第29話 ヘドガル・フォン・ハーゲンドルフ
俺とアニタはリーザの執務室に招かれる。リーザは俺に言う。
「アニエス嬢、無詠唱魔法を見たいわ。ファイヤーボールをお願い。部屋いっぱいの大きいものがいいわ。」「リーザ様、やめてください。」
ローズが止めに入るが、俺は部屋いっぱいのファイヤーボールを作りだす。
「アニエス様、やめてー」
ローズが叫ぶ。仕方ないのでファイヤーボールを消す。リーザが拍手をする。
「発動、固定共に完璧にコントロールされているわ。」「ありがとうございます。」
「あなた、宮廷魔法士にならない。今、5人しかいないの。」「私は上級魔法士に合格して宮廷魔法士になるつもりです。」
「それはうれしいわ。宮廷魔法士になるには実績が必要になるわ。」「実績ですか。」
「ローズの場合は、弟子を5歳で中級魔法士に合格させたわ。」「そうですか、魔王配下の7大魔族の1人でも倒せば認められますか。」
「すごい自信ね。人間のかなう相手ではないですよ。」「いつかは戦わなくてはなりません。」
「それは勇者の仕事です。」「勇者はいるのですか。」
「今、宮廷魔法士は勇者召喚の研究をしています。」「そうですか。」
俺が16歳になった時、行われる召喚は、まだ研究中なのだ。
「アニエス嬢は魔物討伐の実績を作ることではどうですか。」「アニエス様、その方がいいですよ。」
ローズも魔物討伐を勧める。俺としては大魔族を倒してみたいと思うがローズの顔をたてることにする。
「お姉様の言う通り魔物討伐にします。」
この時、爆発音がして建物が揺れる。
「またですか。」「そうみたいですね。きっとヘドガル様です。」
ヘドガル?どこかで聞いたような名前だ。しかし、思い出せない。
俺たちが廊下に出るとほこりが舞っている。そして、廊下の奥の方の部屋のドアが壊れている。
「やはり、ヘドガル様ですね。」「ヘドガル?」
「魔法省の上級研究員のヘドガル・フォン・ハーゲンドルフです。」「どこかで聞いたような名前ですわ。」
「魔導書を何冊か書いているので目にされたのではないですか。」
そうだ、あの「誰にでもできる魔法」の著者だ。あの偏った魔法書の著者である。
「私は、最初にヘドガル様の本を読んだのです。」「アニエス様、よく無事でしたね。」
それほどのいかれた人物なのだろうか。
「ヘドガル様は痛い人なんですか。」「研究マニアよ。優秀なんだけど。おかしな実験をして、よく爆発させているわ。」
俺たちは遅い昼食を食べに行く。俺はヘドガルと面会できることになる。
「こんな可愛らしいお嬢さんが読者なんて嬉しいよ。」「いえ、「誰にでもできる魔法」を読んだだけです。」
「ためになっただろ。」「3つ魔法を覚えましたが、あとは災害級の魔法で使えませんでした。」
「あれは、見合う魔力があれば、誰でも使えるように解説してあるんだよ。」「テロに使われたらどうするんですか。」
「ああ、そう言えば、あれは禁書扱いになっていたなあ。」「禁書ですか。」
俺の初めて手にした魔導書が禁書だったのか。これ黒歴史だよなあ。
彼も俺の無詠唱魔法に興味を持っていた。イメージするだけなのに俺以外使うことが出来ないらしい。
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