【カクヨムコン9 特別賞&読者開拓賞】いつかの花嫁さん達に特別なウエディングドレスを
南 コウ@『異世界コスメ工房』発売中
第1話 約束
これは中学生時代に幼馴染と交わした約束が本当に叶ったお話です。
~*~*~
中学時代、私には3人の特別な友達がいました。
手芸が得意で社交的なひなちゃん。
勉強が得意でしっかり者のりかちゃん。
ピアノが得意で面白い話題に事欠かないけいちゃん。
何がきっかけで仲良くなったのかは、いまとなっては覚えていません。
多分、お互いの醸し出すオーラが似ていて、自然と引き寄せられたのだと思います。
周囲からは「クラスも部活も違うのに、なぜか仲の良い4人組」と言われていました。
空想が好きですぐに別の世界に行ってしまう私は、いつも彼女たちに助けられていたような気がします。
今回主役となるのは、手芸が得意なひなちゃんです。
ひなちゃんは昔から縫い物や編み物が得意でした。手芸にかける情熱は計り知れません。
ここで中学時代のエピソードをひとつ。
当時私たちは、とある漫画にハマっていました。
その作品に登場するマスコットキャラクターのぬいぐるみをひなちゃんが作ると言い出しました。(主人公の肩に乗っている使い魔のようなアレです。ここではテトと名付けておきましょう)
テトと同じ色のフェルトは、数日後にはテトそのものになりました。
完成したのは平面のぬいぐるみではありません。型紙から起こして作る立体的なぬいぐるみでした。
大きく広がった羽は、針金で自在に動くほどのこだわりよう。まるで売り物のような出来栄えでした。
完璧に再現されたテトを見て、私は思いました。
この子は神様から手芸の才能を与えられたんだ――。
人より優れた能力を持つひなちゃんを尊敬しつつも、羨ましく思ったのを覚えています。
~*~*~
あの約束を交わしたのは、中学3年生の頃です。
4人で他愛のない話をしていた時、ひなちゃんは言いました。
「あなた達の結婚式では、私の作ったドレスを着てほしい」
結婚式。それにドレス。
そんなのは現実味がありません。
当時彼氏すらできたことのない私は、結婚なんてまるで想像できませんでした。
だけどもし本当に叶ったら、これほどまでに素敵なことはありません。
あなたのためにドレスを作りたい。
そんな事を言ってくれる子は、もう二度と現れないでしょう。
なにより、大好きなひなちゃんが私のためにドレスを作ってくれると言ってくれたことが嬉しくて仕方がありませんでした。
「ぜひ作ってほしい!」
私はひなちゃんにドレスの予約をしました。
りかちゃんとけいちゃんも同様に、ひなちゃんにドレスの予約をしました。
だけど冷静になると、ふと考えてしまいます。
そもそも私は結婚なんてするのだろうか?
するとひなちゃんは笑いながら言いました。
「南ちゃんは一番に結婚しそう」
ええ~~!? そうかな~~!?
当時はまるで信じられませんでした。
だけど、ひなちゃんの予想は見事に的中しました。
◇◇◇
本作をお読みいただき誠にありがとうございます。
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