第32話 上級魔法士の実技試験開始

 グランドには試験官が5人入って来る。5人の中にローズがいる。ローズが説明を始める。

 「私は宮廷魔法士のローズ・ド・ルマールです。皆さんには防御の実技をしてもらいます。まずは見ていてください。」

ローズはグランドの中央に立ち詠唱を始める「大地の防壁よ、我を守りたまえ。クレイウォール」土の壁が出来る。

 そして壁から20メートル離れたとこからウォーターボールを撃つ。土の壁は粉々に砕ける。

 ローズのウォーターボールの強力さにざわめきが起こる。

 「私はこの位置から今の強さのウォーターボールを撃ちますので防御してください。」

受験者はざわめいている。

 「どうやって防ぐんだ。」「あんな強力なものを見たことがない。」

アネットが言う。

 「さすが、アニエス様の先生ね。腕が鳴るわ。」「防御する自信があるみたいね。」

 「ええ、考えがあるわ。自信あるの。」「いろいろな手があるわ。」

今回も筆記の点数の低い者から呼び出される。

 最初の受験者はウインドシールドで防ごうとするがウォーターボールの勢いを全く殺すことが出来ず。まともに食らってしまう。

 息はあるが意識不明になって運ばれていく。次の受験者は棄権する。3人目が詠唱を始める「灼熱の防壁よ、我を守りたまえ。マグマウォール」灼熱の防壁が出来上がる。

 俺はまずいと思うが、ローズは構わずウォーターボールを撃つ。ウォーターボールは蒸発しきらずマグマウォールに当たり食い込む。水分が急激に膨張して水蒸気爆発を起こす。

 ローズはウインドシールドを張り難を逃れるが、直近にいた受験者吹き飛ばされてボロボロになる。救護者が駆け付けるが彼は即死の状態だった。

 アネットが怒ったように言う。

 「あなたの先生、分かっていてやったよね。平然としているけど・・・」「上級魔法士になるには必要なのかもしれないわ。」

俺は後でこれでも甘い考えだったと思い知らされることになる。次の受験者が棄権して、ポールの順番が来る。

 彼はクレイウォールで防壁を作ると自分をウインドシールドで守る。彼は初めて防御に成功する。

 次の受験者も同じ方法を取ろうとするが詠唱が間に合わず、ウォーターボールの直撃を受けて昏倒して運ばれていく。

 次の受験者も防御に成功して、俺の番が来る。俺はマグマウォールの防壁を作り、防壁をウインドシールドで囲む。ウォーターボールは高熱の風に阻まれ蒸発する。

 最後にアネットの番になる。アネットはウインドシールドを3重に張るが外側のシールドで防御してしまう。

 最初の防御の実技で残ったのは4人だけだった。

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