第11話 ウサギ狩り

 俺たちは、初仕事に思わぬ高い報酬を受け取ったため、夕食を豪勢にする。アニタが俺とアネットに言う。

 「贅沢をしていてはだめですよ。冒険者として1年間生きていくのですから、少しはお金をためておかなくてはいけません。」「アニタは食べないの。」

 「食べます。お二人を心配しているだけです。」「アニタ、私はお父様から小遣いをもらっていますから1年位大丈夫です。」

 「アニーはお父様の小遣いで生活するつもり。」「ネティーはどうなの。小遣いをもらっていないの。」

 「もらっているわ。でも、生活費は稼ぐつもりよ。」「私もそのつもりよ。」

アニタは俺とアネットをかわいそうなものを見るような目で見る。彼女には俺たちが生活力が無いように見えるのだろうか。

 翌朝、俺たちは冒険者ギルドに顔を出す。デリアは俺たちにギルドマスターからの依頼書を渡す。

 「あなたたちには森の周囲の探索をお願いするわ。それから人にあったら魔物の目撃がないか聞いてちょうだい。」「途中、獲物がいたら狩ってもいいですか。」

 「遭遇したら仕方ないわ。目的はあくまでも探索ですからね。」「分かりました。」

カスパーは、森の様子を把握したいのだろう。俺たちには、他の冒険者が請け負わない森の周囲を任せたのだろう。

 街の門を出て森に着くと森に入らず森に沿って歩き始める。俺とアネットは探知の魔法で周囲に得物がいないか探す。アニタは気配を探っている。

 しばらく歩くと魔物らしい反応がある。アネットも気づいたようだ、俺たちは静かに森に入って行く。そこにはゴートラビットいた。

 ウサギの魔物とはいっても凶暴である。鋭い牙と爪を持ち、後ろ脚の蹴りは強力だ。俺とアネットはじゃんけんをする。どちらがゴートラビットを倒すか決めるのだ。

 アネットがじゃんけんに勝つ。彼女は高速詠唱でファイヤーボールを撃ち出す。ゴートラビットは炎に包まれのたうち回る。そして動かなくなり、砂状になって消える。

 あとには魔石が残る。魔石は、昨日の物と比べるとかなり小さい。俺たちは再び森に沿って歩き出す。しばらく歩くと魔物の反応がある。近づくとまたゴートラビットである。

 今度は俺がファイヤーボールで倒す。しばらくするとまたゴートラビットに出会う。次はアニタが相手をする。アニタがゴートラビットの前に出ると小さな体の割に向かってくる。

 アニタは首の下を剣で串刺しにすると、ゴートラビットは魔石を残して砂状になり消える。俺たちは24匹のゴートラビットを狩って帰る。

 冒険者ギルドに入ると野戦病院のような光景が広がっていた。血まみれの冒険者たちが横たわっているのである。彼らはCランク冒険者で森の中へ探索に入ったはずだ。

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