第一章5 『最強の男』

ーー突如リュウがフリップの心臓を貫いた。


「ここにきて乱心か!?リュウ。」


「俺様は正気だよ。てめぇの為に命までは捧げれねぇってだけだ。傭兵ではなく私兵を連れていくべきだったな。」


「...なるほどそういう事か。じゃがどちらにせよ、余にその覚悟は無かった。」


リュウの説明に何かを察したフリップ。フリップは諦めたように上を向き、光の粒子となって消失する。

その突拍子過ぎる事態に理解が追いつかないタツヤ。彼はわなわなと震えながらリュウを指差す。


「な、何やってんだよ団長。フリップは護衛対象で、じゃあ俺達はいったい今までなんの為に...」


「お前にしちゃ頭の回転が遅いな。ほら、広間中央の文字をもう一度よく見てみろ。」


「文字?何言って...」


リュウが指差した方向には先程タツヤ達が見ていた緋色の文字がある。タツヤはもう一度目を凝らしてその内容を口にする。


「ただ1人だけにその資格は与えられる。残り1人?」


「ほらな。さっきは残り2人だったのに、金髪坊主が消えたら残り1人になった。ーーつまりはそういう事だ。」


ここまで条件が揃えば流石のタツヤも理解する。いや、理解してしまったのだ。このダンジョンの邪悪で、悪趣味な最終試練の内容に。


「最後の一人になるまで仲間同士で殺し合えっていうのか!?そんなのおかしいだろ!!」


「俺様もこんなクソダンジョンを目にするのは初めてだ。だけどよ、外に出るには試練をクリアするしかないだろ。このまま一緒に野垂れ死ぬか?」


あまりに悪辣な試練の内容に憤慨するタツヤ。それとは対照的にリュウの態度はすこぶる落ち着いたものであった。


「なんでそんなに団長は落ち着いてんだよ。」


「そりゃもちろん腹括ったからだ。...タツヤ。てめぇにその覚悟はあるか?」


両手のレーザーランスを構え、臨戦態勢をとるリュウ。覚悟を問われたタツヤが静かに目を閉じる。

思い出すのは死んでいった仲間達の顔。そして最後に自分を助ける為に散っていったマリーの姿。タツヤはこんな所で死ぬ訳にはいかなかった。それに、


「フリップは良い奴だった。...ほんとに良い奴だったんだよ。彼を殺した団長を俺は絶対許さねぇ。」


目を見開いて刀を鞘から抜く。覚悟は決まった。フリップやみんなの為に最後までタツヤは足掻いてみせる。


「やっぱりそうこなくっちゃなぁ!!」


タツヤの闘志を感じ取った瞬間、リュウがこちらに突っ込んでくる。レーザーランスによる刺突、その攻撃をギリギリで躱してタツヤは距離をとる。

右手で刀を握り、左手でアサルトライフルを生成して、リュウに向けて発射した。もちろんシールドでその攻撃は防がれる。

余裕そうなリュウの表情。それもそのはず、


「俺様は一対一の決闘で、これまでたった一人にしか負けたことがねぇ。」


「ちなみにその負けた相手って?」


「百花繚乱の団長、ロイゼだ。」


「全く参考にならねぇ...。」


伝説の傭兵団、百花繚乱。その団長は当然のごとく、人智を超えた強さをしていたらしい。もちろんタツヤはそんな存在の足元にも及ばない。


「それでも負ける訳にはいかないんだ!」


リュウと近接戦闘では分が悪い。そう考えてタツヤは距離を取りながらアサルトライフルでシールドを削る作戦に出る。シールドだって無限に張り続けられる訳では無い。弾を当て続ければいつかは無くなるはずだ。


「...おいおい。お前に生成銃を教えたのはこの俺様だろうが。師匠に勝てる弟子がどこにいるってんだよ。」


距離を詰めてこないタツヤにうんざりした表情のリュウ。そして彼が両手に生成したのは、


ーーミニガンと呼ばれる機関銃だ。


6本の銃身を持つその機関銃が発射する弾の数は毎分4000発。それが2丁あるのだから毎分8000発だ。2丁で総重量200kgは超えるであろうその銃をリュウは軽々しく持っている。


