私は軽自動車

ゆっくりゆっくり進むのです

私は軽自動車。

実際に乗っているのも軽自動車。

もちろんそれなりにスピードも出ます。

けど、スポーツカーみたいにびゅんびゅん速く進んで行けるわけではありません。

でも、いずれ同じくらいの距離まで走れます。

着くまでの時間が違うだけ。

大きなトラックみたいに力強くは走れません。

でも、小回りは効きます。

トラックが入れない道にも入っていけます。

別に軽自動車を、スポーツカーを、トラックを、どれが良くてどれがダメだとか言いたい訳ではありません。

全部にそれぞれの特徴があるよねって思っただけです。

ふと走っていて思ったんです。

車の運転って人間関係みたいだなって。

この道はこの速さで走りなさい。

そういうルールがあって、みんな同じスピードで進んでいくように求められているけれど、皆が皆全く同じ速度で走るわけではありません。

少しゆっくり走る人もいれば、速く進みたくてお尻をつつこうとしてくる人も居ます。

ルールを破ればもちろん、お巡りさんが来て罰を与えられます。

同じルールの中で走っているのに、皆走り方が違うんです。

私はよく、法定速度よりも少し遅いくらいで走ってしまいます。

もともとのんびりしているからでしょう。

でも周囲にはちゃんと意識を向けているんです。

それぞれのミラーもちゃんと確認してます。

速い人は追い越して行ってくれれば良いんです。

それぞれ走るスピードが違うんだから。

それでも、時々嫌な人もいます。

道が空いているのに、わざわざ後ろにピッタリとくっついて、｢速く進めよ｣と自分のペースをこちらに押し付けてくるのです。

そんな嫌なところも含めて、なんだか車の運転って本当に運転してる人の人間性が出るなぁって思ったんです。

だから、右折したいけどなかなか対向車線の車列が途切れない……と困っている時に、ライトをピカッとして｢行っていいよ｣と言ってくれるトラックの運転手さんに心が温かくなって、そういうふとした優しさを目にしたり、体感したりすると、凄く嬉しく思ったりもします。

みんながみんなを思いやれたらいいのにね。

強要しない。

それぞれがそれぞれのペースで走っていることを理解するだけで良いんです。

別に共感なんかしてくれなくても。

あなたはそのペースなんだね。

僕も同じペースだから一緒に行こう、もありだし。

お前はそのペースなんだな、おれは先に行くぜ！もありだと思うし。

隣を走る車が凄く速くて、あっという間に追い越されて、自分もあんなふうに走れたら……なんて思う時もあったりします。

でも気にしない。

その車線は私の行く道とは分かれているかもしれないもの。同じゴールに向かってることの方が少ないと思います。ゴールに向かう目的も。

時には休むことだって必要なのも、これも普段の生活と同じだよなぁと思ったりします。

走り続けていればガソリンが無くなってしまいます。

食べるのが好きな人もいれば、運動するのが好きな人もいます。中には家の中でゴロゴロしているのが至福の時間という人だっています。

車もそれぞれで入れるものが違いますもんね。

レギュラーの人もいれば、ハイオクや軽油の人もいるでしょう。

エネルギー補給の仕方だって、皆それぞれです。

そんなふうに、皆がみんな、遅くても速くても、自分なりのペースで、時には一息つきながら、毎日を走って行けたらいいなと思ったんです。

皆さんが、自分のペースでこれからも進んでいけますように。

私も、ゆっくりゆっくり進んでいきます。