ふわふわ

氷翔麗華

ふわふわ

 ふわふわ。とても良い言葉。

重力を感じない、刺々しくもない、柔らかい言葉。


アタシもふわふわするものが好き。

ぬいぐるみはとてもふわふわしてて好き。

お洋服もふわふわしたものが好き。

ふわふわしたわたあめも好き。



 「ちょっと、早く起きなさいよ。もう授業終わったよ。」

「……ん、ほんと?ってゆーか、今何時?」

「今ね、4時半。あんた最近さぁ、この時間よく寝てない?大丈夫なの?色々。」

「…多分ね、私夢見てるんだよね。よく思い出せないけど、夢見てたってことはめっちゃ覚えてる。」

「夢?」


そう、夢。内容は思い出せないけど、多分毎回同じ夢を見てる。

なんだかふわふわした心地の夢。

思い出せなさすぎて、なんだかもやもやする。

「ふわふわ」


「ふわふわ?あんた寝ぼけてない?」

「いつの間に声に出てたの…。なんかね、ふわふわするような夢なの、あ、でも夢ってふわふわするようなもんだよね。」

「ちょっと何言ってるかわかんないけど、とっとと帰るよ。ほら準備して。」


机の上には書きかけのノートがある。

今度目の前の字がちょっと汚い人から見せてもらおう、と思いながらカバンに教科書やらペンケースをしまう。


「夢のことって、考えるだけで、疲れる。」

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