第3話 新たなる旅路
勇者と魔法使いは険しい山を登っていた。
勇者達が魔王を倒してから魔物を見かけることは無い。
しかし勇者にはやり遂げなくてはならないことがある。
それは託された約束。それが魔王からのものであったとしても、必ずやり遂げると言わんばかりに勇者は力強く歩を進める。
戦士と僧侶にも事情を話すと、同行すると言った。それを勇者は「これは俺が引き受けたことだから」と断った。
それでも二人はなおも同行したいと語りかける。
勇者は「二人にも帰りを待っている人達がいるじゃないか。早く帰ってその人達を安心させてほしい」と微笑みを浮かべて再び断った。
その言葉を聞いた二人は勇者と固い握手を交わして「また会おう」と帰路についた。
「険しい道が続いてるけど、大丈夫か?」
「うん、大丈夫。ありがとう」
「ここよりもっと険しい山もあったもんな。あれは山登りというより、もはや崖登りと言ったほうがいいんじゃないか」
「フフッ、そうだね。それよりも私はみんなの登るスピードが速すぎてすぐ見えなくなったことの方がビックリしちゃったよ」
取るに足らない会話をしながらも、二人は確実に進んで行く。
「このペースだと間に合いそうだ。しかし、こんな場所があったなんて知らなかったな」
「魔王城の近くにある山だからね。誰も近づけないよ」
勇者達は今までにもいくつもの過酷な状況を乗り越えてきた。
足場が悪く足を踏み外そうものなら滑落するであろう山道、陽の光が届かない森、狭い洞窟内での強敵との戦闘。
それらは一心に魔王を倒して平穏な日々を取り戻したいという願いから。
そして今は魔王の願いを叶えたいという想いから。
勇者達は魔王を倒したその足ですぐに出発したが、もう三日が過ぎていた。
そして遂に勇者達は目的地に辿り着いた。
「ここが……そうなのか」
勇者達は辺りを見渡したが、雑草が一面に生い茂り、その先は崖だった。
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