第5話
領都フリエリより北東、泥炭地帯よりもさらに向こう側に位置する旧魔王領、白い雪で覆われた地平線に、黒くどよめく波のような塊が現れた。
人類種の領域は神の遠ざかった今も尚、浄化されたマナが満ち、混沌神ラーヴィマの権能たるマナ溜まりの汚染と
下顎が横に裂け、黒い体毛と赤い爪を生やし、サソリのような尻尾を持った狼型の
「よぉ、
突如、荒野を埋めつくして進む黒い波の進む先に、一人の影が現れた。
その人影は未だ
剣術のような構えもなければ、マナを込めるような仕草すらなく、踏み込みもせず、ただ無造作に振るわれた大剣はそれだけで破壊を
大剣の延長線上の
「ん、こんなもんか。次だ。
右手に握った土色の大剣が土くれのように崩れていく。それを見ながらロゥグンが再び呟くと、撒き散らされたマナ輝石は意志を持ったかのように飛び回り、金色の光を
金色の光を放ちながらどろりと形を崩した大量のマナ輝石は圧縮されていき、やがて手の中にひとつの赤黒い槍が現れた。
「お仲間を返すぜ、歯ァ食いしばれよゴキブリ共!!
先程までの飄々とした様子からうって変わり、緋の眼を爛々と輝かせ、獰猛な笑みを浮かべながらロゥグンは右手に握ったその槍を投げた。
投げられた槍は迫り来る
百を超える
「……
「閣下を凌ぐほどの強さでありますか。酒の神がこれほど強いとは思いませなんだ。」
「あれほど簡単にあの数を殲滅するなんて、
領軍たる騎士団を率いて
マナが豊富な
騎士は一人一人の力を向上させるために多くのリソースを必要とするため、数が少ないという弱点がある。これは大群で襲い来る今回の
ヒューガルド領の最高戦力にして、領主であるユゥルティアも神魔大戦の戦場を経験しておらず、個人の武勇は優れていたとしても数の利を覆すほどの力よは持っていなかった。
ロゥグンから提案された策は、小型の
赤い槍によって、狼型の小型
「この機を逃すな!我が騎士たちよ、残るは
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます