第5話

僕は昔から自分に自信のない子供だったようだ。ちょっとのことでうじうじと悩んで考え込んでしまう陰気な子供だったようだ。陰気な僕は、同年代の子供たちによくからかわれていたらしい。僕がからわかれると必然、ユリナにも視線が注がれた。ユリナも僕が不甲斐ないせいで揶揄されたという。

 僕は自分のことを覚えていないからそのとき何を思っていたのかわからない。だが、当時あらゆる分野において優秀であり、一匹狼でもあったネオンにこう言ったのだとという。「自信を持てるようになりたい」と。するとネオンは僕にこう言葉を返したそうだ。「自信が欲しいのなら強い奴といろ。そうだな俺といろ。天才の俺と。そしたら天才がうつってお前も天才になる」と。

 しかしネオンは僕にそのような提案をしておきながらすぐに承諾しなかったという。「こっちにもデメリットがあるからダメだ。お前の弱さが俺に映ったら大変だ。そうだ、勝負をしよう。睨めっこをしよう」

 当時、ネオンは同世代の中で睨めっこの天才と言われていたそうだ。何をするにしてもネオンは最強だったらしい。結果的に、睨めっこの結果は引き分けだったそうだ。始まった直後二人で一緒に吹き出してしまったそうだ。

 そんなこともあって僕とネオンは友達になったという。僕のネガティブなところは依然として治らなかったが共に遊ぶようになったという。ただ魔法に至っては物凄い速さで上達していったそうだ。ネオン曰く技術的なことは教えていなかったそうで、天才が映ったのだと思ったそうだ。

 そのきっかけをえて僕とネオンは仲良くなったそうだ。僕の環境はそれから変わっていき、引け目を感じるということもあって距離を少しとっていたユリナとも友達のような距離感で接するようになっとという。そのままツユハとも仲良くなって僕ら四人は仲良くなったのだそうだ。七歳のときに僕らの関係性は構築されて、気付いたところにはユリナと僕はラブラブになっていたそうで、その経緯については謎なのままだそうだ。

 ただ、ぽつぽつと可笑しな出来事がいくらか点在した人生を歩んでいたことだけは確かだった。そんな人生を歩んできた僕の家庭環境は周りとは少し違っていた。母が、僕が二歳の時に病気死んでしまったそうだ。僕とユリナは男手一つで育てられてきたらしかった。他にも、僕が、自分と関わり合う人間をどういう呼び方をして、どういう風に接していたのかを僕は知った。

 家に帰ると僕は父に体調があまり優れないと伝えて眠った。僕はいつも家で経営している飲食店を手伝っているそうだったのでそう伝えた。

 そのまま時間はカレンダーを捲るようにスムーズに過ぎ去っていった。一週間はあっというまだった。

 一秒の密度が深く濃密なことゆえ薄々は気付いていた。徐々に大きくなっていく違和感の正体に。夢に僕は現実を叩きつけられた。

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