第11話 液化のラミア

 「アニエス様をあがめ隊」は、冒険者ギルドに行き情報収集をしてきていた。彼らは、昨日の魔物の襲撃のこともあり、ギルドマスターのカスパーが相手をしていた。アヒムはカスパーに言う。

 「アニエス様がルマールに魔族の動向調査に来ています。」「はい、知っています。彼女たちは街に着いてから冒険者ギルドを訪れています。」

 「昨日の魔物の襲撃を阻止したのもアニエス様とアニタ様です。」「さすがに強いですね。私にはコロール村の魔物の襲撃について詳しい報告が来ていません。」

 「あーそれは、俺たちが報告していませんでした。」「あなた方は昨日は村へ行った後、何をしていたのですか。」

 「アニエス様達と食事をしていました。」「ギルドへの報告を忘れていたのですか。」

 「いえ、アニエス様が優先されるのです。天使と一緒に食事ですよ。報告などしていられません。」「あなた方はアニエス様の信者でしたね。」

 「そうです。カスパー様もそう思うでしょ。」「確かにきれいな方ですが私は仕事を優先します。」

 「それはいけない。俺がアニエス様のすばらしさを教えて差し上げましょう。」「いえ、それより、村のことを教えてください。」

 「少なくとも50匹のシルバーグリズリーの群れが襲ってきました。アニエス様たちが村の外で戦ったのですが1匹が村へ到達しました。村の男たちが応戦しましたが14人の死者を出しました。」

 「あの村はまだ復興途中なのです。14人もなくなるとは厳しいですね。」「アニエス様が村に魔石を譲りましたたので今年の冬はしのげると思います。」

 「それは助かりますが。シルバーグリズリーは群れを作らないはずです。」「それは俺たちも疑問で魔族の関与を疑っているんです。」

その時、アダムが手を上げて言う。

 「俺が子供の頃、効いた話だけどシルバーグリズリーを泥沼の王とか言う魔族が使うと聞いたことがあります。」「そのような話は聞いたことありませんね。」

カスパーが難しい顔をして答える。アヒムが言う。

 「アダムはアサード公国の出身のはずだな。」「両親が強盗をして追われて、エマール王国に逃げてきたんです。」

 「それでこちらでは野盗かどこへ行ってもやることは変わらねえな。」「おたがい様でしょ。」

 「あなたたち野盗だったのですか。」「俺たちは野盗をしていたのですが、アニエス様に会って改心して冒険者になったんです。」

 「どおりでこわもてぞろいなんですね。」「やめてください。今では、みんな家族を持っているのですから。」

 「話がそれましたね。泥沼の王のことは知っています。」「アダムの話は本当なんですね。」

 「それは分かりませんが、液化のラミアのことです。」「7大悪魔の1人ではないですか。」

 「ええ、ラミアは2人の水を操る魔族を従えています。」「これは大事になりそうですね。」

 「まだ確証は得られていませんが気を付けてください。」

アヒムはアニエス様に報告できる情報を手に入れられて満足する。そして俺は宿で液化のラミアの話を聞く。

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