学校の怪談
「そうそう。お前達の学校にも七不思議というものはあるのか?」
突然の質問はいつものように
「七不思議って、トイレの花子さんとか走る人体模型とかのアレ?」
と、やはりいつものようにいの一番に返したのは香織だった。これにリーダーは一つ頷き。
「そう。その七不思議だ。実は今日クラスの若手がその話で盛り上がっていたのでな? 他の学校にはどんなものがあるのか気になったのだ」
「いや若手って
香織が質問と共に2人に顔を向ければ、先に答えたのは三世。
「ありますよ。ウチの学校は走る人体模型と誰も居ない音楽室からピアノの音が聴こえるとかですかねー」
「あ〜ド定番だね」
と香織が言っていると三世は続ける。
「ただウチの学校って音楽室にピアノないんですよ」
「え? 何それ……ピアノないし誰も居ないのにピアノの音がするの? いろんな意味で怖くない?」
「ええ、でもピアノがない代わりに人体模型が置いてあるんです」
「なんでっ! それ本当に音楽室なの? もしかしてピアノ探して走り回ってるの人体模型はッ!?」
それはある意味不思議ではある。
……としていると横から乱入してきたのは童子で。
「えっとね。ウチはトイレだと花子さんじゃなくて、用を足そうとすると便器から手が出てきてお尻を触られるってヤツがあるよ」
「あ〜それもよく聞くよね」
と香織が頷いていると童子は続ける。
「あとはトイレだと、用を足そうとすると便器から手が出てきて人体模型のお尻を触るってゆーのもあるね」
「なんでトイレに人体模型いんのっ! もしかして漏れそうだからトイレ探して走り回ってるとかっ?」
にしてもさっきから走り過ぎの人体模型である。
しかしここで話の流れを変えるか香織。
「ってゆーかさ。そもそも訊いてなかったけどリーダーの学校の七不思議はどんなだったの? なんかさ、七不思議ってどこの学校も大抵あるにはあるけど七つ全部はわからないみたいなのが多くない?」
改まり訊ねてみれば、当然答えるのはリーダーで。
「まあ確かにな。だがウチはちゃんと七つあるにはあった」
「へ〜そうなんだ」
「ああ、まあ順番に話していこう。まず一つ目が誰も居ないはずの体育館からボールの跳ねる音が聴こえてくるというヤツだ」
「あ〜それもまた良くあるヤツだよね」
「次に二つ目だが。これは誰も居ないはずの体育館から人体模型が跳ねる音が聴こえてくるというものだ」
「ま、まさか跳ねる音って人体模型がスキップしてるって事?」
だが、香織の質問には誰も答えないままリーダーは続ける。
「次に三つ目だが。これは誰も居ないはずの体育館からトイレの花子さんが人体模型の首を刎ねる音が聴こえてくるというものだ」
「はねる音違い! しかも粛正されてる……。学校の怪談て実は序列に厳しいとか?」
ある意味学校だけに縦社会なのかもしれない。
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