第8話 アニエス様の目

 俺は今、アニタと一緒に裏通りで少年たちに囲まれている。

 俺たちは表通りは慣れたので裏通りに入ることにした。そして、3分後にはこのざまである。

 リーダーらしい少年が俺に言う。

 「あんたらそんないい服を着せてもらえて、いいところの子供だろ。」「この・・・」

アニタが名乗ろうとするのを俺は止める。

 「私たちをどうするつもりですか。」「金だよ。金。ないのならそのきれいな服を置いて行ってもらうぞ。」

 「ベン、そんなこと言っていないではいじゃいましょうよ。」「ずいぶん乱暴ね。」

 「俺たちはこうやって生きているんだ。」「いつも子供を狙っているの。」

 「大人だって俺たちの餌食さ。」

こいつらはストリートギャングらしい。俺は退治することにする。

 「アニタ、8人いるけどやれるかしら。」「3分ください。」

 「では、片づけて。」「はっ。」

アニタは背中の木剣を抜くと飛び出しベンと言うリーダーに突きを繰り出す。ベンは腹に突きを受けて動けなくなる。

 次に横にいた少年を上段から頭に打ち付ける。そこで少年たちは動き出すがもう遅い。

 アニタは全て一撃で決めて8人の少年を動けなくする。アニタが俺に言う。

 「衛兵に突き出しますか。」「ちょっと待ってください。」

俺はリーダーのベンと話をすることにする。

 「ベン、動ける。」「痛くて動けないよ。」

 「話すことはできそうね。」「なんだよ。」

 「私はアニエス・ド・ボドリヤールです。」「なんだ、領主の娘かよ。」

 「あなたたちは生きるために人を襲っているのですね。」「そうしないと食っていけないだろ。」

 「親はどうしているのですか。」「いない奴もいれば。ろくでなしの奴もいるさ。」

 「お金があれば人を襲わないのですね。」「約束はできねえ。」

 「衛兵に捕まりますか。」「分かった。襲わねえ。」

 「よろしい。私があなたたちを雇います。仲間は何人いますか。」「14人。」

 「明日は全員連れてきなさい。」「何をするんだ。」

 「明日は契約をします。給料は1日に銀貨1枚でよいですか。」「銀貨1枚、10日は食っていける。」

 「では2日で銀貨1枚でどうでしょう。」「はい、十分です。これから俺たちは何をすればいいのですか。」

 「私の目になってください。」「目ですか。」

 「街から私の欲しい情報を集めるのが仕事です。」「やります。アニエス様の目になります。」

 「では明日ここで会いましょう。」「はい、アニエス様。」

俺は期せずして情報網を手に入れることに成功する。

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