第2話 なにかがおちて

「誰でもいい! 誰かーーー助けてくださーーーーーーーーーーい!!!」


声がこだませずに白い世界へと消えていく。

力なく倒れる俺。

「どさっ」も「いてっ」もない。

白の天を見る。


ん?

何かが落ちてきた。

がばっと起きる。

天井? から「ヒュー」という音とともに「何か」が落ちてきた。

だんだんとこちらにおちてくる「何か」。

机。「何か」は机だ。机が降ってくる。一つだけ。

俺から10メートルほど離れた地面に「どすん!」と音を立てて机が落ちた。


机だ。それも白い机。

なんとなく影が出来ていて、それで机と分かる。見つけづらいなぁ。もう。

大きさは四人テーブルぐらいだろうか。すっくと立っている。

悪態ついたから「神」が落としたのだろうか。

それとも助けを呼ぶ声に反応したのだろうか。

なぜに机を? とも思ったがとにかくなんでもいい。とにかく変化があった。それがとてもうれしかった。

おそるおそる近づく。

机にれる。さわれた! でも触れたという感覚がかなり薄い。

たたく。音が出ない。痛みもない。

うーむ。この半透明の体、なんも感じないぞ。叩いて音が出ないのは耳のせい?

いや、「ヒュー」も「どすん!」も聞こえてるし自分の声も聞こえている。

死んでると痛みがないのは分かるが、なぜ音が出ない? よく分からん。

噛んだり舐めたりしてみる。やっぱり何も感じない。

んー。

見れる。聞こえる。ちょっと触れられる。声は出せる、それだけ。この半透明な体って不便きわまりない。

あとはこの机で何をしてみる? 机をひっくり返す? いやなんか半透明な体だとすごい疲れそう。

ふと、思いつき、机の上に跳び乗ってみる。

つるっと滑った。

「どてっ」っと音が出そうだが音はない。

「いてて」となってはいるが痛くない。

どうやら机の上に何かがあってそれを踏んで滑ったようだ。

ひらひらと舞う一枚の紙。

しゅばっと摑んでみる。

何か書いてある。

『あとをたのむ  めがみ』

……。

…………。

………………。

ホワイ?

「まーじーかー!!!!!」

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