第20話 リリーローズ様が遊びにきた。


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【癒し】悪役令嬢アルビダ様を応援するスレ 08.



 881:名無しの妖精

 今日もアビィ様のご尊顔を見れた。待ってて良かった


 882:名無しの妖精

 ジェイデンの妹が助かった……アルビダ様すげえぇぇ


 884:名無しの妖精

 私たちのスパチャがスキルを得る力になるとか。感動。


 886:名無しの妖精

 今日配信あったんにゃ? もう少し待ってたらよかったにゃ


 888:名無しの妖精

 >>884スパチャがスキルって? なんでそーなるんですか?


 890:名無しの妖精

 これからもいっぱい応援するゆ


 891:名無しの妖精

 俺たち妖精はアルビダ様のために働くのだ。


 892:名無しの妖精

 >>888スパチャのポイントをスキルと交換できるみたいで、それで鑑定スキルと交換して、ヤンデレ妹の病気を治す方法を見つけ、助けた天使アルビダ様


 893:名無しの妖精

 >>892…スキルを与えれるとかマジ妖精ですね


 894:名無しの妖精

 アルビダ様のために妖精はいるのだ!


 897:名無しの妖精

 ジェイデンのヤンデレ回避できてよかったねー。


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 妖精たちが騒つき、スパチャを稼ぐと盛り上がったていた数日後。


 今度はアルビダの様子が少しおかしい。その姿は緊張して落ち着かない様に見える

 一体何があったのだろうか?



「ロビン? わたくしの服装、これで良いいかしら? にあってます?」

『はいはい。似合ってるって。今日さ、それ言うの何回目?』


 ロビンが呆れたように返事をする。

 今日のアルビダは朝からソワソワしていた。


 お茶会で仲良くなったリリーローズが、イングリットバークマン邸に遊びに来ると数日前に連絡があり、アルビダは今日が来るのを楽しみにしていた。


 イングリットバークマン邸では、メイドたちがお大急ぎでサロンの準備を進めている。


「もう……そろそろ、リリーローズ様が来られる時間では……」

『アビィ、落ち着いて? 来たらメアリーが呼びにくるでしょ』

「そうなのですが……落ち着かなくて」

『嬉しい気持ちは分かるけどね?』


 こんなソワソワしたアルビダの様子も、こっそりとロビンが配信し、それを見た妖精たちが応援し、スパチャを送っていたなんて事は、アルビダは知らない。

 ロビンのこっそり配信も妖精たちに最近人気だったりする。


 ロビンとあーだこーだと話していたら、部屋の扉がノックされメアリーが入ってきた。

 どうやらリリーローズが到着したようだ。

 アルビダはロビンを胸に抱きしめ、メアリーと一緒にロビーへと向かう。


 ドキドキしながらロビーで待機していると、扉が開きリリーローズが入ってきた。


「ごきげんようアルビダ様、今日はよろしくお願いいたしますわ」

「ごきげんようリリーローズ様。こちらこそよろしくお願いいたします」


 挨拶を交わすと、用意していたサロンへとリリーローズを案内する。


「わぁ、なんて素敵なサロンでしょう! この見事に咲いた薔薇も綺麗です」


 リリーローズが用意した薔薇を褒めてくれ、アルビダも嬉しくて顔が綻ぶ。褒めてくれた薔薇は、早起きして庭園にまで向かいアルビダが選んだ薔薇なのだから。


「アルビダ様の美しい髪色と同じですね」


 リリーローズが薔薇の花とアルビダの髪が同じだと褒める。それが嬉しいけど恥ずかしいのか、アルビダは耳を赤くして黙り込んでしまう。

 そんなアルビダの姿をリリーローズは可愛く思い、一人こっそり悶えるのだった。


 ロビンもリリーローズに見つからないように、『よかったね、アビィ』とコッソリ話しかけるのだった。


「今日遊びに来たのはお願いもありまして」

「お願いですか?」


 ———リリーローズ様がわたくしにお願いとはどんなお願いでしょう? 叶えることができたら良いのですが。


「はい、私のドレスのブランドのモデルになって欲しいのです!」

「モデルですか? わたくしが?」

「はい! アルビダ様に会ってからというもの、私は創作意欲がもりもりと湧いてきまして、作りたいドレスのデザインで脳内が溢れているのです!」


 リリーローズが鼻息荒くドレスについて興奮気味に話す。

 それに圧倒されながらもアルビダは、熱心に話を聞いている。


 ———できる事なら願いを聞きたいのですが、モデルというのはどんな事をするのでしょう?


「私が今作ろうとしているドレスは全て、アルビダ様に似合いそうなものばかりが浮かぶのです! ですからその完成したドレスを着ていただきたいのです」

「え? ドレスを着るだけで良いのですか?」


 流行最先端のドレスを着るなんて、ただのご褒美では? とアルビダは首を傾げる。


「はい、それとそのドレスを着てお茶会に私と一緒に言って頂けると嬉しいです。……無理にとは言いませんが……」

「そんな! それってご褒美っゲフン! リリーローズ様のドレスを着させて頂けるなんて嬉しいです、是非モデルをさせて下さい」


 ———素敵なドレスを着て大好きなお友達とお茶会に参加できるなんて……なんのご褒美でしょう! これも妖精さんの力でしょうか。妖精さんありがとうございます。


 アルビダはモデルになる事を約束し、一週間後リリーローズ邸に行くことになった。

 ここでまさか妖精たちを困らせる新たなる問題が起きるのだが……この時のアルビダはまだ知らない。



 ★★★


 アルビダ「妖精読者さん。モデル頑張りますので、わたくしのドレス姿……可愛かったら★★★スパチャ頂けますか?」


 ロビン『アビィ……おねだりが上手くなったね』

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