囚人護送の苦労人!!

デルタイオン

第1話 今日も一日ガンバルゾイ!!

人類が宇宙へ進出して早くも100年。コロニーも作られ人類の総人口は過去と比べると2桁もの数が増えていた。


しかし、それによって何がかわるのだろうか?いいや、何も変わらなかった。


食料も時間的量では増えたが人口比で考えると何も変わっていない。作る数は確かに増えたが人が減ったわけではない。同じように人も増えたのだ。


犯罪者も割合だと何も変わっていない。確かに増えたが仕事が増えたわけでもなく、減ったわけでもない。


そう。俺達の仕事は昔となんら変わらない。ただ囚人を安全に届けて帰ってコーラ飲みながら映画見て……そんなもんだ。


でも確かに変わったこともある。俺達は宇宙で仕事をしているし、更に危険になった。


いつ、どこから襲い掛かってくるかわからない宇宙空間を護送する。太陽の光が無くなったら目の前は暗闇だ。コックピットの内側を照らすライトだけが頼りになる。


『た、隊長……大丈夫ですよねぇ……?』


スピーカーから女性の声がした。俺達は今太陽から隠れるように惑星を盾にして航宙していた。


「知らん。計器を信用するしかない。方角は合ってるはずだ」


レーダーでは直進しているが、視覚的には何処へ飛んでいるのだろうか?いつ眼の前に敵が現れてもおかしくはない。死神が現れるかもしれない。


太陽の光が無くなり目の前は完全な暗闇がある。僅かな星の光と目の前を照らすちょっとしたライト。そして2機の左右を表す信号灯だけが目印だ。とても心細い。


しかしそれももうすぐ終わる。


「このまま直進。全周警戒怠るな。仕掛けてくるとすればゼロ・アワー《太陽が見える瞬間》だ」


『『了解(です!)』』


配達人には囚人の一切の情報が入らない。だから軽犯罪でただの盗人だとしてもそれを俺達は知らない。だから大罪人のように怯え怯え収容コロニーへ送るしかない。


もうそろそろゼロ・アワーだ。左側の惑星から太陽が顔を出す。


『レーダーに反応!!推察通り太陽方向!!距離50!!接触まであと28秒!!』


突然部下の一人がそう叫ぶ。こちらもほぼ同時にボギーが出現した。


「火器管制システムオンライン。対速合わせ。反電子シールドスタート。サブシステム戦闘モードへ移行」


『護送機加速開始。コロニーへ緊急通報。シールド展開』


『敵は世代落ちの戦闘機1。護送機1。多目船2』


「すぐに来るぞ。マスターアームオン。敵対行動と見なし行動不能までを許可する。射殺は許可を待ってからだ。来たぞ!!」


レーザーキャノンが直ぐ側を通り抜ける。散開し高速で通り抜けたレーザーキャノンの向かった方向へ機首を向けて加速する。


すぐに敵戦闘機が高速で飛んで来た。ケツを追いかけるように自分も加速を始め攻撃を始めた。


こちらにも積んでいるレーザーキャノンの砲身を細かく動かしてヘッドマウントディスプレイHMD上に写る敵影を狙う。


「死ぬなよ!!」


トリガーを引くとすぐさまレーザーが砲身から飛び出していった。


当たった。しかし、無傷のように見える。


「改造してたか!!」


警告音に反応し回避運動をする。


敵の後部迎撃砲から無数の矢が飛んでくる。全てレーザーだ。当たったらひとたまりもない。


こちらも大雑把に狙い撃つ。当たりはするがやはり何かのシールドに防がれている。


「ちっ……フギン。M3ミサイルポッドを起動。3発を放射状に発射」


≪レディ…≫


機体下部に格納されていたミサイルポッドが姿を現す。3発の砲身がそれぞれ別の方向を向いている。


≪クリア≫


「当たれ!!」


発射される。言った通りに上下左右から包み込むようにミサイルが飛んでいく。


敵は必死に回避しようとチャフ、フレアをありったけバラ撒くが、それも虚しく2発当たってしまった。


「投降しろ……3分だ」


推進力を失い速度を落とした敵機を狙いながら投降を促す。


敵はコックピットから出て投降した。あとは向こうがどうかだな……

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