第3章 ルマールの地にて

第1話 ルマール男爵領へ出発

 アネットが館を訪れる。彼女は父に挨拶をする。

 「アネット・フォン・モンレルランです。突然の訪問ご容赦願います。」「よく来てくれました。アニエスの父ジルベールです。歓迎します。」

 「アネット様、お待ちしていました。」「アニエス様、パーティーを組むのですから、これからはネティーと呼んでください。」

 「分かりました。私のことはアニーと呼んでください。」「はい、よろしくお願いします。」

アネットは屋敷に一泊する。翌朝はルマール男爵領へ出発する。父は俺のことを心配してアネットとアニタに言う。

 「アネット嬢、アニーをよろしくお願いします。」「分かりました。必ず無事に帰ってきます。」

 「アニタ、アニーを守ってくれ。」「命に代えてもお守りします。」

馬車が出発する。街を通ると多くの人がなぜか俺たちの出発を知っていて見送りに出ている。

 その中にはアルベルト、ベルントやベンたちの姿もある。アネットが言う。

 「アニーは街の人々に人気があるのね。」「街では、私とアニタは有名なんです。」

 「うらやましいわ。」「街の人々のために少し動いただけですよ。」

馬車は街を出る。そして森を抜けてリッシュ子爵領に入る。1日目は野宿になる。

 初めての野宿だが今のうちに慣れておく必要がある。俺とアニタ、アネット、御者の4人で交代で見張りをすることにする。

 「アニーは宮廷魔法士になったらどうするの。」「私は、ローズ様の後を追いかけています。」

俺はアネットに本当の目的を話す訳にはいかない。

 「私は勇者様と魔王を退治に行くつもりよ。」「勇者がいつ現れるかわかりませんわ。」

 「だから、早く宮廷魔法士になりたかったの。」「勇者に会えると良いですね。」

勇者召喚は俺が16歳の時に行われる。まだ9年も先のことだ。

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