野良猫とワルツを
向日葵
第1話
ここはどこだろう
私はだれだろう
何者にもなれない、いや何者になるのにここにいる、気がした
酒、ドラッグ、セックス、パパ活、立ちんぼ、ゴキブリ、ネズミ、ゲロ
くさいくさいのに、ここが一番の舞台でここが落ち着けた
同じ人間なんてだれひとりいない此処で何者かになれるんだと意気込んでいたけど、お金が底をつき地面に倒れ込んだ
相棒のキャリーケースの車両が壊れていて変な音を立てて一緒に崩れおちた
結局、金か……
所持金は数百円。手の平の泥と汗にまみれ硬貨はべたついていた
自販機のまえに丁度いたから手が延びた
しゃがんだまま、うまくコインが入らなくて次々、お金が落ちる音がした
ああ!
大切な飲み物買うお金が自販機の下に入ってしまった
自販機の下を漁るが、お菓子や潰れた缶のゴミでよく見えない
「うええ」ゲロゲロと近くのたむろう若者の吐く咀嚼音をききながら、自販機に奥深く手を突っ込んだ
なにか札みたいな感触をつかみ、素早く拾い上げたが、小綺麗な名刺だった。捨てようかと思ったがホストの名刺で珍しいからポケットにいれた。また、自販機の下に手を突っ込むと近くのカップルに引かれ笑われた
小綺麗なカップルは小綺麗な格好をして小綺麗なショルダーバッグをもち小綺麗なメイクとアクセサリーで飾られていた。まるで動くマネキンみたいだと思った。となりの彼氏らしき男性は今流行りのマッシュルーム頭で片目だけ。歩くキノコだ
諦めかけたそのとき、声をかけられた。
「君、なにしてるの?」
一瞬、警察だとおもい身をちぢこませ身構えうつむいた
「その顔、あげてこらん、仔猫ちゃん」
「え?」私は、仔猫といわれ、あっけに取られた。目の前の男性、いや同い年くらいの少年は、スーツをきて、髪を青に染めていた
「ソラ」
「え……?」
「ソラって読んで。僕の名前」
「う、うん」いきなりのことで状況が把握できないでいたら、ソラは手早くポケットからコインをだすと自販機のジュースを次々かった。ガタンゴトンとジュースが落ちる音が耳元に響いた。
「はい、どれかっていいかわからないから、適当にボタンおした」
「あの、私にですか?」
「うん、全部みてた」
「な、なにをですか……?」
「全部、君の行動を向かいのビルからみていた」
「ビル?このキラキラした建物はホストですよね?私、いったことないんです」
「だろうね、君未成年だろう?」ソラはせせら笑いした
「違います。20歳です」
「へえー子どもっぽいね」
「ありがとうございます」私は気まずくなり更にうつむいたらお腹がなった
「食べてないの?飲んでないの?君は人間だよね?」
ソラは畳み掛けるようにいった
「私の名前は、人間じゃなくて、ルナという名前があります」私は少しむすっとしていった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます