ぼくになりたい

@3tamaria

第1話

 僕はがんばってシマウマになりたい。だってシマウマはかっこいいから。

 でもなれるかどうかわからないのが現状だ。だって今の僕は、メダカだから。

「君は羨ましいなぁ。志望通りになれるんだろう?」

「まぁね。カラスが志望なんだけどやっぱ滑り止めにハトも受験してみるよ。鳥類になれるならならなんでも良いけどね。」

「僕はせいぜいカエルくらいが限界かなぁ。」

と言いながらやっぱりシマウマになりたい。同じメダカの友達はカラスになれそうなのに、僕はシマウマになんて到底届かない。

 悔しくて涙が出てきた。まんまるの目から。どうして僕はもっと頭が良く生まれてこれなかったんだろう。シマウマで生まれてこなかったんだろう。母親を憎んだ。そして自分を憎み哀れんだ。

 ある日、マグロのお兄さんに会った。その日中学校は休みだったから駅近をプラプラしてたらいた。お兄さんは何か不満ありげなクマの付いた目をしていた。そんな目に僕は何故かわからないけど親近感みたいなものが湧いて、話しかけてみた。

「何してるんですか?」

「関係ある?」

「ないですけどなんとなく」

沈黙。そしてお兄さんは話し出した。

「受験に失敗したんだよ。カラスになりたかったけど落ちてシマウマになっちまった。」

「え?」

「ん?」

「僕、シマウマになりたいんですけど到底なれそうになくて、で友達はみんなすごい動物になって行くし、母親や先生には怒られるし、最近全然寝れないしでもう大変な感じです。」

「あそ」お兄さんは興味なさそうにしていた。

「もう死にたいっすよ」

「うーん」とお兄さんは唸ったような声を出して続けた。

「あのな、お前は自分が世界で一番不幸で孤独でかわしそうで馬鹿だと思ってるかも知れないけど、そう思ってるやつはこの世界に死ぬほどいるし、本当に死にそうで孤独で不幸なやつだっていんだ。」

 僕はそこで何か言い返したかったけど何も言えなかった。なんでそんなこといきなり言うんだ。悔しさがあった。そして、虚しさもあった。何も言えずに帰った。そして考えた。僕は本当は何になりたいのか。自分なりに一生懸命考えた。


そうだ、僕がなりたかったのは。

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