第14話 逃げる判断

 斥候役のアダムの考えに従って、俺たちは5メートル間隔に横に広がり、前にゆっくりと進み調査を開始する。12人で幅60メートルを探していくローラー作戦だ。

 俺たちは辛抱強く調査を進めていく。そして3日後の午前、シルバーグリズリーの群れを発見する。

 俺たちは見える所まで近づいているのに魔力を探知できない。何か仕掛けがあるはずだ。

 斥候役のアダムが近づいて様子を探りに行く。しばらくしてアダムは帰って来る。アダムは俺たちに報告する。

 「シルバーグリズリーは100匹近くいます。群れは水の膜のようなものに覆われています。」「魔族の姿はありましたか。」

 「はい、黒ずくめの服装の奴が2人、茶色のフードをかぶった奴が1人いました。」「魔族が3人ですか。」

アヒムが言う。

 「おそらく茶色のフードが液化のラミアでしょう。残りの魔族が水を操るやつでしょう。」「おそらく、水の膜が魔力を遮断していますね。」

 「どうしますか。こちらの戦力で魔族3人は厳しいと思います。」「もちろん、逃げますよ。」

俺たちは気づかれないように引き上げる。コロール村に着くと俺は村長に話す。

 「魔族3人とシルバーグリズリー100匹ほどの群れを発見しました。」「そんな、村はどうなるのです。」

 「村人には避難してもらいます。」「私たちはここを離れたら生きられません。」

 「宮廷魔法士としての命令です。従ってもらいますよ。」「逆らったらどうなるのですか。」

 「この命令は国王の命令を代弁していると思ってください。」「そんな、アニエス様助けてください。」

 「今の私たちでは、対抗できない勢力です。応援が来るまで辛抱してください。」「村には戻れるのですか。」

 「魔族を退治すれば、戻れますよ。」「分かりました。」

村長は俺の命令を受け入れてくれたが悔しそうに見える。俺たちは村人を連れて街へ向かう。

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