学園の美少女から告白されたが、俺は断ることにした
譲羽唯月
第1話 隣の美少女から告白された日
とある日の朝。
昔、幼馴染の風香とはよく一緒に遊んだことがある。
学校帰りには、どちらかの家に行き、趣味を共有したり。新しい経験をしたりして、共に同じ時間を過ごしていたのだ。
今となっては、そこまで深く関わるような間柄ではなく、友達として接する程度。
でも、湊自身、彼女の事が好きである事は変わらなかった。
だから、告白しようとは思っていた。が、どういう風に伝えればいいのか、この頃、それが悩みだったりする。
「おはよう」
通学路を歩いている湊は通学路の十字路のところで、その幼馴染と遭遇した。
風香はショートヘアが良く似合う子で、小柄でかつ、大人しい印象が強い。昔はもう少し口数も多かったのだが、高校生になってからはさらに大人しくなったと思う。
「おはよう」
湊も彼女の問いかけに反応するように、簡単な挨拶を交わした後、横に並んで学校へ向かう。
昔からの間柄だが、そこまで多くの話題を話すわけでもなかった。
少々沈黙の時間が訪れる。
この頃、幼馴染の方もなぜか、口数が減ってきている気がした。
湊の事を嫌っているわけではないと思うが、会話が少なくなると逆に不安になるものだ。
やっぱり、告白した方がいいよな……。
近いうちに想いを伝えた方がいい。
そう考えてはいるが、本当の事を言い、風香がそれを受け入れてくれるのか。それがわからないからこそ不安で、関係性が崩れてしまうのではないかという悪い結末が脳裏をよぎり、奥手になっているのだ。
出来る限り、この平行線上を維持していきたいが、何もしなければ何も変わらない。誰かに先を越されてしまったらという未来もあるわけで、そう考えてしまうと心が痛んでしまう。
けれど――
やっぱり、
「えっとさ、今日って暇だったりする?」
湊は勇気を振り絞り、右隣を歩いている彼女に言う。
「……今日は、ちょっと用事があって」
「そ、そうなんだ」
勢いで誘ったが、普通に断られた。
けれど、風香と一緒に関われる時間はまだあると思う。
だから、彼女の都合を見てもう一度誘おうと思った。
学校に到着すると、昇降口で互いに中履きに履き替え、教室へと移動する。
階段を上り、二階の教室付近に辿り着くと彼女の方からまた後でと言ってきた。
湊も彼女に応じるように、簡単にまたと言い、その時は別れたのだ。
風香とは同じ学年だけど教室が違う。
今日はまだ数時間には余裕がある。
状況を見て、休み時間にでも彼女に湊の方から話しかけようと思った。
「じゃ、席替えも終わったし、気分を切り替えていこう」
テンション高めな女性の担任教師が教室の壇上前で言い放つ頃には、湊は新しい席に着いた。
以前からクラスメイトらの要望も相まって、今日のHRの時間帯に席替えをすることになったのだ。
元々、湊は教室の前の席だったが、席替え後は真ん中らへんの窓際席に位置していた。
「ね、今日からよろしくね」
急に右隣の子から話しかけられた。
湊は彼女の方を見る。
「う、うん、よろしく」
黒髪のロングヘアでスタイルもよく、愛嬌もあり、その上、他人からの信頼もあったのだ。
親しみやすい口調で、誰とでもすぐに仲良くなれるのも彼女の良いところであった。
「ねえ、今日の休み時間って時間ある? 昼休みとかでもいいんだけど」
「一応、時間はあるけど」
「よかった。だったら、後で話したいことがあるから」
「どんな事?」
「そ、それは後でもいい? 二人っきりの時にしたいの」
と、日向は頬を紅潮させ、言葉を濁していた。
「あ、そうだ。他にも連絡事項があったんだ。もう少し待って。まだHRは続くから」
担任教師は連絡用のファイルを片手に持ち、皆の方を向いて話し始めていた。
今日のスケジュールは結構あるらしい。
その日の昼休み。
本当は幼馴染を誘って会話しようと思っていたのだが、その教室にはいなかった。
誰かとどこかに行ってしまったらしい。
だから、湊は日向と昼休みを過ごすことになったのだ。
湊と日向は学校の屋上に向かう。その場所に到着した頃合い、湊は思いもしない事を彼女から言われた。
「ね、付き合ってくれない?」
「⁉ ……え」
急な発言で、湊の頭は混乱していた。
何かの聞き間違いかもしれないと思い、湊の方から話しかけた。
「俺に告白してるの?」
「そうだよ、だから、一緒に昼休みを過ごそうと思って。誘ったの」
「けど、俺は……」
「湊は好きな人っているの?」
「……一応」
「そうなんだ。それで、その子とはどうなの? 上手くいってるの?」
「そこまでは」
「そうなんだね。じゃあ、どうしよっかな。でも、私と付き合ってくれない? 少しでもいいし。その子に告白するなら、私から身を引くけど」
日向は考え込んだ後、自分の考えを話していた。
彼女はどうしても関わりたいとの事だった。
「でも、いきなり言われてもな……えっと……じゃあ、友達からでもいいかな? 急にはさすがに心の準備が出来ていないから」
「うん、別にいいけど。気が変わったら、いつでも歓迎だけどね」
日向は積極的だった。
なぜ、殆ど関わった事のない自分に告白してきたのか、その時はまったくわからなかった。
湊はその日の昼休み。日向が作って来た弁当を、屋上のベンチに座って食べることになったのだ。
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