20歳”自称”シスターの男、ダンジョン配信者や冒険者に憧れる。~神や女神のお告げを受け日当1万円って安くないですか!?~

@kisisama4

第1話 自称シスターの男

「浄化、浄化、浄化ぁぁぁぁぁあああ!! 日々のストレス発散じゃぁぁぁぁい!!!」


ババババババ!!!


『『『『ギヤァァァ!!!!!!』』』』


激しく鳴り響く銃撃音とモンスターの断末魔、修道服に身を包む音の右手には巨大な白銀の十字架が。


「あ、あの…教祖様! か、彼は!?」


同じく修道服に身を包んだ小柄のかわいらしい少女が、隣で口を大きく空ける年配の男性に声を掛けていた。


「あ、あぁ…そうですね。 彼は”特級の浄化師”です」

「と、特級!?」

「えぇ、そうです。 無所属の方ではありますが、我々教団は彼に命令されれば命すらも投げ出さなければなりません」

「い、命を…」

「えぇ、そうです。 なんせ彼は神の使いなのですから…」

「か、神の使い!?」


そして男の左手には巨大な漆黒の十字架が握られていた、展開した十字架の中央部分を回転させながら銃弾の雨あられを浴びせる男の姿はもはや悪魔である。


「ふふふふ…ふははははははは!! 死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇ!! ―――ん? なんだって? 下々の者に威厳を示せ? あ、そんな時間はないです。 浄化してるんでぇ!!」


まるで悪魔のような笑みを浮かべながら異形のモンスターを蹂躙していく男を見つめ、再び教祖の方を見た少女。


「あの方がですか……?」

「え、えぇ…! あぁ、見えて現在もリアルタイムで神と交信中なのですよ! あぁ見えて!!」


なんとか身振り手振り大げさなリアクションで彼の偉大さを表現しようと努力する教祖を尻目に、少女は信じられないと言わんばかりの表情で男を見つめていた。

ただ、認めざる得ない部分もあった。 それは――――


「浄化…されていますね…」

「え、えぇもちろん! なんせ彼は特級の浄化師ですから! 特級の!!」

「けど教祖様…浄化って普通は我々教団のシスターが聖魔術を駆使して、ダンジョンに出現した悪魔を払い。 このダンジョンを浄化させるんですよね」

「えぇ、えぇ! そうですとも!」

「じゃあ、アレはなんなのですか? 十字架から銃弾が飛び出してきたかと思えば…それを受けた悪魔連中が跡形もなく吹き飛んでいるように見えるのですが…」

「あ、あぁいう浄化方法もあるのでしょう! えぇ、興味深い! あ、あなた達も”銃”で悪魔に対抗する事があるでしょう? あれと同じです!」

「へ、へぇ~…そうなんですね」


しかし少女の頭には疑問が浮かび上がる。

私たち使用してる”銃”の弾は聖魔術が込められる特殊な弾丸が装填された特別製のもので、強力な悪魔以外に使用する事がほとんどない。

だが、あの人はどうだろうか。 アレが特殊な弾丸だとするならば、あんなにも垂れ流すように使用していい代物ではないのは確かだ。


「あ、あの方って…普段は何を?」

「さ、さぁ…私も彼から用事がある時以外に連絡が来る事はありませんから」

「そ、そうなんですね…」


少女の謎は深まるばかりである。


「必殺!! 聖弾丸キャノンじゃぁぁぁぁ!! 光になれぇぇぇぇ!!!」


ズガーン!!


構えていた十字架を逆向きにした瞬間…バズーカのようなものが十字架の頂点から発射され、それを受けた多くの悪魔は跡形もなく消し飛んだ。


「「…………」」

「あ、あの…」

「なれませんよ? あんな感じには…」

「で、ですよね…」

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