部にある酒場街へ行ってた。
てつしは、家族をギセイしてまでも重役に昇進することを選んだ。
そのせいで、帰宅時間が極力遅くなるなど…生活態度が悪くなった。
長女・友美は、国際人になるために下関にある大学の国際コースに進学した。
しかし、2回生の時に留学したい国を選ぶことができなかった…
それが原因でリューネンした…
そして、休学した。
また、その一方で
アフターファイブを楽しみたい…
そう言うた
圭佑が帰宅するのは、深夜1時ぐらいだった。
そのたびに、圭佑はマヤと怒鳴りあいの大ゲンカを起こした。
…………
このような状態が毎晩つづくので、キンリンの住民たちがものすごくうんざりとしていた。
なんで
なんでおだやかに話し合いができないのか?
キンリンの住民たちは、口々につぶやいた。
そしてとうとう、キンリンの住民たちがケネンしていた事件が家庭内で発生した。
ここから、家庭崩壊の日までのカウントダウンが始まった。
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