転入
「ボス、いつやるんですかー?」
と、だらーんと腕を垂らし、子供なのに腰辺りまで長く伸びている、銀髪を垂らしながら、ソファの上でねっ転がり、青い目で俺を見ながらノアが言った。
「いつって言っても始めるかどうかを決めるのは、俺達じゃなくて、ルーナだからな、なんとも言えない」
「ええー、どうにかしてよー、暇過ぎておかしくなる!」
ノアが駄々をこねる様にそう言った。
めんどくさい。
「と言ってもなー、ルーナが鍛えるのと、その他諸々するまで待て!って言われてるからな、死ぬのは嫌だろ?」
「そうだけど!ボスの力でどうにか出来ないのー?」
「お前の欲は満たす事は出来ない」
「えー?ボスの能力なら、人を生み出すことは可能でしょう?」
「ああ、可能だが、ナイフとかで傷を付ければすぐに死ぬし、死んだら、取った部位も消える、だから、何の意味もない。求めてるのは、自分が殺したという、事実が死体として残る事なんだろ?なら、意味ないだろ」
「そこを何とか出来ないの?ボスでしょー」
「俺を何だと思ってるんだ?」
「悪魔」
「悪魔でも出来ない事は出来ない。それにノアも悪魔だろ」
「何とかしてよ!ボス!」
子供だからなのか?融通が効かない。本当に面倒だ。
誰か、居ないのか子守りは。
俺は、辺りを見渡すが全員どこかに行ってるか、自分の部屋に篭ってる様だった。
いつもだったら、ここで騒いでるのに。
「……誰か来てくれ」
「なんか言った?ボス」
「いや、何も言ってないぞー、テレビでも見とけ」
俺は、近くにあったリモコンを取り、適当の番組を流す。
「えー、考えてよー、お願い!」
「はあ、分かった、考えとく」
「
「私、選ばれてないよ、
「私はさっぱり、神に選ばれる事はないね」
「選ばれる人なんて、そうそう居ないもんね」
私は、違う意味では選ばれていながらも、見事の演技で明里を騙し切った。
嘘は吐いてないから、演技かどうかは怪しいが、そんなのはどうでもいい。
とりあえず、私は自分の演技に少し自信を持ってから、手元にあった、クリームソーダーを飲み始める。
私意外と、演技の才能あるのかな?
「そういえば、この前の超能力も神に選ばれたのかな?」
確かに言われてみれば、ルーナさんとは違う人がやったのかな?
ルーナさんがするとは思えないし。
「私達を選んでる神とは違うんじゃない?」
いや、あり得るのかな?分かんないけど、今度訊いてみようかな?
「確かに、人を救おうとしてるんもんね」
「そういえば、最近来ないよね、侵略」
「なんか、神の力で少しの間、抑えてるとかじゃなかったっけ?」
「そうだっけ」
そんな事になってるのか。確かにそれなら、疑われる事も少ないだろうな。
ルーナさんは、特に何も言ってくれなかったんだよな。
「もしさ、その悪魔共を選ばれた者以外で殺せるとしたら、どんな物だと思う?」
どうしたんだろう?まさか、殺そうとでも、考えてるのかな?
間違いなく無駄だろうけど。
「普通に銃とか?戦車とかじゃない?」
「本当に効くのかな?」
「さあ、やってみないと分かんないよ」
「そうだよね」
まさか、試してみるとか言わないよね?
親が金持ちで用意出来るとか言わないよね?
「九条家とかだったら、対策出来るのかもね?」
「九条家?」
「知らない?都市伝説、なんか世界のトップに君臨してる的な凄い一家で、その人達は全員、才能で満ち溢れていて、漏れなく天才なんだって」
結構有名な都市伝説だと思うが、知らないのか。
かなりの動画サイトでも度々有名になってるけど、見てないのかな?