「対人の撃ち合いはこいつをぶっぱなすのが1番だよなぁ!?」


「くっ...。」


圧倒的な弾幕はもはや不可避の攻撃といっていい。毎分8000発の猛攻。対してこちらは左手のアサルトライフル一丁のみ。どちらのシールドが早くに削り切れるかなんて一目瞭然だ。

みるみるうちにシールドが薄くなっていくタツヤ。

不利な戦況を悟ったタツヤは一か八かの賭けに出る。左手のアサルトライフルを消失させ、両腕で刀を握ったまま一気にリュウへと近づいたのだ。彼を倒すには『あれ』を使うしかない。

近接戦を仕掛けてきたタツヤを見て、リュウも武器をレーザーランスへと切り替える。


「やっと距離を詰めてきたか。銃撃戦でシールドを削り切られて終了。なんてつまらない真似、タツヤならしねぇと思ってた所だ。」


相変わらず余裕そうな表情のリュウ。当然だろう。経験から来る圧倒的な実力差。それに生成銃から戦い方までタツヤはリュウに全て教わったのだ。手の内まで全て知られていては勝ち目がない。


ーーだがタツヤには今までリュウに隠していた秘策がある。


「忍法・昏天黒地の術。」


「魔法だとぉ!?」


そう、魔法だ。タツヤの故郷では忍法や呪術と呼ばれているものがあるが、その実態は魔法と全く同じものだ。理論に基づき、フィロアを用いて、現象を引き起こすのだから。

忍法・昏天黒地の術は暗闇によって対象の視界を遮断させ、さらに極短時間だが意識を朦朧とさせる効果がある。

しかし射程距離が短く、耐性が少しでもある相手には全く効かないため、使い勝手は悪い。もちろんフローラになんて何回打っても効かないであろう拙い魔法。


ーーそれでもこれが、タツヤが今使える唯一の魔法なのだ。


そしてタツヤが魔法を使える事をリュウは知らない。それもそのはず、故郷から逃げる時に使った以来、タツヤは一度もこの魔法を使わなかったのだから。


リュウは完全に油断をしていた。弟子が使う手の内を全て把握していると思い込み、その接近を許してしまったのだ。だからその傲慢に鉄槌を下す。


「くらいやがれ!!」


刀による渾身の一振り。その分厚い胴体を両断する勢いで放った一撃だったのだが、リュウは視界を奪われているにも関わらず、勘だけでその致命傷をただの切り傷へと変える。タツヤの一撃はリュウの胸を浅く切り裂く程度にとどまったのだ。

その人並み外れた驚異的な勘は、元百花繚乱の名に恥じぬもの。


「視界を奪った程度でこの俺様を倒せるとでも?こんなのかすり傷だ。屁でもねぇ。」


「ーーいやそのかすり傷で十分なんだよ。」


リュウの挑発に対して、タツヤが静かにそう告げる。次の瞬間、リュウの胸の傷から紫色の光が溢れ出した。


「チッ。その刀、妖刀かよ。人間だけに効くタイプか。」


「俺の可愛い妹の愛情はよく効くだろ。俺以外には毒でしかない愛だ。」


そしてリュウの身体の内側から紫色の結晶が飛び出す。それは彼の内蔵を、心臓をズタズタに切り裂いた。致命的な一撃を受けたリュウの身体からは光の粒子が漏れ出ている。


ーーそう、血ではなく光の粒子が。


「さてと遊びは終わりだ。第二ラウンドといこうぜ!!」


「これがフィロアで構成された仮の肉体を纏い、死を一度回避できる秘術、『化神』かよ。」


それはこの世界でも限られた人しか習得できないとされる秘術『化神』。習得には心身共に己の全てを完璧に把握する必要があるという。無論、その習得年数は100年単位などと言われており、ほぼ仙人の境地である。


