めがっさみじか小説

新数

 先輩は音楽をつけろと言った。


 先輩は音楽をつけろと言った。

 僕は音楽をつけたくなかった。

 すると先輩は部活を出ていった。昼にはお菓子しか食べなくて、肋骨が浮いている先輩。

 そして大会の日が来た。先輩は本番前に差し入れのキャンディだけ置いて、予備校があるからと言って帰ってしまった。しかし彼女のカレンダーにそんな言葉は見当たらない。

 僕の演劇は賞を取った。

 次の朝、僕は先輩に会った。そして演劇が失敗だったこと、音楽をつけるべきだったこと、泣きそうな顔を浮かべて言った。

 先輩は満足そうに罵倒して、家の鍵を開けてくれた。

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