第二章 『終焉の獣』

第二章予告

「さて、ここまで付き合ってくれた観測者の君には感謝を。ーーだけど彼らの物語はこれから始まる。」


妖艶に微笑んでみせたのは薄茶色の髪を肩まで伸ばした女性ーーセノだ。

真っ白な空間に1人佇む彼女はその黒い瞳でこちらを真っ直ぐ見つめている。その瞳には他者を惹き付ける不思議な魅力があった。


「少しだけ先に覗いてみるかい?」


そう言ってセノが自分の周囲に透明な球体を出現させる。よく見るとその球体の中には映像が流れていた。そして眩い光とともに、様々な声が頭の中に流れ込む。


△▼△▼△▼△


あれから1年が過ぎ、タツヤ達はとある依頼を受けていた。


『野生動物が減少してる?』


『拙者は飢えた者の苦しむ姿を知っている。頼むタツヤ、この村を救って欲しい。』


『聞いて恐れ慄きなさい。私は百花繚乱の元メンバーよ!』


『なぜ殺すのかって?答えは単純だよ。それは肉が美味いからだ。』



そしてタツヤ達は世界一の動物園に足を運ぶ。そこでは希少な動物達が次々に失踪する事件が起きていた。


『動物園デートよ!!』


『やぁ、ようこそ。ここが空想種、並びに動物研究の最前線さ。』


『いつか一緒に探そう。君に心を開いてくれる動物を。』



ーー謎の黒騎士がタツヤ達の前に立ちはだかる。


『何なんだ!?お前!』


『魔女よ。なぜそいつを守る。世界滅亡の種は早めに始末するべきだろう。』


『この黒騎士、俺たちの能力を...』


『何も分かってないのはあなたよ!そんなの世界の寿命を縮めるだけ。』



ーーそして世界の終焉が訪れる。


『無敵か!?こいつ!』


『セレイネの予言は本当だったみたいだな。さてお前ら、好き放題暴れまくるぞ。準備はいいな?』


『全ての動物達を自由に。あぁ、なんて素晴らしい。』


『僕たちの絆はこんな装置だけで繋がっていた訳では無いんです。』



ーー絶望に打ちひしがれた少女は懇願する。


『もういいの。世界なんてどうでもいいから、私と一緒に逃げよう?生きてさえいれば、道は...あるから。』


『この世に生まれてきちゃいけない存在なんて、いねぇんだよ!!』


ーーこれは言葉を超えた愛の物語。


△▼△▼△▼△


「予告はこれで十分。では一緒に見てみようか。彼らの最初の奇跡を。」


妖艶に微笑んだセノが指を鳴らす。


ーーー次の瞬間、世界が暗転した。

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