「まあお前みたいなヒヨっ子が真似するには100年早いな。諦めろ。」


「...ちなみにこれ使えるのリュウ団長だけ?」


「いや百花繚乱のメンバーはみんな使えたな。」


「とりあえず百花繚乱が化け物集団ってことは分かった。」


リュウが結晶のようにひび割れて、中から本体が出てくる。化神が解かれ、これからが本当の戦いというわけだ。ズルすぎるにも程がある。

もうタツヤは手をほとんど出し尽くしたというのに、リュウはピンピンしているのだから。

そこへ更にリュウは追い討ちのように説明を加える。


「俺様の固有能力は『優勢』。相手よりも全ての能力で上回ることが出来る力だ。まあお前みたいな格下には意味の無い能力だがな。」


それはつまりタツヤは、一切においてリュウに敵わないことを意味する。絶望的な状況。しかしそれなら、


「なんで早く俺を始末しない?」


「なんだと?」


タツヤの指摘にリュウは眉を上げた。どうやら自分でも気づいていないらしい。だからタツヤは説明を続ける。


「団長はミニガンで一生遠距離から俺を撃ってれば勝てたはずなんだよ。なのにわざわざ俺の接近を許して、ヘマをした。」


「それだと面白くねぇだろうが。てめぇの魔法には...驚いたがよ。」


「いや、団長は意外と戦いを楽しむタイプじゃない。冷徹無比に圧倒的火力でねじ伏せるのがいつもの団長だ。」


「ーーー。」


「さっきから自分を誇示するように説明を挟むのも不自然だ。ーーまるで俺に全てを諦めて、投降して欲しいかのように見える。」


「ーーー!」


「なぁ団長。覚悟がないのはあんたの方なんじゃないか?」


その言葉を聞いた瞬間、リュウの雰囲気が変わる。凄まじい殺気を放ちながら手に大剣を生成したのだ。その姿はまさに鬼神が如く。そして眉間に皺を寄せたまま、大剣をこちらへと向けた。


「手加減してたのはほんとだ。お望み通り全力で殺してやるよ。」


その言葉に嘘偽りは無いのであろう。タツヤは肌にピリピリと冷たい殺気を感じていたのだから。だけど、


「不思議と負ける気がしねぇ。」


自然と身体に力が湧いてくるのだ。そのまま刀を握りしめて、こちらからリュウに向かって突っ込んでいく。


いつもであればそれで決着がついていた。それ程までにリュウとタツヤには実力差がある。しかしリュウは何故かタツヤに致命傷を与えられない。


「動きが別人みてぇだ。いったいどうなってやがる!?」


「俺は団長に勝って外に出る!」


神速の攻防。タツヤの頬や腕、足から血が滲む。それから刀と大剣が擦れ合い、凄まじい銀光が火花を散らす。刃と刃がぶつかり合い、お互いの力が拮抗したことで起きた停滞。


ーーそう、力が拮抗したのだ。


「俺様と力が互角だと?ついさっきまでヒヨっ子だったこいつの何処にそんな力が。」


「どりゃぁぁ!!」


気合いの声と共にタツヤはリュウの大剣を押し返した。後ろに体勢を崩すリュウ。その表情は心底驚いていて、現状に理解ができないといった感じだ。

しかしその刹那、彼は1つの結論を導き出す。そんなリュウに向かってタツヤの刀が振るわれようとしていた。


「タツヤが急に俺様の力を上回りやがった。そんな能力、この世にたった1つしかねぇ。それは俺様の...」


「とどけぇぇ!!」


「届くわけねぇだろ。馬鹿が。」


リュウはフィロアを全て身体強化に回して速度を増し、後ろへ跳躍する。かすり傷でさえ容赦なく命を奪う妖刀だが、当たらなければどうということはない。あとは距離をとってミニガンでタツヤのシールドを削り切れば...

