【第9話】ひより日記

 今朝、暖かい布団から出たくないくらい寒くて丸くなったけど、それを掻き消すようにカーテンを開けて起きた。


「くぅ〜、寒いけどご飯!」と言って朝食を済ませ、温かいコーヒーを淹れながらリラックス。学校へ行く前に、コーヒー片手に朝から日記を開きました。


 魔法の書店で、昨日店長が話していたことを思い出したのでここに書きます。


「俺が小さい頃は店員を2人雇っていた」とこの間言っていた。私が幼い頃はセレーネさん一人だったから……たぶんその頃から経営は傾いていたのかも。


 人見知りだった私の心を助けてくれたあの時、セレーネさん自身が苦しんでいたなんて気づかなかった。いつも笑顔だったから……私に出来ることはセレーネさんの残した書店を守ることだけど……


 ──私に、何が出来るんだろう。


「あ、これハーブティーですか? あまり飲んだことなくて……どれが飲みやすいですか」


 考えているとお客様が来たので、店長は接客しに向かう。私も本棚のホコリを払いに掃除に向かった。


「そうですね……こちらのカモミールや林檎がブレンドされたハーブティーでしょうか。これなら飲みやすいですよ」


 店長がいつになく饒舌だから、気になって本棚の隙間から覗く。お客様も増えたからかな。


「へー、詳しいんですね。ここカフェだけどハーブティーも置いてるし面白ーい!」

「ありがとうございます」


 なんて、流れるような会話の後、お客さんは喜んで話していた商品を購入して帰っていった。その姿を見て私はハッとした……くっ、顔だけじゃ無かったと! 


 セレーネさん似の優しい横顔(って言ったら嫌みたいで睨まれた)なわけだけど、店長のちゃんとした接客を初めて目にし、顔だけでお客様がリピーターになってるんじゃないんだと思わず溢れた本音。


 悔しいので、これは今日の日記に書こうと決めた↓


 もちろん私だって、この間栞を喜んでもらえたもの! カフェにしたいっていう店長は順調に客数を増やしてるけど……まず、物珍しさにお客さんが来て、話してリピーターになって、それが口コミになって。


 こっちも頑張らなきゃ。よーし、クヨクヨしてる場合じゃない。オリジナル栞でも作る? とにかく良いアイデアを見つけるぞー!


 疲れたのか、その日ひよりはパソコンの画面と日記を開いたまま、机に頬をつけて寝りについた。夢にまで出てきた店長に眉間の皺を寄せつつ夜は更けて行った──


【今日の一言】→SNSで発信している呟き。

 皆さんお仕事、学校、家事もお疲れさまです。挫けそうになるけど、そんな時こそ初心を思い出して頑張ってます! 


 それでもストレスが溜まった時は、5分でも走ると脳も活性化して記憶力、創造性、集中力もUPスッキリするそうですよ。”『生物学的には、私たちの脳と身体は今もサバンナにいる……』”らしいです。『運動脳』著者アンデシュ・ハンセン様より””部分引用しています。気になる方は是非本を見てみてね。


それじゃ、また明日!

──つづく。




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