14 キズナとアーテルとホープ先生
登校時間まで4時間。キズナはロスト・エンジェルスの言語を理解するため、本を開くのだった。
*
「おはよ! って、深夜に目覚めちゃったの?」
「うん、パーラさん」
普段はメントのほうが早起きなのだが、きょうはパーラが先に下へ降りてきた。
キズナは本を閉じ、時刻が8時を回っていることを知り、学生服へと着替え始めた。
「心配だな~。キズナちゃんの体調」
「昔からあんまり寝ることに関心なかったから、気にしなくて良いよ」
「そう? 睡眠ってめちゃ大事だけどね」
「そうなんだけども、眠れないものは仕方ないさ」
「まあ良いや、朝ご飯つくるね~」
案外流してくれるほうが気楽だったりする。
パーラは台所に行き、なにかをつくり始める。朝飯なんてフレンチトーストだけで良いような気もするが、かれこれ1ヶ月以上多量の朝食を摂っているので、そろそろ胃袋が広くなった気もする。
そんなわけで、本日はフランス式の甘いパンやオレンジジュースを飲み、キズナはアーテルとの待ち合わせ場所へ向かっていく。
(ん? 誰かといっしょだな)
バス停の前で、アーテルは誰かと談笑していた。きのうの怯えきった表情から一転し、きょうのアーテルは随分顔色が良い。その理由はおそらく、隣にいる青髪の女性のおかげだろう。
「おはようございます」
「あ。お、お、おはようございます。あの、えーと、この方は、ホープ先生です」
「名前だけ訊いても分からないでしょうに」青いボブヘアのホープはにこやかに、「はじめまして。KOM学園のスクールカウンセラーのインターンをしてるホープです。まあ、インターンって言っても、もうほとんどKOM学園に就職してるようなものだけどね」
ホープ。きのう、狸寝入りしているとき訊いた名前だ。パーラやメントの友だちで、同じ高校に通っていたらしい。
「それで、貴方はキズナさんだよね? サングラス、似合ってるよ」
「あ、どうも」
サングラスをかけながら現れたキズナへも、ホープは優しげな表情を浮かべるだけだった。
そしてバスが到着する。キズナたちはそれに乗り、学校まで揺られていく。
「ホープ先生とアーテルさんって、どんな関係なんですか?」
「先生って言われると照れちゃうな~。悪い気はしないけどさ」
「ホ、ホープ先生は私の悩み相談に乗ってくれる方で、あの、その、すっごくお優しい方です」
「アーテルちゃん、たぶんキズナさんは素の性格でも受け入れてくれると思うよ」
「え、そうなんですか?」
「素がどんな感じか分かりませんけど、アーテルさん、というか先輩? が接しやすい態度で良いですよ。貴方が悪感情を持ってるとも思えませんし」
「あ、え、じゃ……ごほん。もう敬語使うのはやめます……やめるよ。キズナちゃん」
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作者謎の体調不良のため、文字数を減らします。ご了承ください。
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