　朝起きると俺とアニタはすぐに朝食を食べて、ルマール男爵邸へ歩いて行く。今日は青いマントに白い制服を着ている。これは宮廷魔法士の制服である、

　現在、宮廷魔法士は８人いる。俺とアネットが加わった後、昨年、ポール・トレイユが加わった。ポールは商人の息子で家は裕福だが平民である。

　平民が宮廷魔法士になるのは初めてのことである。宮廷魔法士は、近衛隊と異なり、実力を重視して身分を問わず採用することを証明している。

　俺たち２人がルマール男爵邸の門の前まで来ると衛兵が言う。

　「アニエス様、どのような要件でしょうか。」

俺とアニタは有名になってしまっている。特にルマールでは知らないものはいないくらいだ。

　「急ですが、カールハインツ様に会いに来ました。」「分かりました。しばらくお待ちください。」

衛兵が１人屋敷へ走って行く。俺はカールハインツが快く会ってくれることを願う。衛兵が戻ってきて言う。

　「アニエス様、アニタ様、どうぞ入ってください。」「ありがとうございます。」

　「本当に天使だな。」「俺、ドキドキが止まらないよ。」「彼氏はいるのかな。」「俺たちには高嶺の花だよ。」

衛兵の話が聞こえてくる。チャームのため俺はいつも色目で見られてしまうのだ。アニタが言う。

　「アニエス様、相変わらず持てますね。」「私は結構よ。アニタの方がスタイルがいいし、きれいなのにね。」

　「私はアニエス様の従者なのですから彼氏はいりません。」「王都の騎士団で人気があるのでしょ。」

　「はあ、何回か告白されました。」「付き合ってあげればいいのに。」

　「アニエス様も見合いの話を断っているのでしょ。」「私の場合、お父様が断ってくれるから大丈夫よ。」

アニタと話しているうちに玄関に着く。使用人が玄関の扉を開けてくれる。執事が俺たちを広間に案内してくれる。そこにはカールハインツが待っていた。

　「アニエス様にアニタ嬢、４年ですっかり立派になったね。」「ありがとうございます。突然の訪問、失礼しました。」

　「君たちならいつでも歓迎するよ。こちらへは仕事で来られたのかな。」「はい、魔族の動向調査に来ました。」

　「そうか、よろしく頼むよ。」「昨日、コロール村でシルバーグリズリーの大きな群れを退治しました。」

　「報告がギルドから上がってきているよ。」「また、魔族が動き出したのかもしれません。」

　「協力は惜しまない。何でも言ってくれ。」「では、ルマールは魔族に狙われる理由があるのではないのですか。」

　「理由があれば私が知りたいくらいだ。」「ルマールの調査はローズ様からの提案から来ています。何か理由がるのではないのですか。」

　「調査が決定された時にそれなりの理由があったのではないのですか。」「はい、魔族に狙われたので再び襲われるかもしれないというものです。」

　「そう言うことなのだろう。」「これは理由としては弱いと思います。私はローズ様がリーザ様に本当の理由を話して説得したと考えています。」

俺がそこまだ迫るとカールハインツの顔つきが変わる。俺は本当の理由があるのだと確信する。

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