「へー、そんな都市伝説が一体誰が流したの?」
誰だっけ?どこかで聞いた事ある気がする。
「確か、海外の記者が記事に書いたかなんかじゃなかったけ?」
「名前は?」
名前か、知らないな。
「覚えてない」
「そっか、なるほど」
「どうして、名前なんて知りたかったの?」
「うん、そうだね、どんな記事だったか名前知れれば分かるかなって」
「名前分かんなくても分かるんじゃない?」
「そうかもね」
明里は、そう言って苦笑した。
なんか、怪しいが気の所為だろう。
そんな事を思っていると、何かで頭を叩かれた。
視界の外からだったので、未来予知も機能しなかった。
「ここで何してるんですか?」
その声で、誰が叩いたかは、大体見当がついた。恐らく、アイシャだろう。
叩かれた方へと視線を向けると、そこには、分厚い本を持った、緑色の目をしていて、下と上で色の違う長い綺麗な髪を肩の上から垂らしたいた、美人が居た。
「アイシャどうしたの?」
「どうしたもこうもありません、会議始まりますよ」
「あ、そっか、ごめん、明里私そろそろ行かなきゃ」
「あ、本当?じゃあ、会計済ませておくから行ってきな、その日本語が上手の外国人と一緒に」
え?何を言っているのだろう、アイシャが喋っているのは、英語の筈だ。ルーナさんの力で日本語に聞こえる様になってるだけだ。英語喋れない人用に、自分達の国の言語に聞こえる様になっている。
そうか、そういう事か。
「ありがとう、明里、行こアイシャ」
「はい、そうですね」
私達は、少し駆け足で店の外に出た。
「一体、どういう事ですか?あっち側の人達と話すなんて」
「私も、知らなかったんだよ」
「まあ、良いですけど、ボスには話しておきますね」
「まあ、でも、多分これからは、話せないんじゃないかな?」
私は、一つのニュースをアイシャに見せた。
「なるほど、家族虐殺事件ですか、確かに出れないですね」
「じゃあ、行こうか」
「はい」
私達は、人気のない所から、飛んで、自分達のアジトへと向かった。
「
正義は、珍しい事に授業中に欠伸を繰り返していた。
睡眠管理はいつも徹底していて、授業も真面目に受ける、そこら辺は完璧な人間だった。
そんな人間が授業中に欠伸を繰り返したいると、当然、教師も心配するものだ。
「ああ、大丈夫です、ここの所訓練しっぱなしで最近全然寝る時間ないんですよ」
「そうか?世界の為に訓練する事は良い事だが、無理するなよ?」
「はい、分かってます」
驚いた事に、放課後には、秤の周りに人が集まった。
心配してくれている様だった。
普段、集まらない人達も集まっていた。
「最近勉強会出来てなかったしない?」
秤は、少し悩んでから答える。
「……そうだね、やろうか」
恐らく、勉強会をしてしまったら、睡眠時間が削られる事を危惧したのだろう。
ただ、みんなの優しさを無碍には出来なかったのだろう。
その時、一人の男が教室に入ってきた。
髪はセットされておらず、制服も秤とは違う制服だった。言うならば、ダサかったし、異物だった。
顔も普通だったのに関わらず、クラス全員その男に注目した。
意味が分からなかったからだろう。
「皆さん、こんにちわ、
そう、黒雨時だったのだ。悪魔のボス、黒雨だったのだ。
「え、誰?」
「明日から、この学校に転入する事になりました、よろしくお願いします」
そう言って、黒雨は教室から出た。
「何だったんだ?」
「さあ?分かんないけど、とりあえず、おかしな人だっての分かった」
と、秤の周りの人間が話し始めた。
「どうしたんだ?秤」
「いや、あの声どこかで聞いた事があった様な気がして、でも少し声が違った気がするから、気の所為かも」
「そうだな、あんな印象的な奴を忘れる筈ないし、そうだろどうせ」
「ボス、どうして学校に来たんですか?」
「そっちの方が楽しいからに決まってるだろ?友好関係を築きそして、あいつの大切な人を見極めて目の前で殺す、それ以上に楽しい事があるか?」
「私は、最高に最低の狂人に仕えた方が楽しいですけどね」
「知ってる」
「さあ、どこから狙う?」
机の真ん中に世界地図を広げる。
「オーストラリアどうすか?ボス」
と、ジョンは意気揚々と言った。
「それはジョンが潰したいだけだろう?」
「え、駄目なんすかー?」
「当たり前でしょう?私達が決めてるのは、物語的にどこから攻めたら良いか、そして、どこか楽しいかだから」
「じゃじゃ、アメリカどう?世界で一番の国だよ?」
と、ネルがとても安直の考えを話した。
「確かに、それ良いですね、ボスどうだい?」
と、この十人中で抜きん出て、筋肉モリモリのエイダンが言った。
「……そうだな、そうするか、じゃあ、アメリカのどこから攻める?」
「あ、私出身なんで教える?」
と、髪がもじゃもじゃしてる、アマンダが黒い手を上げた。
俺は、地図を見て少し考える。
「でも、これ、普通に左からカナダ通って、下に行ってメキシコらへんもやったら、よくないか?」
「要らない了解」
「でも、どの街行くとかは必要だから、頼む」
「了解」
とりあえず、殲滅する場所は決まった。
「要するに北アメリカ大陸ぶっ潰すってことで良いんすよね?」
