第19話 トイレが空いていない時の教え 自宅編
自分の部屋でぬくぬくとパソコンで作業をしていたのだが、いきなり尿意が湧いてきた。何故だろうそんな水分をとっただろうか、飲みかけのペットボトルを見つめる。残り2割ほど残っている。飲み始めたとき8割ほどあったから結構飲んだのか。集中してるとそういうのまで意識できないや。トイレに行ったのは3時間ほど前。なるほど別に頻尿というわけでなさそうだ。寒さで膀胱が縮んだかと要らない心配は置いていて部屋を出てトイレに向かおうとする。だがしかしその扉には鍵がかかっていた。あらら仕方ない。妹が入っているのだろうか、最近腹痛に悩んでそうだったし仕方ない。腹痛のプロとしてあとでおすすめの薬を教えてやるとしよう。さて膀胱もそろそろまずいよとSOSのサインを出してきたし下の階のトイレに行ってみよう。幸い我が家は2フロアに1つずつトイレがある。4人家族にも優しい設計になっている。うっかり漏らさないようにゆっくりと階段を降りていった。トイレは逃げない安全に行こう、少し思考にノイズが混ざってきた俺の脳でもそれぐらいの注意を払う余裕はあった。よし着いた。めっちゃ出るかもな、20秒も夢じゃない。水分めっちゃとってたし銀色の聖水だろうな。そんなバカなことも考えて取っ手に手をかけた。開かない。おっとこれは...。少し膝を曲げて楽な姿勢をとる。手すりの上に注目した。横に一本伸びた棒が存在しており、それはロックがかかっていることを表していた。この時の絶望感は言葉に言い表せない。まずい油断していた。両方埋まっていることなんて滅多にないから。いつもは必ずどちらかは使えていたんだ。ゆっくりしていたことで膀胱ゲージはそろそろマックス。何か考えようにも思考に「トイレトイレ」というノイズが入ってきて集中できない。待て落ち着け、もしこの中にいるやつが俺と同じおしっこで済むならすぐに出てくるだろう。長く見積もっても1.5分、それぐらいなら耐えられるはずだ。そこからは戦いだった。下半身をくねくねさせながらたまってきた尿をうまく膀胱に収めている。端から見たらただの変態だ。幸いここは自宅、誰に見られようと俺のイメージ像が今更どうこうなるものでもない。って遅いもう3分は経っている気がするが。ノックしてみる。尋ねた。まだですかと。返ってきた。しばらくかかるかも。再び絶望。余裕があった数分前の姿はどうなったのか俺はおかしくなっていた。やばいやばい。数年越しのお漏らし来ちゃうこれ。もう成人してんだけど。最悪のシナリオが浮かんでくる。がちゃり。空いたのか!振り返ってみてもその扉は閉まっている。どうやら上のトイレが空いたらしい。流石にこの状態で階段の昇降運動なんて出来ない。運命を恨んだ。くっそ!やばいもう無理だ!どうするどうするどうする!どこかおしっこしてもよさげな場所!
その瞬間俺はひらめきの快感で漏らしかけた。
風呂だ
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