第14話 元野盗の護衛
俺たちは森の中を順調に進んでいる。元野盗が馬に乗って護衛をしている。ローズが俺に言う。
「アニー、いったい何をしたの。」「たぶん、私に惚れてしまったんだと思います。」
「とんだロリコンたちね。確かにアニーは天使だけど。」「更生するなら良いと思います。」
「そうね。でも、このままの格好でバレーヌ伯の館に行けませんわ。」「街に入ったら身なりを整えましょうか。」「それがいいわ。」
無事に森を抜けて、バレーヌ伯領に入る。途中、通行人に出会うがみんな怯えた目で俺たちを見ていく。
いかつい男たちに囲まれた馬車が通って行くのだからしょうがない。村に入ると野盗の襲撃と間違われる。
俺たちは通る先々で騒がれながら進んで行く。ローズは頭を抱えている。
とどめに街の門で兵士たちに盗賊団と間違われ囲まれる。元野盗は兵士に言う。
「我々はアニエス・ド・ボドリヤール様の護衛です。」「ボドリヤール伯の関係者か。」
「ボドリヤール伯の御令嬢です。天使の様なお方です。」「嘘を言うな。御令嬢がお前たちのようなものを護衛に付けるか。」
これは話がつかないと思い、馬車から出ることにする。俺とローズは馬車から降りる。
兵士たちがざわめきだす。「かわいいぞ。」「本物か。」ローズを見てざわめいているらしい。
兵士の1人が前に出てくる。そして俺の前に立つ。えっ、ローズの前ではないのか?
「出世したら結婚してください。」「はぁ~」
兵士は膝まづき俺に手を取る。ローズが詠唱を始める「命のしずくよ、集まって形を成せ。ウオーターボール」兵士はウオーターボールを受けて昏倒している。
彼の鎧がひしゃげている。かなりの威力のようだ。ローズが怒りながら言う。
「この変態、アニーに近づかないで。」
兵士たちが殺気だつ、ローズもやる気である。元野盗たちが構える。
「姉さん、やりましょう。」
ローズは元野盗たちの姉貴分になったようだ。これは俺のチャームの能力が招いたものだ。俺が肩をつけるしかない。やりたくないのだが・・・
「皆さん、争いはやめて。アニー、泣いちゃう。」
ぶりっ子をする。やっている俺自身気持ち悪い。しかし、効果は大きい兵士たちと元野盗たちが俺をなだめにかかる。俺は追い打ちをかける。
「ファヴィアン様にお会いできないとお父様がかなしみますわ。」
兵士たちは領主の名前に敏感に反応する。兵士たちは俺たちの通行を許可して、元野盗たちの身なりを整えるために店を案内してくれることになる。
俺は元野盗たちの衣服を揃えて、理容店で髪とひげを整える。にわか紳士の出来上がりである。
こうして、俺たちはバレーヌ伯邸に行く準備ができた。
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