そう考えたところでリュウは目の前の異変に気づく。


ーータツヤはその手に刀を握っていなかったのだ。


代わりに生成していたのはロケットランチャー。リュウがユニコーンに対して使っていたのと同じものである。

リュウの敗因は二つ。1つ目は斬撃の回避に専念してしまった為に、シールドを張れなかったこと。

そして2つ目はタツヤがアサルトライフル以外の生成銃を使えるようになっていたとは思わなかった事だ。

本当に隠し事の多い弟子である。敗北を悟ったリュウは忌々しげに呟く。


「サムライが刀を捨てんじゃねぇよ。」


「生憎と故郷を追われた身でね。誇りなんてとっくの昔に捨ててきたよ。」


そしてロケット弾がリュウに直撃した。思いっきり後方へと吹き飛ぶリュウ。そんな彼を追い討ちするようにタツヤは再度刀を拾い上げ、リュウに向かって突っ込んでいく。

アサルトライフルの弾が直撃したとしてもリュウには大したダメージを与えられない。だからこそのロケットランチャー。


「だけど団長はこんな攻撃で倒れるほど甘くないよな!」


確実にリュウの息の根を止めるには妖刀の一撃しかない。硝煙に飛び込んでその刀を振り下ろそうとした瞬間、タツヤの手が止まる。


ーー何故ならリュウは大の字になって、仰向けのまま寝っ転がっていたからだ。


「なんで...諦めてるんだよ。立てよ!」


「いや思いの外、成長した弟子の一撃ってのは効くもんだな。あのロケットランチャー、俺様が使ってたヤツだろ?」


「そうだよ。俺は団長を心の底から尊敬してた。それは決してこんな所で諦めるような人じゃない!」


爆風によってサングラスが吹っ飛ばされ、リュウの水色の双眸が真っ直ぐこちらを見つめている。その瞳には様々な感情が渦巻いていた。


「たしかにまだ戦おうと思えば戦えたな。だが意味がねぇ。ほら、俺様の身体をよく見てみろ。寿命だ。」


「...寿命?」


よく見るとリュウの身体全体から光の粒子が少しずつ溢れ出していた。たしかにそれは寿命間近の人間に見られる反応。しかしタツヤの頭がそれを否定している。


「生きる気力さえあれば寿命なんてこないはずだ。団長に寿命なんて言葉、1番似合わねぇよ!」


「おいおい、俺様は既に200年は生きてるんだぜ?太古の人間ならとっくの昔に死んでるっての。それに俺様は...もう疲れちまったんだよ。」


天井を仰ぎ、らしくない穏やかな表情を浮かべたリュウ。その瞳にはとっくに闘志なんて消えていて、あるのは過去の思い出だけだ。


「...何に疲れたんだよ。」


「団員を、仲間を殺すことにだな。なあタツヤ。百花繚乱はなんで解散したか知ってるか?」


唐突に百花繚乱の解散理由を聞いてきたリュウ。もちろんタツヤは知っている。彼らの伝説は、世界中に語り継がれているのだから。


「たしか伝説では魔王を倒した団長ロイゼが、寿命で死んだからって事になってるけど。」


「半分正解だ。そして間違ってる部分はその死因だな。ロイゼ団長は俺様達団員の手によって殺された。」


衝撃の事実を口にするリュウ。当然、タツヤの口からは疑問の声が飛び出す。


「なんで殺す必要が...」


「団長は魔王になりやがったんだよ。だから再び世界を救う為に、俺様達は団長に刃向かったんだ。ーー悪に堕ちて尚、団長に味方する団員を殺してでもな。」


「団員同士の殺し合い...」


「もちろんクソみてぇな気分だったよ。あの感触だけは未だに忘れられねぇ。」


壮絶なリュウの過去を知るタツヤ。マリーやみんなを、大切な仲間を自らの手で殺すなんてタツヤには考えられない。けれど当時のリュウはそれをするしか無かったのだ。世界を救うために。


