とげとげ

 私の友人、リカは最近学校の窓から転落した。

1週間も意識が戻らない。

リカは、最近眠そうにしていた。寝不足を疑ったけど、本人はちゃんと寝ていると言っていた。

6限目の理科の時間、異変に気づいた頃には、リカは窓からほとんど身を出していた。

教師が黒板に向かっている途中、そして私も、クラスメイトも板書をしていた。

リカは私の後ろの席で、様子を見ることができなかった。


リカは窓の外に飛んでいったプリントを取ろうとしていたのだと思う。

窓から体を出して、落ちることへの躊躇を見せない、というよりは落ちると思っていないような雰囲気があった。

最近は6限目には寝ていたから、今日も寝ていると思い込んでいた。


視界の端に映った、不自然に窓の外へ伸ばした手を認識して後ろを振り返れば。


リカは転落していた。

動揺しながら伸ばした手は何も掴めなかった。


もしこれでリカが死んでしまったら、なんて恐ろしいことは私には考えられなかった。

私はただ、目を覚ましてほしいと同じ言葉をつぶやくだけだった。


「早く、起きなさいよ。」

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