第20話 絶体絶命! フンドシvsマトン
魔王城————
城の入り口にドロンと魔王の四天王が一人、マトンが出てきたのだ。
「シュウの言っていたのは本当だったのか。」
前にシュウという盗賊と戦ったときに、「泥の化け物とフンドシに似た野郎」と言っていたことを思い出した。
泥の化け物はひでり神に操られていたと知り、勘違いしていたんだと思っていたが。まさか最後の幹部のほうは本当だったとは———。
違いといえば、奴は種族ゴブリンなことと白い布…フンドシということだけだ。それ以外はフンドシそのもの!
「リーダー、奴らがグリルたちを人質にして、魔王城——魔物たちを殲滅を企んでいる御一行とその極悪騎士団です! おぉ、なんと、ボロボロの重症な体をして痛々しい。」
ドロンはバレバレなウソをこうも簡単に言っていた。するとグリルが大声で——
「ウソですよ。リーダー! 俺たちは重症ではないし、そこの副隊長の命令で殺されかけた時に奴らが助けてくれたんだ!証拠に木綿たちが自白したんだ。」
木綿の一人が前に出て——
「本当です! 私ら戦闘向きではないのに無理やりやらされて仲間を殺せと言っていたんです。」
木綿たちは泣きじゃくって訴えていた。
ドロンは少しビクついていたがリーダーであるマトンのほうに向いて話した。
「奴らは洗脳させられています。わしはそんな罵倒など言っていませんし、木綿たちを出動したのは‥‥そう!奴らに殺されていないか確認したまでです。」
ドロンは手をすりながら言って、マトンがドロンの目を見た。
「ドロンよ。本当にウソ偽りないのか。」
「本当ですとも、そうでなけれなこの腕についている証が引きちぎっています。」
そう言うとドロンが腕にかけている輪っかを見せびらかしたのだ。
「そ、それは。」
あれを見て驚愕した。———あの腕輪は以前、魔法学校にいた時に授業で先生が教えていた。私は勉強がだるくて居眠りしていて烈火のごとく怒られていたので覚えている。
「仲間と友情の輪」 お互い、ピンチになった時や争いごとに巻き込まれたときに必ず助けてもらい、守ってくれると言う加護———
何故、ドロンがこの
「わしは、仲間思いなものでしてね。皆があくせく働いていたのが苦しくて、なのでミノタウロスに相談してんです。そしたらこれをさすげてもらい、これで愛人にでも‥‥。ゴホン、リーダーにつけてもらって助けていただいてもらえと。」
ドロンはウソ泣きをして言った。
なるほど、あのミノタウロス《へんたい》からもらったのか。
マトンはそれもそうだな。と再び私たちのほうを見て。
「グリルたちよ。お前らを洗脳から解放してやる!」
直後、拳を作り、大きく振りかざした。その風圧により私たちと騎士団、馬たち、魔物たち全員が吹っ飛ばされてしまった。
魔物や馬たち、ヴァニラ、ブラウンたちが壁に激突してしまい、私とクロワは岩陰に隠れていたシュガーに手をつかまれて助かったのだ。
それにより今、戦えそうなのはフンドシと幹部のマトン。———ドロンは城の入り口に隠れ、ちょこっと顔出して、応援していた。
なんて卑怯な奴。
フンドシが動き出した———
最初に左手を拳を作って勢いよく殴った。が、マトンはすぐにかわされ、右拳で腹に当てたのだ。
その一撃でフンドシは苦しそうな顔をして腹を抑えた。
そんな顔をしているのは初めてで私たちは恐怖を感じた。
「今までの、幹部の奴らは金稼ぎばっかしか目に入っていなかったから油断したのだろうが、わしには通用しない!」
マトンが笑って言って、すぐさま反撃が開始した。
今度は両手を拳を作り、連打で殴り掛かった。目で追いつけない速さだ。
フンドシは受けることしかできず、焦っていた。隙が見えないのか。
連打しまくっているとマトンが今度は蹴りを出してフンドシの横腹に直撃して飛ばされてしまった。
壁に激突! 地に倒れて動かなくなった。
「フンドシーーーー。 どうしよう! フンドシが起き上がってこない。アイツめちゃくちゃ強いぞ。」
「だからドロンはこの条件を飲んでのか。」
私たちがしゃべっているとシュガーがある提案を言ってきた。
「ショコラ殿! ここは加勢した方がいいと思います。そうもしないとフンドシ殿が死んでしまいます。」
「だが
「ドロンの策略だと知ったら一対一は無効だ。私らで魔王の幹部をできるだけ止めに入るしかない。」
確かに、マトンの放った拳で大ダメージ受けてしまった騎士団や馬たちで動けなくなって動けるにしてもマトンには太刀打ちできない。幸いにも魔物の群生たちも受けたので不幸中の幸いだ。
「それもそうだ。なら準備はいい———」
「私は十分です。」
私たちは立ち上がり、マトンに言いかけた。
「ま…、魔王の幹部よ! こ…、今度は私があ…、相手だ。」
「フンドシ殿がやられた今! 戦力として私たちしかいない、さぁ、勝負!」
私は杖を構え、シュガーが剣を構えたその時——
「ま…、待たれよ!」
フンドシが起き上がってきた。———ボロボロになった体をゆっくりと起き上がる姿を見て痛々しかった。
「こ
立ち上がってハァハァと息を荒くして言った。
唐突にマトンが笑った。
「面白いお方だ! 仲間を加勢に出ようとしても一人でわしを向かおうとして姿! 相当皆から慕われていると感じた。悪い奴ではなさそうだ。」
マトンは敬意を払って構え始めて突進してきた。
今までない走りに驚いてフンドシの顔面に直撃を受けたのだ。
「フンドシ!」
私は叫んだ———。
直撃を受け、体が後ろに倒れようとした時———即座に殴った拳の腕をつかみこんだ。
それにびっくりしたマトンが引っ張って離そうとするがびくともせずに、フンドシが別の腕で拳を作って、最大威力で顔面を殴った。
直撃だ。
衝撃によりマトンは城の入り口まで吹っ飛ばされて壁際に倒れたのだ。
「リ、リーダー!」
ドロンがびっくりしていた。
直後、がれきをどかして立ち上がったマトンが下を向きながら出てきた。
「いい、拳だ! 幹部どもが倒されるのも分かるわ。だが遊びは終わりだ! こっからはどちらが仲間を守っていくか。試させてもらうぞ!」
マトンは再び構えはじめ目つきを変えた。殺意を沸いていた。
フンドシも構えて。
「良かろう、貴様が騙されていること、今知らしめて信ぜよう。」
マトンが殺気を出しても動じないフンドシを見て、少し勝てると思ったのだ。
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