「そんな辛気臭ぇ顔すんなって。長々と話しちまったせいで逃したんじゃねぇか?」


「何を?」


「この世界最強のリュウ様を討ち取ったって称号をだ。」


見ればリュウの身体が薄くなっている。それはリュウがこの世から消えかけている証拠でもあった。タツヤはその手を伸ばし、消滅を止めようとする。だが無意味だ。


「待ってくれ!俺はまだ何も団長に...」


「おいタツヤ。もしこれから元百花繚乱のメンバーに会うことがあったらこう伝えてくれ。ーー最後まで俺様に勝てなくて残念だったな。ってな。」


そう言い残してリュウは消えていった。その瞳には光が再び戻り、最期の顔は自信に満ち溢れていて、彼らしいものであったといえる。


「俺はあんたのこと、本当の父親のように思ってたよ。」


その辺で野垂れ死にそうになっていたタツヤを拾ってくれたのがリュウである。それから彼には多くの事を教えてもらったのだ。

不器用だが面倒見の良い、まるで父親のような存在。そんな彼をタツヤは慕っていたし、尊敬もしていた。だからこそ、こんな別れ方に納得いくはずがない。


「これは、彼岸花?」


俯いていたタツヤが突然の床の変化に気づく。見れば大広間の床一面に、花茎の先に強く反り返った鮮やかな赤い花が咲いている。その光景は幻想的だが、不気味でもあった。


そしてその彼岸花畑の中央に、何か小さなものが浮かんでいるのが見える。それが何なのかを確かめるために、タツヤはその物体に向かって近づいていった。


「目玉?なんでこんなところに。」


その小さな物体の正体は緋色の瞳を持った目玉であったのだ。そして次の瞬間、その目玉がタツヤの胸に吸い込まれる。


「なんだ!?」


驚きの声をあげるタツヤ。そしてそれと同時にダンジョンの崩壊が始まる。眩い白い光が視界を埋めつくして、タツヤの意識が飛んだ。



△▼△▼△▼△



久しぶりに見た青空は雲ひとつ無い晴天で、それなのにタツヤの気分は全く晴れない。それもそのはず、タツヤはかけがえのない大切な仲間をみんな失ったのだから。

ダンジョンが崩壊したことを鑑みると、どうやら最後に見たあの目玉が宝具だったらしい。


「ダンジョンクリア。目からビームとか出せるようになったのかな。まあそんなこと、どうでもいいけど。」


「おいそこの傭兵!どうやらS級ダンジョン『幽明』をクリアしたものと見える。」


全てを諦めたような目で空を見上げているタツヤ。そんなタツヤに向かって声がかけられる。声がした方を向くと、多くの従者を引き連れた男性がこちらを見ていた。金色の髪、口元に立派な髭を生やし、水色の瞳を持った男性だ。


どうやらここは元々ダンジョンがあった場所のようだ。そしてタツヤは大勢の兵士に出迎えられている。


「その通り、クリアしたよ。」


「そうか。私の名はタリス・エリュール。それで息子のフリップは何処に?」


その言葉を聞いた途端、タツヤの顔が暗くなる。まさかフリップの父親とこんなに早く出くわすことになろうとは。いや、最愛の息子の帰りを待つのは、父親として当然の事なのかもしれない。


フリップをリュウ団長の凶行から救えなかったのはタツヤの責任だ。だから言葉を濁さずに、はっきりと彼に真実を伝える役目がタツヤにはある。タツヤは丁寧な口調でタリスに状況を説明した。


「フリップはリュウ団長の凶行によって死にました。そのリュウ団長を殺したのが俺です。他の団員は...みんなダンジョンで命を落としました。だから生き残ってるのは俺だけです。」


「なるほど。」


報告を聞いたタリスは眉間に皺を寄せ、タツヤを指差す。その冷えきった瞳には一切の感情が見られない。


「お前たち。我が息子を殺した目の前の大罪人を殺せ。」


ーータリスの私兵に囲まれ、タツヤは絶対絶命の危機に陥った。

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