「そうだ、それでいい」
「とりあえず、どうやって俺達の欲を満たす?」
「では、まず整理しましょう、初めにボスは苦しんでる顔、恐怖してる顔等の顔を見れればよろしんですよね?」
と、アイシャが率先して言った。
「ああ、そうだな」
「となると、街中で堂々と殺し回れればそれで良いんですよね?」
「いや、良い方法を思い付いた」
「なるほど、分かりました、ではそれは後で聞く事にしましょう」
「とりあえず、そうだな、整理してくれ」
整理した方がこの後も楽だろう。
「では、まず、琴葉さんは、誰にも縛られれず、ルールを破る事ですね?そして、ジョンさんが、眼球をコレクションする事、マラーさんが人を死で救済する事、ネルさんが悪戯で恐怖のどん底に落とす事、ノアさんは、自分が殺したという事実が死体として残る事、エイダンさんが全てを破壊して回る事、アマンダさんが人をこの世から消す事、そして最後にニコさんが、最低最悪の悪魔になりきる事で合ってますよね?」
「合ってます」
と、全員が同意した。
「なら、これから、思い付いた事を話そうか」
これは夢だと、すぐに分かった。
何故ならば、そこには、
恐らく、殺す直後の記憶だ。
「時君って、何か隠してるでしょ?」
「ああ、隠してる」
「教えてよ」
俺は、どうして?とこの時思った。ただ、その直後にある一つの考えが浮かんだ。
「俺が、このデスゲームの主催者だ」
「え?」
俺は、すぐに頭を地面に打ちつけ、殺した。
起きた直後に、両手首に長い棒を地面ごと突き刺した。
「あ※あああ※※ああ※※※ああ※ああああ!!!」
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「どうして?」
「どうして?簡単だろ?彼氏に裏切られ苦しめられ、絶望する様を見るのが最高に面白くて、楽しいからに決まってるだろう?」
「私は、時君の彼女なのに、どうして?辞めてくれるって、言ったのに、私を見てくれるって言ったのに!どうして!……どうして、私の悲鳴と、絶望ばかりを見るの?私を見てよ!」
私を見て?ああ、なんて面白い事を言ってくれるんだろうか?
こんなにも、苦しんで、絶望している姿を見れるなんて。
「ああ、最高だ!」
「ねえ!見てよ!私を愛してよ!私を、苦しめないでよ!」
俺は、鉄パイプを創り奏の口の中から腹へ入れる。
「お゛ああ※※おああ※※※あああ!!」
喉を通る時無理やり通す様な感覚に襲われた。
狭い通路を無理やり広げる様なそんな感じだった。
「んんんん※※※※あゔぁああ※※※※ああ!!」
そんな嗚咽音とも違う変な声を奏が涙と一緒に出した。
鉄パイプから、グチャグチャ、という何かを潰すような感触が手に伝わってくる。
そして、まるでゼリーを潰す様な音が部屋に響いた。ぐちゃ、ぐちゃ、ビチャググの様な異音が部屋に響いた。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
何度も、何度も、何度も突いた、何度も何度も突いて突き続けた。
ぐちゃ、グチュグチュ。
「お゛おあああ゛!!」
俺は、不死で奏でに意識を持たせて決して死なずに痛みを感じるように設定した。
「さあ、次はこれだ!」
俺は、空気ボンベを創った。
「もしこれが、その鉄パイプを通って、腹に空気が流れたらどうなるんだろうなー?」
すると、奏が必死に首を横に振った。
「おっと、動くと、めんどいからな、動くなよ?」
俺は、鉄パイプと空気ボンベを繋げた。
そして、俺は空気を流し始めた。
「お゛あああああ゛」
腹が少しづつ少しづつ膨らんでいく。
耳などから空気が出るだろうが、それ以上の速度で空気を供給する。
「あ゛あ゛!!」
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!ほら、ほら、破裂しちまうぞ!頑張って空気を外に出そう」
すると、腹が限界を迎えて、ぐちゃぐちゃの内臓と血を腹から飛ばした。
「ん゛ん゛!!」
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
俺は、鉄パイプ抜く。
「あ゛あ゛ああああ」
「さあ、死ぬ時間だ」
奏は、涙を流しながら目だけこっち見た。
そして、俺を見てニヤリと笑って、好きだよ、と口パクで言った。
気持ち悪い。俺はすぐに不死を解除した。
「……はあ、最後のは気持ち悪かったな」
「そうか、俺は、そこまで、あいつに爪痕を残されてたのか」
あの気持ち悪い最後が、俺は印象に残ってしまってるのか。
「ああ、最悪だが、楽しかったな」
そんな、矛盾を抱えながら俺は、学校に行く準備の為声を変え、真っ黒な目を普通の色に見える様にカラコンを付けて制服に着替えた。
「皆さん、こんにちわ、黒雨時と申します、どうぞよろしくお願いします」
俺は、黒板に自分の名前を書く。
クラスから、何か騒がれているが関係ない。
俺は、このクラスを苦しめて、苦しめて、絶望のどん底まで落とすのだから。
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